エピソード303『雨ですね……ホント』


目次


エピソード303『雨ですね……ホント』

夕方7時過ぎ。解剖学実習室の外は雨……
 総重量10kgはあるショルダーバッグを持った美樹が玄関から出てくる。

美樹
「雨だよなぁ……」

大粒の雨は降り止まない。

美樹
「本が濡れるよなぁ……」

美樹は、鞄の前ポケットから黒いゴミ袋(家庭用)を取り出し、
 少し空気を吹き込んでからショルダーバッグを突っ込む。
 同じ解剖の班の仲間の医学生が出てくる。

学生
「なんじゃ、そりゃ?」
美樹
「鞄。濡れるから」
学生
「ふーん……あ、発生の過去問、あしたコピーして返すから」

話しながら、ゴミ袋は美樹の身の回り品(手帳等)を入れて
 密封され、完全に防水される。

美樹
「ほいほい。んじゃまた明日」

美樹は透明ビニル傘を左手に構えて自転車を走らせて去る。
 深夜12時ちょっと前。士堂邸の外も雨。
 ノック音二回。

彼方
「どうぞー」
美樹
「やっほー」
彼方
「おはようございます」
美樹
「いやぁ、今日も蒸しますねぇ」

勝手知ったるビデオラック替わりのタンスからテープを取り出し、ビデオを回し出す美樹。今日は「魔法使いTai!」である。

彼方
「狭淵さん、飽きませんねぇ……」
美樹
「いや、コスチュームの前掛けの紋章が少し気になりまし てね」

外では雨が降り続いている……



連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部