エピソード341『デビル更ちゃん怪談を語る』


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エピソード341『デビル更ちゃん怪談を語る』

夏の夜。いつものように竜胆の部屋。

剽夜
「……(あきりんを怖がらせて遊ぼう)」
竜胆
「? なんか言った?」
剽夜
「……あきりん、いいお話をしてあげよう」
竜胆
「……?」
剽夜
「とっても涼しくなれるお話だ。ちゃんと聞くんだぞ。途 中で寝たりしないようにな」
竜胆
「ぎくっ」
剽夜
「ある所に、赤ちゃんとお母さんがいたのだ。お父さんは、 出張中で家にいなかった」
竜胆
「もしかして……恐い話?」
剽夜
「黙って聞きなさい。それで、ある晩のことだ。お母さん は赤ちゃんを二階で寝かせて、下でテレビを見ていた。すると、電話が鳴った」
竜胆
「……ね〜、やめようよぅ」
剽夜
「電話は、出張先からのお父さんからだった。『赤ん坊、 大丈夫か?』 そう聞いてきたから、お母さんは、『さっき寝かせたから、大丈夫』って答えて、切った」
竜胆
「……ねーってば」
剽夜
「二、三分して、また電話が鳴った。『赤ん坊、大丈夫か』 って聞いてきたんで、『さっき寝かせたから大丈夫だって』って答えて、電話を切った」
竜胆
「……(びくびく)」
剽夜
「二、三分すると、また電話がかかってきた。お母さんは、 さすがに怪しく思って、電話を取った。よく聞いてみると、お父さんじゃないって気づいた。でも、さっきみたいに答えて、電話を切って、警察に電話した」
竜胆
「……?」
剽夜
「警察に、変な電話がかかってくるから逆探知してくださ いって頼んで、電話を切ったら、すぐに電話がかかってきた。『赤ん坊、大丈夫か』」
竜胆
「きゃあっ!(抱きつきっ)」
剽夜
「(しめしめ) お母さんは大丈夫だって答えた。電話を切 ると、すぐに電話がかかってきた。取ると、警察からだった。『今すぐそこから出なさい』って言ってきた。『赤ん坊いるんですけど』『いいから、すぐに出なさい。そっちに行きますから』 警察がそう言うから、お母さんは家を出た」
竜胆
「いやいやいやっ……(びくびくぎゅ〜っ)」
剽夜
「(うひょ)んで、警察官が来て、家に入って行った……ど うなったと思う?」
竜胆
「え? ……その……う〜……ち、血まみれ……?」
剽夜
「警察は無事だった。無事じゃなかったのは……赤ん坊。 変質者が二階に侵入してて、赤ん坊はめった刺しになってた」
竜胆
「……嫌……」
剽夜
「どう? 涼しくなった?」
竜胆
「……うん……でも、恐い話はやめてよぅ」
剽夜
「夏は怪談と相場が決まっているじゃないか」
竜胆
「あたしがそーいうの弱いって、知ってるくせに」
剽夜
「だからなんだよ」



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