エピソード314『頭痛の種ってあるのよね』


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エピソード314『頭痛の種ってあるのよね』

竜胆
「なんなの,この文章?」
時雨
「いやぁ、世の中の七不思議を書いてみようかと……」
竜胆
「じゃ、残りの6つは?」
時雨
「知らない」
竜胆
「……」
時雨
「いやぁ,今日もいい天気だね」
竜胆
「そうね、洗濯物が乾かなくて大変」
時雨
「あきりんって自分で洗濯してたっけ?」
竜胆
「って更ちゃんがいってたの」
時雨
「……」
紫擾
「そっか〜、更毬さんはあきりんの下着をくすね放題なわ けだな」
竜胆
「そんなわきゃあるかぁ!」
剽夜
「別に1枚や2枚増えたり減ったりしても解らないと思う ぞ。まぁ、私は下着だけをとっても楽しくないから取ったりはしないけどな」
竜胆
「……」
紫擾
「おや、あきりん、否定するのかい?」
竜胆
「いや、その……」
紫擾
「もう半同棲状態なんだから、それくらいは……はうっ」
竜胆
「少なくとも! 洗濯は自分でやっとるわぃ!」
紫擾
「少なくとも……ねぇ(うふふふ)」
竜胆
「な、何よぅ」
紫擾
「いやいや、何でもないです」
竜胆
「へ、ヘンな想像しないでよねっ(汗)」
紫擾
「ヘンって?」
竜胆
「そ、そりは……その……」
紫擾
「まったく、あきりんってば赤くなって可愛い(笑)」
竜胆
「か、からかわないでよっ」

さて、紫擾くんの巧み(笑) な話術によって、竜胆はうかつにも(笑)、紫擾くんにまで弱みを握られてしまった。ちなみに他に握ってるのは噂の渦中にある理系妖人間、更毬剽夜である。

紫擾
「まあまあ、ここだけの話、誰にも言ったりしないから」
竜胆
「あったりまえじゃない!」
紫擾
「しかし、ここじゃふと誰かに聞かれる可能性もなきにし もあらずだ。私の車で話さない?」
竜胆
「話すって何をよぅ?」
紫擾
「あら奥さん、あたしの口からいわせますのぅ?」
竜胆
「(むきーっ) わかったわよ!」
紫擾
「で、ほんとのところはどーなん?」
竜胆
「どーって……別に……ねぇ」
紫擾
「何にもないの?」
竜胆
「う、うんうん(汗)」
紫擾
「あきりん。嘘がつけないタチだねぇ」
竜胆
「う……」
紫擾
「まあ、それ以上は邪推しないけどさぁ。でもさぁ、気持 ちははっきりさせといた方がいいと思うんだぁ」
竜胆
「……珍しくまともなこと言ってる」
紫擾
「私だってたまにはまともなことを言うのだよ。で、どー なん? 私が記憶してる限りじゃ、更毬さんと今みたいに仲良くなったのって、一回の春合宿以来だと思うんだけど」
竜胆
「よ、よく覚えてるわね」
紫擾
「傍から見てたら一目瞭然ってやつぅ?  それから数え て……一年と四ヶ月くらいかな?」
竜胆
「そーなるかな……」
紫擾
「これは友達としての忠告だけど、やっぱりはっきりさせ といた方がいいと思うんだぁ。今みたいな関係も理想的と言えば理想的だけどさぁ」
竜胆
「だったら、それでいいと思うんだけど」
紫擾
「そりゃ、あきりんはそれでいいかも知れないし、更毬さ んだってそれでいいかも知れない。でも、仮に他に誰か、もうあきりんのことを愛しちゃってどーしよーもない、夜も眠れない、あきりんと付き合えるんなら、魂を悪魔にささげてもいいっていうよーな人間がいたとしたら、その人はちょっとかわいそうだよね」
竜胆
「……」
紫擾
「まあ、今のあきりんと更毬さんは、一見したらすっごく らぶらぶだから、普通はそーまでしないと想うけどね〜。
それに、その人はあきらめが悪いタチかも知れないしぃ」
竜胆
「コワイこと言わないでよぅ」
紫擾
「職業柄、そーいう感情の機微には詳しいんだぁ、私って ば。で、どーなん?」
竜胆
「……言わなきゃ、駄目かな?」
紫擾
「それはあきりん次第。私はぜひ聞きたいけど」
竜胆
「……わかんないんだ……」
紫擾
「揺れ動いてる?」
竜胆
「(うなずく)」
紫擾
「まあ、無理もないかなぁ。今みたいな状況でも、どっち かに決まらないんだから、よっぽど両方好きなんだねぇ」
竜胆
「その……好きかどーかってのが、わかんないの」
紫擾
「へ?」
竜胆
「そりゃ、更ちゃんが来てくれると、寂しいの紛れるし、 かと言って、岩沙とどたばたしてるのも楽しいし……それが、どーいう好きなのかわかんない……今まで、人を好きになったことないから」
紫擾
「……たぶん、友達としての好きじゃないと思うよ。おん なじどたばたでも、私に対するのとでは違うやろ?」
竜胆
「うん(きっぱり)」
紫擾
「私だって、あきりんとどたばたしてるのと、めぐみとど たばたしてるんじゃ、感覚が違うし」
竜胆
「うん……」
紫擾
「まあ、話はそれだけだけどね」
竜胆
「うん……」
紫擾
「ついでだから送ってあげるよ。近いしね」
竜胆
「うん……」
紫擾
「そー言わずに乗ってみておくれよお嬢さん」
竜胆
「ヤ〜よ。だって、止まらないんだもん」
紫擾
「大丈夫。ちゃんと止まれるようにABSがついてるから」
竜胆
「普通のABSでしょ? スポーツなんとかヘリカルなんとか じゃないやつ」
紫擾
「そんなのスピード出さないと変わらないって。それに、 ヘリカルなんとかはLSDだよ」
竜胆
「え〜い、わかったわかった。乗りゃいーんでしょ」
紫擾
「へい毎度。一名さんごあんな〜い☆」

数十分後。無意味に急制動をくりかえす紫擾カレンの姿があった(笑)

竜胆
「ホントだ。止まるわ」
紫擾
「あきり〜ん、タイヤが減るからそれくらいに〜(T_T)」
竜胆
「う〜ん、ほしい〜。紫擾くん、売って☆」
紫擾
「さ、三百万円出すなら」



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