- 緑
- 「……今日の練習はハードでした……(ふらふら)」
水泳というのはハードらしい。
そりゃあんな抵抗あるところで動いてるんだからな(^^;)
- 緑
- 「でも、バイトを休むわけには……急に休んだら、迷惑か
かるし……(ふらふら)」
いや、しんどい時は休んでいいんだよ(笑)
- 緑
- 「ふう……ちょっと休んでから……」
公園のベンチにへたり込む緑。
赤いTシャツの女の子がローラースケートをしてる。
- 緑
- 「あ、暑い……」
- 観楠
- 「……緑ちゃん、遅いなぁ」
- 三郎
- 「店長の駄洒落に耐えられなくなって倒れたとかけけけ」
- 観楠
- 「……そんなにつまらないかな?(汗)」
- 三郎
- 「それはベーカリー楠独自の味の追求けけけ」
- 慎也
- 「……」
シフトの二十分前には必ず来ていた緑。
シフトは17:00〜21:00。
今は、16:50。
- 慎也
- 「……」
- 竜胆
- 「こんにちわ〜……おう、高校生諸君……といっても二人
だけど、勉学にはげんどるかね」
- 三郎
- 「キャンプの準備で忙しいですけけけ」
- 慎也
- 「……」
- 竜胆
- 「キャンプか、夏ねぇ。せーぜー蚊に食われないよーに気
をつけなさいよ」
- 三郎
- 「合点承知ですけけけ」
そーこーしてるうちに一時間が過ぎた。
観楠は緑の家に電話してみるが、サイコな親父がおいちいと言うばかり。
- 慎也
- 「ちょっと、出てくる」
目が覚めると、あたりは暗くなっていた。
- 緑
- 「……」
自閉症モードにて自己回復。
- 緑
- 「疲れが……たまってたんですね……バイト、行かなきゃ」
- 慎也
- 「緑ちゃん!」
- 緑
- 「し、慎也さん?」
- 緑
- 「……部活やりすぎて……疲れて寝ちゃってたみたいです」
- 慎也
- 「……そう。頑張り過ぎちゃうんかな」
- 緑
- 「あたし……手を抜けない……性質ですから」
- 慎也
- 「そっか……今日はもう帰りなよ。店長には僕から言っと
くから」
- 緑
- 「そんな……あたし、店に行きます……店長に謝らないと」
- 慎也
- 「大丈夫やって。一日サボったくらいで、クビにはならへ
んと思うし」
- 緑
- 「そういう問題じゃ……」
- 慎也
- 「女の子は、体大切にせぇへんと……熱心なんは、緑ちゃ
んのいいとこやけど、それで体壊したら、余計迷惑かかると思うで」
- 緑
- 「……でも」
- 慎也
- 「僕だって困る。学校帰りの……楽しみなくなるやんか」
- 緑
- 「……え?」
- 慎也
- 「……緑ちゃん、バイトもサマになってきたし……エプロ
ン似合ってるし……毎日会えるし……」
- 緑
- 「慎也さん……」
- 慎也
- 「僕はな、毎日、緑ちゃんに会いたい。バイト休みの日な
ら一緒にいたい。バイトがあるなら、店で会いたい。だから、元気でいてほしい……」
- 緑
- 「慎也さん……」
- 慎也
- 「……家まで送るよ」
- 緑
- 「はい!」
- 観楠
- 「緑ちゃん……来なかったな」
- 竜胆
- 「慎也くんもいないし……二人してどっか行ってるとか」
- 観楠
- 「……それならそれで連絡してくれてもいいじゃないかぁ
目の幅涙)」
- 三郎
- 「閉店後の片付けを考えると泣きたくもなるらしいですな」
- 竜胆
- 「あたしでよければ手伝いましょうか?」
- 観楠
- 「それは悪いよ……」
- 慎也
- 「遅くなりました」
- 観楠
- 「慎也くん? 緑ちゃんは?」
- 慎也
- 「途中で会いましたけど……気分悪いからって、帰りまし
た」
- 観楠
- 「そ、そう……」
- 慎也
- 「緑ちゃんに代わって、謝ります」
- 観楠
- 「……いいよ、そんなの。緑ちゃんがズル休みするような
子じゃないってわかってるしね。でも、今度からはちゃんと連絡するようにって、伝えといてくれる?」
- 慎也
- 「はい」
- 慎也
- 「……蒸し暑いな……」
粘る湿気が、体にまとわりつく。
吹利の夏は暑い。
- 慎也
- 「……もう寝たかな……電話してみるか」
公衆電話に駆け寄る慎也。
明かりに群がる虫が嫌。
- 慎也
- 「もしもし……」
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