エピソード300『電化製品フェチ』


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エピソード300『電化製品フェチ』

楽しい楽しいお昼時。
 竜胆がサンドイッチをはむはむしていると、妖しいやつが二人現れた。
 学内でも噂の怪人、紫擾時雨。
 別に噂にはなっていないが、妖しい更毬剽夜。

剽夜
「やあ、おはようなのだ」
竜胆
「こんにちわ〜☆」
紫擾
「やあ、あきりん、僕からの心ばかりのプレゼント、受け 取ってくれるかい」
竜胆
「なに、この封筒」
紫擾
「おぅ、みなまでお言いになっちゃいけない。黙って受け 取って、返事をくれればそれでいいんだ」
竜胆
「ふ〜ん(受け取る)」
紫擾
「……開けてもいい? ってきいてくれないの?」
竜胆
「……開けてもいい?(笑)」
紫擾
「ああ、いいよ。気に入ってくれるといいんだけど」

封筒を開ける竜胆。
 中にはいろいろと紙が。

紫擾
「どう?」
竜胆
「どう? って、別にどーもしない」
紫擾
「ほんとに、もらっていいの? ってきいてよ」
竜胆
「はいはい(笑) ホントに、もらっていいの?」
紫擾
「そうしてくれないと困るよ。そのために、ギってきたん だから(笑)」
竜胆
「なんか違うぞ、をい」
紫擾
「まあいいからいいから。中をちゃんと見てよ」
竜胆
「はいはい……『おめでとうございます。あなたは栄えあ る第一階梯悪魔王、アスタロトの生け贄に選ばれました。つきましては、契約の記念品として、携帯電話を差し上げたく仕る所存でございます』」
紫擾
「やったね、あきりん。なかなか彼には見初められないん だよ。これであきりんもいっぱしの魔女になれる」
竜胆
「なに、これ? 生け贄になったら、なんかあるの?」
紫擾
「いやあ、別にたいしたことはないよ。ちょっとばかり不 老不死になって、魔女狩りがあったら困ることになるだけだよ。大丈夫大丈夫」
竜胆
「……ぽいっ」
紫擾
「ああっ、何をするんだ! せっかくの私の愛の証を」
竜胆
「愛の証はめぐみにあげなさい」
紫擾
「めぐみはこーゆーのキライだから、すぐヒジが飛んでく るんだよぅ。あきりんだったら大丈夫かなって」
竜胆
「電話だけもらう。生け贄にはならない」
紫擾
「またまた、そんなワガママを。少しはこっちの身にもな ってよ。今週中に契約を集めないと、ギャラがもらえないんだよぅ」
竜胆
「だから、電話は申し込むって言ってるじゃない。生け贄 とか書いてるのは、紫擾くんが書いた冗談でしょ(笑)」
紫擾
「うっ、バレないようにワープロ使ったのに、なぜ判る」
竜胆
「その紙だけフォントが違ってるもん」
紫擾
「うう、さすがあきりんだ。ワープロとかプリンタの文字 フォントの違いを見抜くとは」
剽夜
「あきりんは電化製品フェチだからな」
竜胆
「(黙って足を踏む)」
剽夜
「……く〜っ(涙)」
紫擾
「で、契約してくれるのかい」
竜胆
「いいよ。PHSでも不便は感じてないんだけどね」
紫擾
「前の男に不満はないが、なんとなくって感じ?」
竜胆
「その喩えは根本で間違ってるよーな気がする」
剽夜
「まったくそーやってすぐいろんなものに手を出して。まっ たく、あきりんってやつは」
紫擾
「いろんな男に手を出して、まったくあきりんってやつは
……はうわぁ!(ぱーんちを食らう)」
竜胆
「誰がいろんな男に手を出してるって? そんなこと言う のはこの口か?」
紫擾
「し、失言でした、お嬢さん」
竜胆
「……まったく」
剽夜
「そーいや、あきりんって、男の噂がないねぇ」
紫擾
「そりゃ、更毬さんがいつも入り浸ってるからでしょう」
竜胆
「そーそー」
剽夜
「やっぱり傍から見るとそう見えるらしいな」
紫擾
「それ以外の何者でもありませんよ。何だと思ってたんで す」
剽夜
「……通い夫かな……」
竜胆
「ヘンな喩えをすンなぁっ!(ぱーんち)」
剽夜
「ぐふっ、いいぱんちだ……もう教えることはない……」

幕張ライクに倒れる剽夜。

竜胆
「はい、契約書。いつ頃、電話はくるのかなあ」
紫擾
「(確認してる)二、三週間ごろだと想うよ……ふっふっふ。 あきりん、ありがとう」
竜胆
「へ?」
紫擾
「三回だけ、私の言う事をなんでもきいてくれるって、契 約してくれたね(ニヤリ)」
竜胆
「どこにそんなこと……はっ!」
紫擾
「ちゃんと複写の最後にあるよ〜ん。ほらほら〜」
竜胆
「ほ、ホントだ……(がーん)」
紫擾
「三回だけ、私の言う事をきいてくれるのか〜、いや〜、 いい時代になったもんだ〜」
竜胆
「このやろ〜……」
紫擾
「安心していいよ、ヘンなことは命令したりはしないから」
竜胆
「……」



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