(観楠のマンション・お昼時)
- かなみ
- 「ただいまっ」
- ミか
- 「おかえりなさぁい」
- かなみ
- 「あ、ミか。ミか!」
- ミか
- 「なぁに?」
- かなみ
- 「あのね、父様が本かってくれたの!」
- ミか
- 「本って絵本?」
- かなみ
- 「ぶー」
- ミか
- 「じゃぁ塗り絵でしょ? かなみちゃん好きだもんね(笑)」
- かなみ
- 「ちがうのっ! ほんとの本なのっ」
- ミか
- 「ほんとの本?」
- かなみ
- 「うん、ほんとの本!(にこっ)」
- 観楠
- 「『ほんとの本』かぁ(笑)」
- ミか
- 「あ、パパ。おかえりなさい」
- 観楠
- 「ただいま(笑)」
- ミか
- 「パパ、ほんとの本って?」
- 観楠
- 「あぁ、物語のことだよ。えーと、どれだっけ?」
- かなみ
- 「これっ!」
- ミか
- 「『0の殺人』……かなみちゃん、読めるの?(汗)」
- 観楠
- 「違う違う(汗)」
- かなみ
- 「えーと、こっちの大きい方!」
- ミか
- 「『姫と勇者と魔王の物語』」
- かなみ
- 「あとでミかによんであげるね」
- ミか
- 「……パパ、高学年からって書いてあるよ?」
- 観楠
- 「……ルビ振ってあるから大丈夫だと思うんだけど(汗)
まぁ、あれだね。漢字の予習にもなるからいいんじゃないかなぁ(笑)」
- ミか
- 「あ、も一つあるのは?」
- 観楠
- 「なんかのカタログだったかな? 「Missen秋号カタログ」
……家は婦人用品は要らないんだけどな。本屋のおばさんがくれたんだよ」
- ミか
- 「(カタログをめくる)あ、後ろの方に家具とか載ってるよ」
- 観楠
- 「そか、あとで見てみるよ。とりあえず、お昼にしよう(笑)」
(昼食後)
- 観楠
- 「さぁて……と(カタログに目が止まる) どんなのが載っ
てるんだ?」
装丁の通りにめくるとまず……
- 観楠
- 「コンパクトミラーは要らないけど、ヨーロッパ旅行は当
たるといいよなぁ。来年の3月出発なら……素子ちゃんでも誘って……って、当たるわけないな(笑)」
そのままページを進める。
秋物の衣装に身を包んだ女性が笑顔でポーズを作る。
- 観楠
- 「ふーん……若い子向けと言うより、20代後半からの女性
用って感じだなぁ。ん……スーツ姿の女性って、なかなかかっこいいな」
ページを進める。
- 観楠
- 「服だけじゃなくて小物もあるのか。でも家じゃまだまだ
必要ない品ばかりだな(笑)」
さらにページを進めると。
- 観楠
- 「……し、下着まで(汗) まぁ女性用だから当然と言えば
当然なんだが…… にしても、ここだけモデルの質が違うな(汗) しかしこれって、かえってあだるとな感じが……何考えてんだ(汗)」
- かなみ
- 「父様っ」
- 観楠
- 「うぅわぁぁぁおぅ!!(どびくっ)」
- かなみ
- 「どうしたの?」
- 観楠
- 「ん、いやな、なななんでもないよ、あは、あははは(汗)
(カタログを閉じる)で、なにかな?(汗)」
- かなみ
- 「これ、なんてよむの?」
- 観楠
- 「えーと……「きゅうていしさいさま」だね」
- かなみ
- 「こっちは?」
- 観楠
- 「「しっこくのまどうし」。やっぱりまだ難しいんじゃな
い? お話わかる?」
- かなみ
- 「うん。ちょっとむつかしいけど、おもしろいの(にこっ)
ミかの次は父様によんだげる!」
- 観楠
- 「それはうれしいなぁ(笑)」
- かなみ
- 「んじゃ、あとでねっ」
- 観楠
- 「はいはい(笑) さて……」
カタログを見て、積み上げた古雑誌を見る。
- 観楠
- 「いいや、まとめて捨てちまおう」
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