エピソード358『かなみの か』


目次


エピソード358『かなみの か』

学校にて

「ねぇ、かなちゃん」
かなみ
「なぁに?」
「かなちゃんのなまえって、どんなの?」
かなみ
「みなとがわかなみっていうの」
「……そーじゃなくてぇ(汗) かなちゃんの名前どうやっ て書くの?」
かなみ
「あのね、ひらがなで「かなみ」ってかくの」
「漢字は?」
かなみ
「んーと……しらない」
「よぉ、なにやってんだ?」
「あ、あんたの名前、どんな字だっけ?」
「おれのは、えーと……(黒板に書く)こんなやつ」
「希望の望か……いい字だね」
「そーかぁ?」
「そー思わない?」
毅&大樹
「おれのはさぁ!」
「……どっからわいてきたのよあんたら(汗)」
「おれのかんじなんか一年じゃおしえてくれないんだぜ!」
大樹
「おれのは大きなキって書くんだ」
「……それなら大木にならないか?」
大樹
「えーと……(汗)」
「よし、これからは「だいき」でなく「たいぼく」とよぶ ことにしよう(真顔)」
大樹
「ち、ちょっとまってくれよぉ(汗)」
「茂あんた……知っててそういうつっこみはやめなよね」
智博
「ふん。おれなんか一ばんかくすうが多いんだぞ!」
「で、寧。なまえがなにかあったのか?」
かなみ
「望ちゃん、かなみのかんじ、しらない?」
「?? ??」
「かなみちゃんって、名前が平仮名だからどんな漢字書く のかなって思ったんだけど」
「うーん……かなみのとーちゃんなら知ってるんじゃない か?」
かなみ
「父様?」
「あ、そか。自分の子供なんだから、名前くらい知ってる わよねぇ(笑)」
かなみ
「かなみ、学校おわったらおみせいって父様にきいてくる!」
「あたしも行っていいよね(笑)」
「……いくのはいいが、きょうはみんなであそぶよていだ ぞ」
「あたしとかなちゃんは今日はパス!」
毅&大樹
「なにぃぃぃぃぃ!!」
智博
「そ、そんなのありかぁ?」
「おだまりっ! かなちゃんのこれからの人生にかかわる 大切なことなのに、あんたたちと遊んでる暇なんてあるもんですか。だいたいねぇ……」
かなみ
「みんなでいこっ!」
「か、かなちゃん(汗)」
「いいのか? しごとちゅうはあそびにいっちゃいけない んだろ?」
かなみ
「あそびじゃないもん。だからいいの」

ベーカリーにて

観楠
「……それで、大挙してやってきたというわけかぁ」
男共
「おじゃましまーす(笑)」
「おぢちゃんがかなちゃんの名前、漢字で書いてくれない んだもん」
観楠
「と、いわれてもねぇ……困ったな(苦笑)」
かなみ
「父様、かなみの字ってどんなの?」
観楠
「え……と、ね?(汗)」
かなみ
「うん」
「おぢちゃんの字はどんなの?」
観楠
「あ、それはみる**と**くすのきだよ」
「ふーん、それでかなみってよむのね?」
観楠
「かわってるけどね(笑)」
「へんなの」
観楠
「……ま、まぁ、そーだなぁ(汗)」
かなみ
「かなみのはっ?」
観楠
「ん、かなみちゃんのは……」
「かなちゃんのは?」
観楠
「かなみちゃんの名前は平仮名でかなみだよ」
かなみ
「どうして?」
観楠
「それはね、かなみちゃんが暖かさと優しさのある女の子 に育って欲しいなぁって思ったからだよ」
かなみ
「……?」
観楠
「漢字で書いちゃうと固くて冷たい名前になっちゃうと思っ たから……だめかな?」
かなみ
「??」
観楠
「つまりね。かなみちゃんの名前は、平仮名で書くのが一 番可愛いと思ったから、そうしたんだよ(笑)」
「ふーん」
観楠
「これでいいかな?」
かなみ
「うん!」
「なんだぁ。最初から平仮名だったんだ」
観楠
「気が済んだ?」
「じゃぁ、もしもかなちゃんの名前、漢字で書くとしたら どんなのが良い?」
観楠
「え、えぇっと……そーだな……ナイショだよ(笑)」
夏和流
「内緒? ……怪しい。ひょっとして、頭をよぎったのは 昔の彼女の名前とか」
観楠
「夏和流君……いままでの話、ほんとに聞いてた?」
夏和流
「あー、まぁ」
観楠
「かなみちゃんの名前の話で、なんで昔の彼女の名前が絡 んでくるのかな?」
夏和流
「ネーミングの由来とか」
観楠
「……僕の名前、しってる?」
夏和流
「……あぁっ(汗)」
夏和流
「じゃ、じゃあ、(棒読み)むかしすてたおんなに、『あな たのこにかなみってつけていい』といわれた、とか……」
観楠
「麦茶の値段、上げていい?」
夏和流
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
観楠
「……僕がいったい何をしたって言うんだ……(汗)」
夏和流
「やだなぁ。奥さんとわかれて、男手一つでかなみちゃん そだててるじゃないですか(笑)」
観楠
「……帰っていいよ、三河君」
「でも、不実やな」
観楠
「……久しぶりだな、おい(汗)」
琢磨呂
「寧ちゃんよ、こう書くんだよ「貨無彌」ってな」
「なにこれ?変な字」
夏和流
「加並、悲楠、加茄味、仮名未。どれにします?」
郁代
「華奈美、華楠、霞那爾、神名身、神奈美、伽菜魅、歌菜 弥、香那弥、佳並……あとは「か」、「な」、「み」のバリエーションで……」
美々
「香奈ビィとか……」
観楠
「琢磨呂君っ! ウソ教えちゃダメじゃないですか。それ じゃぁまるでお金がなくって困ってるような名前じゃないですか」
琢磨呂
「店長……敢えてそういう名前にしてだな、逆境の中を生 き抜く、外人部隊のように逞しい子供に育てようという……」
観楠
「娘をわざわざ逆境に放り込むような状況は、これっぽっ ちもないんだけどなぁ……(汗)」
琢磨呂
「あーもぉ、相変わらず危機管理がたりねーなぁ(呆) い いか? もし、てんちょーのいないところでかなみちゃんが危険な目に遭ったとする」
観楠
「うん(汗)」
琢磨呂
「その時、かなみちゃんは一人でピンチを切り抜けなきゃ だめだ。そーいう不測の事態に備えて、小さい頃から訓練しておけばだなぁ!」
観楠
「……だからって、それは名前と関係ないんじゃない?(汗)」
琢磨呂
「気合だよ、気合! 名前が平仮名だと敵にナメられるか も知れねーだろ?」
観楠
「……違う、なにかが違う(大汗)」
観楠
「かなみちゃんは女の子だってば! 逞しいも逆境も……」
琢磨呂
「……店長、ソレはセクハラ発言だぜ!?」
観楠
「うっ……せ、セクハラってそんなオーバーな(汗)」
琢磨呂
「いーや、今のは女性蔑視の発言だ(びしぃっ)」
観楠
「そんなつもりで言ったんじゃないって!(汗)」



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