エピソード312『うぇっぷ』


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エピソード312『うぇっぷ』

真夏のベーカリー。珍しく人が集まっている。

観楠
「う〜ん、緑ちゃん遅いなぁ。部活が長引いてるのかな?」
琢磨路
「てんちょ〜緑ちゃんにも手ぇ出す気か?」
観楠
「だから、そんな気はないってさっきから言ってるじゃな いか、それにそんな事言ってると慎也君が……」
慎也
「て〜ん〜ちょ〜〜(ひゅーどろどろ)」
観楠
「うわっ、慎也君いつの間にっ」
ドア
「からんころん」
観楠
「やぁ、いらっしゃい」
美々
「あれ? 緑ちゃんまだ来てへんの?」
「何か約束でもあったんか?」
美々
「うん、ちょっと話したいことがあったんだけど……」
ドア
「からんころん」
観楠
「やぁ、ちょっと遅れたね緑ちゃん」
「はぁはぁ、遅れてすみま……せん」
美々
「緑ちゃん走ってきたの? 何か顔色悪いよ?」
「はぁはぁ、大丈夫……です。うぷっ」

突然口を押さえてトイレに駆け込む緑、それを美々が追っていく。

美々
「緑ちゃんっ!」
「けほっけほっ、だ……大丈夫……ですから」
美々
「なんかあったの? 学校では元気そうやったけど……」
「けほっ、この頃暑くて……それに部活もきつかったから、 けほっ」
琢磨路
「慎也ぁ〜ちょっと早いんじゃないか?」
慎也
「なんだ? 早いって?」
琢磨路
「だって緑ちゃんのあの様子だと妊し(ばきっ)うおっ」
慎也
「何を言う岩沙、俺はそんな風になる行為に至ったことは ない」
琢磨路
「ふ、怪しい物だなぁ(ギロリ)」
観楠
「へぇ、慎也君が……」
慎也
「ああっ、もうそれは誤解だってのに」
琢磨路
「まぁ、緑ちゃんに聞くのが一番手っ取り早いか」
「はぁ、すみません……何かみんな……びっくりさせちゃっ た……みたい‥で」
慎也
「それで、体は大丈夫なの?」
「はぁ、多分……この猛暑の上に……部活がハードだった のと……さっき……走ってきたのが原因……みたい……です。この頃は夏バテ気味だった……し」
観楠
「大丈夫なのかい? 緑ちゃん。 今日はバイト休んだ方 が……」
「いえ、大丈夫……です。やれます」
慎也
「どうだ、コレで俺の無実が証明されたろう(小声)」
琢磨路
「チッ」
慎也
「何だよそのイヤそうな顔は……」
夏和流
「夏バテといえば……うーん、とっさには思いつかないなぁ」
慎也
「君のギャグは体に悪そうだからやめてくれ」
夏和流
「そんな……体に悪いなんて事は有間山(ありません)」
一同
「(しーん)」
「……うぷ(だぁっしゅ)」
観楠
「じぃー」
夏和流
「い、いくらなんでも偶然……」
美々
「じとー」
夏和流
「悪意があったわけじゃなくて……」
慎也
「じいー」
夏和流
「……ごめんなさい。これからはもっと面白いギャグを言 うように……」
一同
「そういう問題じゃあなーい!」



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