エピソード354『ばっさり』


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エピソード354『ばっさり』

ここはベーカリー楠、そろそろ緑が来る時間だったりする。
 からんころん

「こんにちわ」
観楠
「お、緑ちゃん……ってあれ?  切ったの?」
「はぁ、うっとおしかったんで……ばっさりと……いっち ゃいました」
観楠
「……(ああ、慎也君ってロングが好みじゃなかったかなぁ)」
「あの……やっぱり……似合いませんよね?」
観楠
「あ、いや。いいんじゃないかな?  うん、すっきりし てて……緑ちゃんショートも似合うね(笑)」
「そうですか……すぐに入りますね」
観楠
「あ、よろしく」

からんからん

観楠
「いらっしゃい。……あれ?」
夏和流
「どうしました?」
観楠
「……君も、頭を切ったんだ?」
夏和流
「『頭を切る』?」
観楠
「……あ、いや頭じゃなくて、かみ……」
夏和流
「その通りですが?」
観楠
「……え?」
夏和流
「さっきみのるの奴にばっさりと頭を切られました」
観楠
「あ……そ……」
夏和流
「それがなにか?」
観楠
「あ……いや、きみも髪の毛も切ったんだなー、と思った のだけれど……」
夏和流
「……は? 僕が髪を切った??」
観楠
「え……違うの?」
夏和流
「……?」
観楠
「……」
夏和流
「(ぽん)あ、そっか。僕、髪の毛切ったんだっけ。忘れて ました」
観楠
「……」
「くす……面白い人……ですね。夏和流さんって」
夏和流
「(水島さんって笑うんだなぁ) え、そうかなぁ」
「御注文はどうします?」
夏和流
「水下さい」
「……え……?」
夏和流
「水、お願いします」
「あの……パンは……?」
夏和流
「いやぁ、節約しないといけませんし(笑)」
「はいっ、お水です(にこ)」
夏和流
「(水島さんって、笑うと綺麗だな……)」
「……あの……?」
夏和流
「あ、いやなんでもありません……」

からんころん

琢磨呂
「てんちょーっ! ……え……? ……も、もしかして…… みどり……ちゃん……なのかっ?」
「え……あ、はい。似合いませんか、先輩?」
琢磨呂
「のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!(琢 磨呂、店を飛び出す)」

無理もない、ベーカリーでは数少ないロングの人物だったのだから……(T_T)

観楠
「た、琢磨呂君……(そりゃー、「ロングだ! ロングが 一番だ! 推進対策向上委員会」って言っていつも叫んでるぐらいだもんなぁ〜、よっぽどショックだったんだろう)」
「あの、私の髪の毛、そんなに変ですか?」
観楠
「いや、結構似合ってると……」

突然亡霊のように観楠の背後に琢磨呂出現。

琢磨呂
「似合わない」
「え? きゃぁっ! 先輩、どこから……」
琢磨呂
「似合わないと言ったろう」
「そ……」
琢磨呂
「似合わんと言ったら似合わんのだっ!」
「うっ……」
琢磨呂
「ぜえええええったいショートなんか似合わん!」
観楠
「そこまで言わなくったって良いじゃ……」
琢磨呂
「(大声で)いいや! 似合わん! 駄目だ、ロングだ、ロ ングが一番だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……うわぁぁぁぁぁっ!」

琢磨呂、その場から消滅する。

竜胆
「……アレ、岩沙の怨念よ、店長さん。霊体の一部があま りにもつよい思考として噴出し、形骸化したもの」
観楠&緑
「(ぞぉ〜っ)の、呪われそう……」
竜胆
「あながち有り得ない話しではないですよ。憑かれるって のと定義は同じですから」
観楠
「でも竜胆ちゃんは……」
竜胆
「あたしは彼と出会った時からずっとショートですからね。 緑ちゃんほどのロング少女がばっさりと行ってしまったら……
……そりゃぁあれだけ言われても無理ないかもね。あの琢磨呂だし……」
「はぁ……。でも、冬の間は部活ありませんし……私、髪 伸びるの早いから……すぐ元に戻るかと……」
夏和流
「髪の伸びが……はやい?」
「え、ええ……」
夏和流
(……まあ、髪の伸びが早ければすけべなんて、迷信だな)
琢磨呂(怨念)
「俺は早いぞ!文句あるか!ベッドの上で早くなければ良い んだっ!」
夏和流
「(な、何言ってるんだろう琢磨呂さん……)」
「はぁ……(慎也さんなんていうかなぁ……)」

なんていう所に慎也登場。

慎也
「(ぶつぶつ)……しっかしなぁ、科目少ないって言っても 英語がなあ、うーん、なんだかなあ……(からんころん) : あ、ちゃーす」
「いらっ……し、慎也さん……」

 緑、かなり動揺してます(笑) そうとも知らず、慎也、ぶつぶつ言いながらカウンターに座る。
 まだなんか考えごとしてるらしい……。まったくねえ?(笑)

「あの……、慎也さん?」
慎也
「(でもまあ、何とかなるかなあ?) あ、緑ちゃん、いつ
ものね」
「は、はいっ」
慎也
「(えーと、数学の問題集はっと……)……ん? 
(何か違うことに気づく)……(緑の方を見る)
……(考えてみる)……えっ? ……(もう一度緑を見る)
わぁおぅっ!(ブロッサム、ジョーイ兄さん風)」
竜胆
「ようやく気づいたのね、鈍感シンちゃん。(笑)」

慎也君も、かなり動揺の模様……(笑)
 その後。

美々
「あれ? 緑ちゃん、首の後ろに……」
「あ、えーと……これ BCG 注射の跡なんですぅ(汗)」
美々
「なーんや、そうなんかぁ……って、アレって首の後ろに ぶち込んだっけ?」
(汗)

コネクタの存在を忘れていたようで。



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