ここ数日、某ゲーセンバイト店員であるところの竜胆を悩ませている問題があった。
それは、夜の十時過ぎてなお制服でゲームしてる高校生である。
風営法、青少年保護条例などいろいろな理由で、その時間以降に店内にいらると、はっきり言って迷惑なのである。
- 竜胆
- 「十時過ぎたからそれ最後にして帰ってね」
- 高校生1
- 「あぁ? わかった」
しかし、それで止めるわけがない。
なぜなら、それが高校生。いきがってるから。
- 竜胆
- 「あんた、またゲーム始めてるやん。さっき言ったやろ」
- 高校生1
- 「友達待ってる間、暇やから」
- 竜胆
- 「とにかく、ほんとに、それ最後にしなさいよぅ」
- 高校生1
- 「あ〜」
- 竜胆
- 「呉羽さん、なんか言って下さい。あたしが言ってもきか
ないんです」
- 呉羽
- 「びしっと言ったか?」
- 竜胆
- 「やんわりと」
- 呉羽
- 「……まあ、きつく言うよりはいいか。わかった」
- 呉羽
- 「自分ら、今何時か解ってるか?」
- 高校生1
- 「あぁ?」
- 呉羽
- 「十時過ぎたら、18歳未満の人間は、ゲーセンおったらあ
かんのや。何度も言ぅてるから解ってるやろ」
そう、何回も注意しているのである。
前に別の店員が注意したら、絡んできた。逆恨みを正当化しようとするのは彼らの特技。
- 高校生1
- 「一回くらいええやん」
- 呉羽
- 「あと一回って、そうやってエスカレートしてくから言ぅ
てるんや。法律で決まってるから、それは店としては守ってもらわな困るんや。わかったか? それ最後にして、帰れよ」
- 高校生1
- 「あ〜」
- 竜胆
- 「……」
- 呉羽
- 「……ったく、社会人違ったら、殴ってるで」
- 竜胆
- 「社員じゃなかったらの間違いじゃ?」
- 呉羽
- 「……バイトやったら殴ってるな」
呉羽路法、二十三歳。
竜胆よりイッコ上なだけで、彼はこの店のナンバー2で、店長が休みの今日は最高責任者。
- 呉羽
- 「休憩行ってくる」
- 竜胆
- 「はい」
- 高校生2
- 「おい、どーする?」
- 高校生1
- 「あんなん知るか」
- 竜胆
- 「……あの人怒らせてもいいの? あの人、ここの社員な
んだけど……出入り禁止になっても知らんけど」
- 高校生1
- 「あぁ?」
- 竜胆
- 「そーなったら、あたしらも、あんたら見つけ次第追い出
すけど、それでもいいの?」
- 高校生1
- 「……」
- 竜胆
- 「言っとくけど、ウチの店って、そーいうの徹底してるか
らね。よその店にも話して、この辺じゃゲーム出来んようになるけど」
- 高校生2
- 「(ヤバいって顔)」
- 高校生1
- 「……」
- 竜胆
- 「素直に十時になったら帰るだけやん。それだけ守れば、
こっちは構わないんだから」
- 高校生1
- 「(ゲームオーバー)」
- 竜胆
- 「あの人が事務所から出てきた時にまだ店内にいたら、ど
うなっても知らんよ。ゲーム終わったんやし、はよ帰りや」
- 高校生2
- 「……帰ろか」
- 高校生1
- 「おう」
- 竜胆
- 「……やっと帰った」
- 呉羽
- 「帰ったか」
- 竜胆
- 「はい」
- 呉羽
- 「素直に言う事きけっちゅうねん。金遣わんくせに、態度
でかい」
- 竜胆
- 「そーですよね」
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