エピソード366『観楠、寝込む!』


目次


エピソード366『観楠、寝込む!』

吹利・初秋

観楠
「ふ、ふぇ……ふえっくしょぉぉぉぉぃっ!  うーむ(汗)」
郁代
「マスター、豪快なクシャミやねぇ(笑)」
観楠
「どーもね……(苦笑)」
郁代
「……誰かに思いっきり想われてるとか?(笑)」
観楠
「なんだそりゃ(笑) それって2回か3回続かないと駄目 なんじゃなかったっけ?」
郁代
「そーとも言うね(笑) じゃ、風邪?」
観楠
「んー……季節の変わり目だから……弱いんだな、どうも」
郁代
「熱とか出てこんうちに養生しときや(笑)」
観楠
「そーするよ(笑)」

などと言っていたのも束の間

湊川宅・朝

観楠
「……7度、7分……あがってる(咳)」
かなみ
「父様、だいじょうぶ?(心配)」
観楠
「あ……うん……」
かなみ
「おくすりのんだ?」
観楠
「あー……まだだったなぁ。あとで飲んどくよ」
かなみ
「あとはだめっ!  はい、お水っ」
ミか
「かなみちゃん、風邪薬あったよ」
かなみ
「父様、おくすりのんでっ」
観楠
「……今日はお店休みだから、一日寝てりゃ治る……(咳)」
かなみ
「はやくっ!」
観楠
「……はいはい(苦笑)……(ごくん) これで良い?」
かなみ
「うん」
ミか
「かなみちゃん、学校に行く時間だよ」
「(ぴんぽーん) かなみぃ、いくぞー」
かなみ
「はーい。父様っ」
観楠
「んー?」
かなみ
「かなみがかえってくるまで、ちゃんとねてなきゃだめよ」
観楠
「はいはい(苦笑)」
かなみ
「ミか、父様のことみててね。じゃ、いってきまーす」
観楠&ミか
「いってらっしゃーい」
観楠
「……ふぅ」
ミか
「パパ、大丈夫?」
観楠
「んー……実はあまり自信ない(汗) とりあえず寝るから かなみちゃん帰ってきたら起こしてくれる?」
ミか
「わかった」
観楠
「んじゃ、おやすみ……(咳)」

吹利駅前付近

由加梨
「……で、これがいろいろあってね……」
素子
「ふぅーん。由加梨も結構大変だね」
由加梨
「でもねぇ(笑)」
素子
「……?」
由加梨
「一人者だとかえって集中できるって言うか(笑)」
素子
「……なーによ、それ(汗)」
由加梨
「言ってみただけよん(笑) それより、久々にパン屋さん に寄ってかない?  テスト中の息抜き(笑)」
素子
「……今日は水曜、お店は定休日」
由加梨
「あら、そーだったかしら?」
素子
「もぅ……あら?  あれ、かなみちゃんじゃ?」
由加梨
「なんか久しぶりねぇ(笑) かなみちゃーん」
かなみ
「ゆかり姉様ともとこ姉様! おはようございまぁす(に こっ)」
素子
「おはよ、かなみちゃん(笑顔) 店長は元気?」
「かなみのとーちゃん、かぜひきなんだ」
由加梨
「……ほんと?」
かなみ
「あのね、せきしてて、『ななどななぶ』なの。だから、 かなみがかえるまでおくすりのんでねてるの」
由加梨
「ふぅん……心配?(笑)」
素子
「なんであたしに振るわけ?」
かなみ
「父様ったらね、おくすりのまなくてもいいっていうの。 かなみがかぜひいたときは『おくすりのまないとだめだよ』っていうのに」
由加梨
「そうよねぇ。でもかなみちゃん。かなみちゃんが学校終 わるのってお昼過ぎよね?」
かなみ
「うん」
由加梨
「じゃぁ、かなみちゃんが帰ってくるまで私たちが店長看 ててあげよっか?」
素子
「ちょ、ちょっと由加梨あんたいきなり何言ってっ(汗)」
かなみ
「姉様が?」
由加梨
「私たち今日は2時間でお終いなの(笑) いや、私は用事 があって駄目なんだけど、素子が暇だって言うし、ね?」
素子
「あんた……冗談は休み休みいいなさいよ(汗)」
かなみ
「んー……」
素子
「かなみちゃん、あのね今のは由加梨の冗談……」
かなみ
「うん!」
素子
「うん! って、ほんとに?(汗)」
かなみ
「あのね、父様もとこ姉様にあいたいって言ってたの」
由加梨
「へぇぇ〜〜……あんたほんっとに幸せ者だぁね(笑)」
素子
「う……(赤面) じ、じゃぁ、お見舞いさせてもらおっか な」

きんこーん、かんこーん

「かなみぃ、はやくいこーぜっ!」
かなみ
「うん。それじゃゆかり姉様ともとこ姉様、ばいばい!」
由加梨
「ばいばーい(笑) ……さぁて、テストなんかぱっぱと済 ませて……ねぇ素子?(笑)」
素子
「ゆぅかぁりぃぃぃぃぃぃぃ(由加梨の首を絞める)」
由加梨
「く、くるしっ……ってばっ(汗)」
素子
「なんであぁぁんなこと言うのよあんたはっ!」
由加梨
「いき、いき、がっ(汗)」
素子
「まったく……」
由加梨
「ま、まぁ。結果オーライってことで(笑) 急がないと遅 刻しちゃうよん(笑)」
素子
「ごまかすなぁっ!」

湊川宅

観楠
「うぅ……頭いてーよ、体だりーよぉ」
ミか
「パパ、ほんとに大丈夫?(汗)」
観楠
「ミか、温度計取ってきて……熱下がったら病院行ってく るわ」
ミか
「うん……」

こんこん

ビィ
「あぎゃ!」
ミか
「あ、ビィちゃん」
観楠
「ビィ?」
ビィ
「あぎゃ、あぎゃぎゃあぎゃ。あぎゃあぎゃあぎゃぁ!」
ミか
「……あーっ、忘れてたっ!」
ビィ
「あ、ぎゃっ……(ショック大)」
観楠
「ミか、なんて言ってんだ?」
ミか
「あのね、今日はビィちゃんとデートだったの。でもパパ が大変だったからすっかり忘れてたの!」
ビィ
「(おちこみ〜〜)」
ミか
「ビィちゃん、ごめんね?」
ビィ
「(おちこみ〜〜〜〜)」
ミか
「やーん(苦笑)」
観楠
「ミか、いいから行っといで(苦笑)」
ミか
「でも、パパは?」
観楠
「さっきよりはすこしマシになったと思うから……も少し 眠って、行けたら病院行くよ」
ミか
「無理しちゃいやだよ?」
観楠
「大丈夫だから、思いっきり楽しんどいで(笑)」
ミか
「じゃ、行ってきます。ビィちゃん、いこっ(にこっ)」
ビィ
「あぎゃっ☆」
観楠
「ふぅ……とは言うものの、なんかふらふらしてきたぞ(汗)
だいじょーぶなんだろーか……(大汗)」
素子
「まったく、由加梨ったら……そりゃ、店長に会うのは久 しぶりだし、いいんだけどまさかお見舞いなんて……あ」

気が付けば、件の家の前だったりする(笑)
 呼び鈴を押すが……反応が無い。

素子
「……壊れてる……んじゃないよね、ちゃんと音鳴ってる し。いない……のかな」

鳴っているのは知っているが、頭痛と発熱でそれどころではないのだ(苦笑)

観楠
「うー……誰かきた……今日は誰も来ないはずだし……伊 川さんかな?(ずきずき)」

ぴんぽーん

観楠
「はいはい、今出ますよ……。
ふ、ふぇぇっくしょいぃっ!!(汗)
うぅ……(がちゃっ) はい?」
素子
「こ、こんにちは……」
観楠
「……素子ちゃん!?(汗) どー……したの?」
素子
「あの、かなみちゃんから店長が大変だって聞いて……そ の」
観楠
「ん、まぁあがっ……げほげほっ(咳)……ご、ごめん」
素子
「……大丈夫ですか?(汗)」
観楠
「なんかもー、ぼろぼろで(苦笑) 自分がここまで弱いと は思わなかったよ(咳) とにかく、あがってよ(苦笑)」
素子
「じゃ、お邪魔しますね」
観楠
「えーと……素子ちゃん、コーヒーでいいかな?」
素子
「あ、私やります」
観楠
「いや、でも……」
素子
「病人は病人らしく、ですよ(笑) できたら持っていきま すから、店長は休んでてください」
観楠
「じゃ、そうさせて貰うかな……」

観楠、布団に潜り込む

観楠
「まさか、素子ちゃんが来てくれるなんて……せっかくの 休みだってのに、なんで風邪ひきなんだちくしょーっ(泣)」
素子
「店長、お昼はどうするんですか?」
観楠
「(起き上がる)え? あー……食欲無いから抜いてもいい かなと……」
素子
「やっぱり。そんなことじゃ早く治らないですよ」
観楠
「あー、うん(苦笑)」
素子
「台所借りていいですか?」
観楠
「え、そりゃかまわないけど……」
素子
「食欲は体力です☆ なにか作りますね(笑)」
観楠
「……ありがと……(咳)」
素子
「ほらほら、いつまでも起きてちゃだめですよ(笑)」
観楠
「……うん(笑)」
素子
「じゃ、しばらく待っててくださいね」

素子、寝室のドアを閉め調理に入る。
 しばらく後。

素子
「(ノック) 店長、入りますよ……店長?」
観楠
「んあ……なんか、眠ってたみたい(苦笑)」
素子
「体が疲れてるんですよ。はい、おかゆです(笑)」
観楠
「風邪ひきメニューの定番だね(笑) でも、素子ちゃんに 料理作ってもらえるなら、風邪治らなくてもいいかなぁ。
……って(笑)」
素子
「……そーいうこと言う人にはなにも作ってあげません」
観楠
「えーっ、そーなの?」
素子
「そーなんです(くすっ) さ、あったかいうちにどうぞ」
観楠
「じゃ。いただきまーす」
観楠
「ふぅっ……」
素子
「やけどしないでくださいね?」
観楠
「大丈夫(笑) にしても、ただのおかゆでもなんか味が違 うなぁ……おいしいよ(笑)」
素子
「ほんとですかぁ?」
観楠
「ほんとほんと(笑)」
素子
「ありがとうございます(笑) えーと(時計を見る)……や だもうこんな時間!?」
観楠
「なにかあった……あ、テスト中だったよね。ごめんね、 引き止めちゃって」
素子
「いえ、いいんです(笑) じゃ、そろそろおいとまします ね」
観楠
「よっと(立ちあがる) 送るよ」
素子
「そんな……いいですよ」
観楠
「いや、玄関までだから気にしないで……
(ふらっ)おぉっ!?」
素子
「店長!?」
観楠
「う、わっ、たたたっ(焦)」
素子
「きゃぁっ(焦)」

観楠、よろけて倒れるがなんと素子を巻き込んでしまう(笑)

素子
「いたた……」
観楠
「ご、ごめんっ……大丈夫?(汗)」
素子
「あたしはなんとも……」
観楠
「よ、よかった……(安堵)」
素子
「そ、それより……あの、店長……(照)」
観楠
「なに?」
素子
「手をのけてくれませんか?(赤)」
観楠
「のけるって一体……!! ごごごごごごごごごごめんっ(赤) わわざとざとわざとじゃないんだっ(真っ赤)」
素子
「……(赤面)」
観楠
「……その、つまり……(赤面)」
素子
「(両目を閉じて顔をあげる)」
観楠
「も、素子ちゃん!?(どきっ)」
素子
「……」
観楠
「……(こ、これは……これってやっぱり……だよなぁ)」
素子
「……(とくんとくんとくん)」
観楠
「も、もと、こ……(素子に顔を近づける)」
かなみ
「ただいまっ!!」
素子
「!!」
観楠
「へ!?」
かなみ
「父様、ちゃんとねてるっ?」
観楠
「(布団の中から) お(咳) おかえりかなみちゃん(真っ 赤)」
素子
「じゃ、あたしそろそろかえりますね(照)」
観楠
「あ、うん(赤)」
かなみ
「もとこ姉様、もうかえっちゃうの?」
素子
「うん。帰ってお勉強しないといけないの(笑)」
かなみ
「ふぅん」
素子
「店長とも会えたし……テスト終わったらまたくるね(笑)」
かなみ
「うん!(にこっ)」
素子
「じゃぁ」
観楠
「今日は、ありがと(笑)」
かなみ
「もとこ姉様、さよなら」
素子
「ばいばい、かなみちゃん(笑)」
かなみ
「(観楠の顔を覗き込む)」
観楠
「……かなみちゃん、どうかした?」
かなみ
「父様のおかお、まっかなの。もとこ姉様も!」
観楠
「(ぎくぅっ)そ、そーかな? うーむ、ひょっとしたら」
かなみ
「?」
観楠
「素子ちゃんに風邪うつしちゃったかも……」
かなみ
「??」
観楠
「ってことは、ないよね。あは、あははあはははは(作笑)」
かなみ
「……父様、へん」
観楠
「あははははははははははははははははははははは(作笑)」



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