楽しい楽しいお昼時。
竜胆がサンドイッチをはむはむしていると、妖しいやつが二人現れた。
学内でも噂の怪人、紫擾時雨。
別に噂にはなっていないが、妖しい更毬剽夜。
- 剽夜
- 「やあ、おはようなのだ」
- 竜胆
- 「こんにちわ〜☆」
- 紫擾
- 「やあ、あきりん、僕からの心ばかりのプレゼント、受け
取ってくれるかい」
- 竜胆
- 「なに、この封筒」
- 紫擾
- 「おぅ、みなまでお言いになっちゃいけない。黙って受け
取って、返事をくれればそれでいいんだ」
- 竜胆
- 「ふ〜ん(受け取る)」
- 紫擾
- 「……開けてもいい? ってきいてくれないの?」
- 竜胆
- 「……開けてもいい?(笑)」
- 紫擾
- 「ああ、いいよ。気に入ってくれるといいんだけど」
封筒を開ける竜胆。
中にはいろいろと紙が。
- 紫擾
- 「どう?」
- 竜胆
- 「どう? って、別にどーもしない」
- 紫擾
- 「ほんとに、もらっていいの? ってきいてよ」
- 竜胆
- 「はいはい(笑) ホントに、もらっていいの?」
- 紫擾
- 「そうしてくれないと困るよ。そのために、ギってきたん
だから(笑)」
- 竜胆
- 「なんか違うぞ、をい」
- 紫擾
- 「まあいいからいいから。中をちゃんと見てよ」
- 竜胆
- 「はいはい……『おめでとうございます。あなたは栄えあ
る第一階梯悪魔王、アスタロトの生け贄に選ばれました。つきましては、契約の記念品として、携帯電話を差し上げたく仕る所存でございます』」
- 紫擾
- 「やったね、あきりん。なかなか彼には見初められないん
だよ。これであきりんもいっぱしの魔女になれる」
- 竜胆
- 「なに、これ? 生け贄になったら、なんかあるの?」
- 紫擾
- 「いやあ、別にたいしたことはないよ。ちょっとばかり不
老不死になって、魔女狩りがあったら困ることになるだけだよ。大丈夫大丈夫」
- 竜胆
- 「……ぽいっ」
- 紫擾
- 「ああっ、何をするんだ! せっかくの私の愛の証を」
- 竜胆
- 「愛の証はめぐみにあげなさい」
- 紫擾
- 「めぐみはこーゆーのキライだから、すぐヒジが飛んでく
るんだよぅ。あきりんだったら大丈夫かなって」
- 竜胆
- 「電話だけもらう。生け贄にはならない」
- 紫擾
- 「またまた、そんなワガママを。少しはこっちの身にもな
ってよ。今週中に契約を集めないと、ギャラがもらえないんだよぅ」
- 竜胆
- 「だから、電話は申し込むって言ってるじゃない。生け贄
とか書いてるのは、紫擾くんが書いた冗談でしょ(笑)」
- 紫擾
- 「うっ、バレないようにワープロ使ったのに、なぜ判る」
- 竜胆
- 「その紙だけフォントが違ってるもん」
- 紫擾
- 「うう、さすがあきりんだ。ワープロとかプリンタの文字
フォントの違いを見抜くとは」
- 剽夜
- 「あきりんは電化製品フェチだからな」
- 竜胆
- 「(黙って足を踏む)」
- 剽夜
- 「……く〜っ(涙)」
- 紫擾
- 「で、契約してくれるのかい」
- 竜胆
- 「いいよ。PHSでも不便は感じてないんだけどね」
- 紫擾
- 「前の男に不満はないが、なんとなくって感じ?」
- 竜胆
- 「その喩えは根本で間違ってるよーな気がする」
- 剽夜
- 「まったくそーやってすぐいろんなものに手を出して。まっ
たく、あきりんってやつは」
- 紫擾
- 「いろんな男に手を出して、まったくあきりんってやつは
……はうわぁ!(ぱーんちを食らう)」
- 竜胆
- 「誰がいろんな男に手を出してるって? そんなこと言う
のはこの口か?」
- 紫擾
- 「し、失言でした、お嬢さん」
- 竜胆
- 「……まったく」
- 剽夜
- 「そーいや、あきりんって、男の噂がないねぇ」
- 紫擾
- 「そりゃ、更毬さんがいつも入り浸ってるからでしょう」
- 竜胆
- 「そーそー」
- 剽夜
- 「やっぱり傍から見るとそう見えるらしいな」
- 紫擾
- 「それ以外の何者でもありませんよ。何だと思ってたんで
す」
- 剽夜
- 「……通い夫かな……」
- 竜胆
- 「ヘンな喩えをすンなぁっ!(ぱーんち)」
- 剽夜
- 「ぐふっ、いいぱんちだ……もう教えることはない……」
幕張ライクに倒れる剽夜。
- 竜胆
- 「はい、契約書。いつ頃、電話はくるのかなあ」
- 紫擾
- 「(確認してる)二、三週間ごろだと想うよ……ふっふっふ。
あきりん、ありがとう」
- 竜胆
- 「へ?」
- 紫擾
- 「三回だけ、私の言う事をなんでもきいてくれるって、契
約してくれたね(ニヤリ)」
- 竜胆
- 「どこにそんなこと……はっ!」
- 紫擾
- 「ちゃんと複写の最後にあるよ〜ん。ほらほら〜」
- 竜胆
- 「ほ、ホントだ……(がーん)」
- 紫擾
- 「三回だけ、私の言う事をきいてくれるのか〜、いや〜、
いい時代になったもんだ〜」
- 竜胆
- 「このやろ〜……」
- 紫擾
- 「安心していいよ、ヘンなことは命令したりはしないから」
- 竜胆
- 「……」
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部