エピソード356『読書の秋』


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エピソード356『読書の秋』

(観楠のマンション・お昼時)

かなみ
「ただいまっ」
ミか
「おかえりなさぁい」
かなみ
「あ、ミか。ミか!」
ミか
「なぁに?」
かなみ
「あのね、父様が本かってくれたの!」
ミか
「本って絵本?」
かなみ
「ぶー」
ミか
「じゃぁ塗り絵でしょ? かなみちゃん好きだもんね(笑)」
かなみ
「ちがうのっ! ほんとの本なのっ」
ミか
「ほんとの本?」
かなみ
「うん、ほんとの本!(にこっ)」
観楠
「『ほんとの本』かぁ(笑)」
ミか
「あ、パパ。おかえりなさい」
観楠
「ただいま(笑)」
ミか
「パパ、ほんとの本って?」
観楠
「あぁ、物語のことだよ。えーと、どれだっけ?」
かなみ
「これっ!」
ミか
「『0の殺人』……かなみちゃん、読めるの?(汗)」
観楠
「違う違う(汗)」
かなみ
「えーと、こっちの大きい方!」
ミか
「『姫と勇者と魔王の物語』」
かなみ
「あとでミかによんであげるね」
ミか
「……パパ、高学年からって書いてあるよ?」
観楠
「……ルビ振ってあるから大丈夫だと思うんだけど(汗)
まぁ、あれだね。漢字の予習にもなるからいいんじゃないかなぁ(笑)」
ミか
「あ、も一つあるのは?」
観楠
「なんかのカタログだったかな? 「Missen秋号カタログ」
……家は婦人用品は要らないんだけどな。本屋のおばさんがくれたんだよ」
ミか
「(カタログをめくる)あ、後ろの方に家具とか載ってるよ」
観楠
「そか、あとで見てみるよ。とりあえず、お昼にしよう(笑)」

(昼食後)

観楠
「さぁて……と(カタログに目が止まる) どんなのが載っ てるんだ?」

装丁の通りにめくるとまず……

観楠
「コンパクトミラーは要らないけど、ヨーロッパ旅行は当 たるといいよなぁ。来年の3月出発なら……素子ちゃんでも誘って……って、当たるわけないな(笑)」

そのままページを進める。
 秋物の衣装に身を包んだ女性が笑顔でポーズを作る。

観楠
「ふーん……若い子向けと言うより、20代後半からの女性 用って感じだなぁ。ん……スーツ姿の女性って、なかなかかっこいいな」

ページを進める。

観楠
「服だけじゃなくて小物もあるのか。でも家じゃまだまだ 必要ない品ばかりだな(笑)」

さらにページを進めると。

観楠
「……し、下着まで(汗) まぁ女性用だから当然と言えば 当然なんだが…… にしても、ここだけモデルの質が違うな(汗) しかしこれって、かえってあだるとな感じが……何考えてんだ(汗)」
かなみ
「父様っ」
観楠
「うぅわぁぁぁおぅ!!(どびくっ)」
かなみ
「どうしたの?」
観楠
「ん、いやな、なななんでもないよ、あは、あははは(汗)
(カタログを閉じる)で、なにかな?(汗)」
かなみ
「これ、なんてよむの?」
観楠
「えーと……「きゅうていしさいさま」だね」
かなみ
「こっちは?」
観楠
「「しっこくのまどうし」。やっぱりまだ難しいんじゃな い? お話わかる?」
かなみ
「うん。ちょっとむつかしいけど、おもしろいの(にこっ) ミかの次は父様によんだげる!」
観楠
「それはうれしいなぁ(笑)」
かなみ
「んじゃ、あとでねっ」
観楠
「はいはい(笑) さて……」

カタログを見て、積み上げた古雑誌を見る。

観楠
「いいや、まとめて捨てちまおう」



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