エピソード359『ゴーストライダー』


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エピソード359『ゴーストライダー』

ある日、板金から帰ってきた愛車とともに、紫擾くんが、竜胆にリターンマッチを挑んできた。前回、ポリさんが水を差したせいで、うやむやになった勝負の決着をつけたいらしい。

紫擾
「というわけで、今度こそ吹利最速が誰か、きっちり決着 をつけてやるぜ」
竜胆
「あたしはどーでもいいんだけどね(笑)」
紫擾
「そ、それじゃ困る(汗)。勝負だ!」
竜胆
「今日は寒いから道は空いてそうだよね」
紫擾
「邪魔するやつはいないってことだな。よしよし、ならこっ ちも遠慮せずに踏み込めるってわけだ」
竜胆
「しかたないなぁ。じゃあ、駅前の交差点から出発して、 ゴールは峠の上ね。登り勝負」
紫擾
「はいな」

んで、バトる二人。

竜胆
「やっぱ寒いから、グリップしないな〜」
紫擾
「今頃あきりんは寒がってるんだろ〜な〜」

峠にさしかかる二台。
 めちゃ寒い。

竜胆
「この寒さじゃちょっとペース落とさないとしんどいわ」

吹利の峠は割と緩やかな高速コーナーが続いてる。
 だから、大型でも安心して(笑)、攻められる(笑)。

紫擾
「あきりんめ〜、なんだかんだ言って、めちゃ速いじゃな いかぁ。私が板金で乗れない間に、腕を上げたな……しかし、このままじゃ済まさないぞぅ……?」

後方から、ハイビームがすごいペースで上ってくる。
 そのまま、紫擾くんの車をパスしていった。
 ちなみに、メーター読みで120キロ。

紫擾
「な、なんじゃぁ? バイクかぁ?」

前方数メートルを走ってた竜胆のバイクをもパスして、そいつはぐんぐん上っていく。

竜胆
「……な、なに? すっげー速さ……」

峠のてっぺん。
 何台か、走り屋らしいバイクやら車やらが止まっている。
 しかし、さっきのらしいのはいない。

竜胆
「紫擾くーん。さっきの、なに?」
紫擾
「それはこっちが聞きたいのだ。あんなのがいるなんて、 聞いてないのだ」
竜胆
「聞き込みしてみよっか」
紫擾
「そうしましょう」
走り屋1
「あんたら以外、誰もきてないと思うけど」
走り屋2
「俺ら、だいぶ前からいるけど……そんなん、見てないな」
走り屋3
「もしかして、幽霊か?」
走り屋4
「昔の走り屋の幽霊?」
竜胆
「……」
紫擾
「お嬢さん、どー思います?」
竜胆
「なんか、音がね……しなかったのよ(汗)。抜かれた時 に」
紫擾
「私も聞こえなかったなぁ。ハイビームはすっきり見えて たのに」
竜胆
「なんか、カウルの感じは昔っぽい感じだったけどね。前 がでっかくて」
紫擾
「なんなんでしょうな」
竜胆
「ともあれ、勝負はあたしの勝ちね」
紫擾
「う。ああいう状況では、勝負どころじゃ……」
竜胆
「じゃあ、保留ということにしといたる」
紫擾
「ありがと〜ございます〜(^^;)」

数日後。

竜胆
「む〜」
紫擾
「やあ、あきりん。憂いてるね」
竜胆
「そりゃまあ憂いもするわ。これ見て」
紫擾
「ほい。なにやら古めかしいバイクだねぇ」
竜胆
「ホンダNR500。昔のレーサー。これなんよ」
紫擾
「はあ?」
竜胆
「これにこの前おいてかれたのよぅ!」
紫擾
「はあ、そうですか。こんな古いのにねぇ」
竜胆
「そう! いくらレーサーたって、こんな昔の骨董品に!  ホンダの最新最高性能を誇るCBR1100XXがぁ……うるうる」
紫擾
「あきりんの腕が足りなかったんじゃないか?」
竜胆
「そうかもしれない……だから、リターンマッチしたる」
紫擾
「……負けず嫌いだねぇ」
観楠
「気をつけて、安全運転でね?」
竜胆
「安全運転じゃ、バトルに勝てません」
観楠
「そりゃ、ま、そーなんだけど……心配だなぁ(汗)」

んで、また数日後。

竜胆
「紫擾くん、お待たせっ」
紫擾
「なんで軽バンで現れるんだぁ?」
竜胆
「これを持ってくるのにいるのよ」

中にはRVF(RC45)が入ってた。

竜胆
「8耐仕様のやつをそのまま持ってきたの」
紫擾
「……どこから?」
竜胆
「知り合いのお店。CBRを物質(ものじち)に出して……」
紫擾
「よくやるなぁ(汗)。これで負けたらどーすんの?」
竜胆
「……もう挑まない」
紫擾
「それが賢明だね……ま、私もすごいのを持ってきたんだ けど」
竜胆
「あ、FD3Sだ。うわ、悪趣味なリアウィング。高橋弟って 感じぃ」
紫擾
「ふっふっふ。こいつのコーナリング性能とパワーがあれ ば、パンダトレノにも負けないぜ」
竜胆
「……嘘つけ」
紫擾
「ごめんなさい、大嘘です」
紫擾
「やや、あきりん、いつの間にツナギに着替えてたんだ?」
竜胆
「さっき。車の中でね」
紫擾
「なんだ、一言言ってくれたら、着替えを手伝ってあげた のに」
竜胆
「いらんわ……そろそろ出ようか? エンジン暖めないと いけないしぃ」
紫擾
「公道最速仕様とレース車両があるんだ、今回は負けないぞ」
時雨
「あぁ!!」
観楠
「どうしたんです?」
時雨
「今わかりましたが、この軽バンってMTじゃないですか」
観楠
「それがどうかしましたか?」
時雨
「店長、あきりんはAT専用の免許ですよ」
観楠
「そっそれは……、犯罪者だね(笑)」
時雨
「そうですねぇ(笑)」
竜胆
「いや〜、ここまで持ってくるのは大変だった」
時雨
「そりゃそーだろう」
竜胆
「一速だとがっこんがっこんいって大変だから、二速で発 進してたんだけど、まあいいわな(笑)」

ところでてんちょは今いずこであろーか(笑)

時雨
「店長さんなら、さっき 『私のことを忘れないで下さい ねぇ〜』って言いながら去っていきましたが(笑)」



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