- 岩沙琢磨呂(いわさ・たくまろ)
-
「ロングだ! ロングが一番だ! 意志向上軍総司令部付き副司令官」にして「年上がいいんだ!! 彼女は年上だぁあ! 意志向上軍総司令部付き副司令官」。……女好き。
- 湊川観楠(みなとがわ・かなみ)
-
ベーカリー楠の店長。不幸で幸福。素子に惚れている。
- 北緒麗衣子(きたお・れいこ)
-
岩沙琢磨呂のガールフレンド。すぐどつく。
- 三河夏和流(みかわ・かわる)
-
ベーカリー楠の常連客。彼女募集中。
- 水島緑(みずしま・みどり)
-
ベーカリー楠のバイトをしている少女。人見知りが激しい。
- 狭淵美樹(さぶち・みき)
-
活字中毒の医学生。
- 如月尊(きさらぎ・みこと)
-
FLOWER SHOP Miko 店長。
- 如月十兵(きさらぎ・じゅうべえ)
-
尊の祖父。
- 浅井素子(あさい・もとこ)
観楠に惚れている。元ベーカリー楠のバイト。現在受験勉強中。
- 湊川かなみ(みなとがわ・かなみ)
観楠の愛娘。
- 琢磨呂
- 「(どばんっっ!!) てんちょー、いるかっ!!」
- 観楠
- 「……いるけど、 ドアはもっと静かに開けてほしーなぁ
苦笑)」
- 琢磨呂
- 「そんな細かいこと言ってる場合じゃねーって!」
- 観楠
- 「……なに? なにかあったの?」
- 琢磨呂
- 「今そこで、すっげー美人見たんだよ!!」
- 観楠
- 「美人? そんなに? すごいの?」
- 琢磨呂
- 「そりゃーもぅ! 腰まであるストレートのさらさらロン
グヘアで、背はちょっと高めで……これで萌えなきゃ男じゃねーっ! って感じのすげー美人。感じからして3つ4つ年上だな」
- 観楠
- 「ふーん」
- 琢磨呂
- 「この辺じゃあまり見かけない顔なんだけど、てんちょー、
心当たりない?」
- 観楠
- 「心当たりといわれても……うちの店にくる女性はみんな
美人で可愛い子ばかりだからなぁ(苦笑)」
- 琢磨呂
- 「だーっ! それはまぁ忘れてだな(汗) 他に知らない?
商店街の関係かなんかで?」
- 観楠
- 「はて……うーん、記憶にないなぁ(笑)」
- 琢磨呂
- 「じゃぁ、てんちょートコのマンションに新しく入居した
とか?」
- 観楠
- 「それは管轄外だって(汗) 大体なんでそんなこと知って
なくちゃいけないの?(汗)」
- 琢磨呂
- 「情報収集は戦略の基礎だ!」
- 観楠
- 「……なんのための戦略なんだか(呆)」
- 琢磨呂
- 「ちっ。てんちょーならわかると思ったんだがな」
- 観楠
- 「商店街に関係あるならなにか連絡があると思うんだけど
ねぇ」
- 琢磨呂
- 「連絡……ってなに? 吹利駅前商店街美女出没情報?」
- 観楠
- 「なんなんだそりゃ(笑) いやそーいうのじゃなくて、新
しいお店ができて、どんな人がやってますってくらいだよ」
- 琢磨呂
- 「ふーん……新しい店か」
- 観楠
- 「はい?」
- 琢磨呂
- 「あ、商店街の端っこにさ、改装中っていうかそんな感じ
のところがあるだろ?」
- 観楠
- 「端っこ……えーと、確か新しくお花屋さんがオープンす
るって聞いたなぁ」
- 琢磨呂
- 「それだぜてんちょー。きっとそこの関係者だ!」
- 観楠
- 「……はぁ〜〜?」
- 琢磨呂
- 「長身ロングの美女が営む花屋! これはもーいくしか
ねー! というわけで、てんちょー、つなぎたのむ」
- 観楠
- 「まだ決まったわけじゃないんじゃないの?(汗) それに
つなぎって一体なに?(汗)」
- 琢磨呂
- 「そりゃやぼだぜ(呆) ここの、花の用事は全部俺に任せ
てくれねーか?」
- 観楠
- 「……別に花の用事はないなぁ」
- 琢磨呂
- 「かなみちゃんの自由研究とか、素子へのプレゼントとか!」
- 観楠
- 「……そ、そーいうのは自分で買うからいいよ(汗)」
- 琢磨呂
- 「ちっ」
- 麗衣子
- 「『ちっ』ってなに?」
- 琢磨呂
- 「……へ?(汗)」
- 観楠
- 「やぁ、麗衣子ちゃん(笑)」
- 麗衣子
- 「今までの会話はぜぇぇぇんぶ聴かせてもらいましたから
ね」
- 琢磨呂
- 「……(汗)」
- 麗衣子
- 「ふーん、へぇぇ……ロングで美人ですかぁ?」
- 観楠
- 「ついでに年上らしいよ(笑)」
- 麗衣子
- 「ふぅぅぅん……よかったですねぇ、先輩」
- 琢磨呂
- 「う……(汗)」
- 麗衣子
- 「そぉんなひとがいるんなら、この髪もう伸ばさなくても
いーですよねぇぇぇ……切ろっかな」
- 琢磨呂
- 「ま、まて、落ち着けっ(汗)」
- 麗衣子
- 「わたしは落ち着いてますよぉ? えぇ、いつもどーりの
落ち着いてるひとです(怒)」
- 琢磨呂
- 「あれは、その、つまりだなっ!!(汗)」
- 麗衣子
- 「……ここじゃなんですから、道すがらゆっくり言い訳を
きかせてもらいましょうか、先輩?(般若の微笑)」
- 琢磨呂
- 「お、おぅっ(汗)」
- 麗衣子
- 「どーも、おじゃましましたぁ(笑) さ、いきましょーか
先輩?」
- 琢磨呂
- 「(T_T)」
- 観楠
- 「……若いってのはいいねぇ(笑)」
- 夏和流
- 「駅前……花屋……年上の美人……」
- 観楠
- 「何ぶつぶつ呟いているの?」
- 夏和流
- 「僕は最近悟ったんです」
- 観楠
- 「……何を?」
- 夏和流
- 「やはりつきあうのなら年上ロングだと!」
- 観楠
- 「君までそーいうことを……」
- 郁代
- 「年下ロングもいいよ。結構。あ、ショートでも可」
- 観楠
- 「へぇ、そうなんだ」
- 郁代
- 「まあ、『年下』の娘とらぶらぶな奴をみてるからな」
- 観楠
- 「……誰のこと?」
- 郁代
- 「自分の胸に聴いてみな!(笑) この幸せ者!(笑)」
- 観楠
- 「(照れ)」
- 緑
- 「ロング……あ、そういえば私髪切ったんだっけ……結構
伸びたな(ウィンドーに写った自分を見て独り言) あれ?あの角……(角で荷物を降ろす尊に気付く)」
- 夏和流
- 「だぁって、同年代とかだとうまくナンパが成功しないん
ですよ」
- 観楠
- 「……それが本音なわけね」
- 夏和流
- 「なんとでも言ってください。開店したら、絶対僕も見に
行こうっと」
- 観楠
- 「はいはい」
商店街の外れ。角のお店のシャッターが開けられ、運送屋のトラックから、引越荷物らしい大荷物を運び込む運送屋の姿が見える。
その側では、薔薇やかすみ草などの、花を運んでいる尊(みこと)の姿が見える。
- 尊
- 「薔薇にかすみ草に……これでよしっと。運送屋さん、荷
物はそれで最後かしら?」
- 運送屋
- 「はい、これで最後です。じゃ、うちらはこれで! まい
どどうも〜(ブロロロロ〜)」
- 尊
- 「ご苦労様〜……さ・て・と」
店の前に立って、看板を見上げる尊。看板には「FLOWER SHOP Miko」の文字が、白地にピンクのペンキで書かれている。
- 尊
- 「あたしのお店……か(微笑)」
- 十兵
- 「尊ぉ、荷物(ぜぃ) 全部(ぜぃ) 運んだ(ぜぃ) ぞぉ」
- 尊
- 「あ、ありがと、お爺ちゃん」
- 十兵
- 「まったく(ぜぃ) 年寄りを使いおって! 一人暮らしな
んかするから、余計な手間が増えるわい」
- 尊
- 「何いってるの! ここに一人で住めって言ったのお爺ちゃ
んじゃない!」
- 十兵
- 「はて? そうじゃったかな」
- 尊
- 「んもう! 都合のいいときだけ年寄りになるんだから」
- 十兵
- 「まぁよいわ、では、ワシはマンションに戻るからな、夕
飯、頼んだぞ」
- 尊
- 「はいはい(苦笑) でも、お夕飯何にしよう……今日は引
越で疲れちゃったから、作るの億劫だし……」
と、店先で夕食の献立に悩む尊の鼻先に、何とも言えない良い香りが漂ってきた。
- 尊のお腹
- (ぐぅ〜)
- 尊
- 「やだっ(真っ赤)、誰にも聞かれなかったわよね(きょろ
きょろ)」
- 尊
- 「でも、いい匂〜い! どこかで、パンかケーキでも焼い
てるのかな?(きょろきょろ)」
- 尊
- 「ベーカリー楠……って、パン屋さんか。そだ! 後で引
越の御挨拶も兼ねてパン買いに行こっと!」
機嫌良く鼻歌何ぞを歌いながら店の中に入っていく尊。
尊が店の中に消えると同時にベーカリー楠のドアが開き、男女の二人連れが出てきた。
- 琢磨呂
- 「いててっ! ま、まてっ! 耳引っ張るな! ちぎれる!」
- 麗衣子
- 「さぁ、きりきり歩くっ!!(怒)」
- 琢磨呂
- 「お、落ち着けっ、話せば判る! 話せば!」
- 麗衣子
- 「今日という今日はキッチリお仕置きしてあげます!(ず
るずるずる……)」
- 尊
- 「(何なんだろ……変な人達ねぇ)」
- 麗衣子
- 「(鋭い視線が一閃)」
- 尊
- (びくぅっ!)
- 琢磨呂
- 「(大声で) て、てんちょぉぉぉぉぉぉぉぉ! 後は頼
ん……(麗衣子に口を押さえられる)……むご……むうごごご!! !」
ずるずるずる……
- 尊
- 「(小声で) あのぉー、この度こちらに引っ越してまいり
ました……」
- 観楠
- 「後は頼んだって……あ、いらっしゃいませ(なるほど、琢
磨呂君の言った意味がやっと解ったよ)」
- 尊
- 「あの……今の人たちは……一体……(振り返っている)」
- 観楠
- 「ああ、あれなら気にしないで下さい、いつもの事ですか
ら(笑)」
- 尊
- 「はぁ……(なんか一瞬身の危険を感じたのは気のせいか
しら) あ、御挨拶が遅れました。今度、そこの角で花屋を始めます、如月尊と言います、よろしく(ぺこり)」
- 観楠
- 「こりゃどうも、ごていねいに(礼) 私はここの店長で湊
川観楠と申します、以後宜しくお願いします(笑) (しかし……なるほど、こりゃぁ琢磨呂君でなくても騒ぐ訳だ)」
- 尊
- 「? なにか?」
- 観楠
- 「あ、いや、その、奇麗な方に越してきて頂いて、この辺
も華やかになるなって(汗々)」
- 尊
- 「(くすっ) 御上手ですね」
- 夏和流
- 「あ〜、だまされちゃダメですよ、今までこの言葉で店長
さんにだまされた女性は数知れず……」
- 観楠
- 「夏ぁ〜和〜流〜くぅ〜ん(目の幅涙) どうして君は……」
- 夏和流
- 「真実ですから」
- 美樹
- 「いわゆる一つの、実績による評価というものですね。店
長のこれまでの努力が報われたというわけで……。
あ、コーヒーもう一杯貰えます?」
- 観楠
- 「美樹さんまで……(よれよれ) 尊さんに誤解されるじゃ
無いですか〜」
- 美樹
- 「何か問題でも?」
- 尊
- 「(くすくす) 面白い方達……(微笑ましげに眺める)」
- 夏和流
- 「ところで、店長さんばっかり売り込んでないで、僕らも
紹介して下さいよ。あ、僕は謎の常連高校生客R、三河夏和流です。よろしく」
- 観楠
- 「売り込んでないって(苦笑) えっと、そっちで本を読ん
でるのが狭淵美樹さん、うちの常連年長組です(笑)」
- 美樹
- 「あ、どーも、狭淵です。よろしくお願いします。
軽く頭を下げてから再び本に戻る)」
- 尊
- 「よろしく。(にっこり) でも、年長組って……そんなに
大勢常連さんが?」
- 観楠
- 「ええまぁ、ご覧の通りうちは喫茶コーナーがあるんで、
こっちにばっかり人が集まっちゃって(苦笑) で……」
カラン、コロン
- 素子
- 「こんにちは〜!」
- 観楠
- 「あれ? 素子ちゃん、勉強はOFFかい?(笑)」
- 素子
- 「ちょっと参考書を買いに(笑) そしたらそこでかなみ
ちゃんと会ったんで(笑顔)」
- かなみ
- 「父様ただいまっ(笑顔)」
- 尊
- 「きゃ〜! 可愛い〜! 観楠さんの娘さんですか?」
- かなみ
- 「かなみ、父様の娘だよっ!」
- 尊
- 「そっか、かなみちゃんていうの……あれ? 名前が?」
- 観楠
- 「いや、それは……その……(苦笑)」
- 素子
- 「店長、こちらの方は?」
- 観楠
- 「(素子ちゃんナイス!) こちらは今度そこの角で花屋さ
んを始められる如月尊さん。いま、御挨拶にみえたんだ、こちらは浅井素子ちゃん、うちの看板娘零号です(笑)」
- 素子
- 「看板娘零号の浅井素子です(笑)」
- 尊
- 「如月尊です、よろしく」
- 観楠
- 「で、こっちが看板娘初号の水島緑ちゃん(笑)」
- 緑
- 「よ、よろしく……(汗)」
- 尊
- 「よろしくね、緑ちゃん(にっこり)」
- 緑
- 「はい……よ、よろしくお願いします(ぺこり)」
- 素子
- 「(内緒話モード) 店長、店長」
- 観楠
- 「(つられて内緒話モード) ん? なに?」
- 素子
- 「(ぼそぼそ) 今、そこで、岩沙達とすれ違ったんだけど
……『あれ』ってひょっとして(ちらっと尊を見て苦笑)」
- 観楠
- 「(ぼそぼそ) 御名答(苦笑)」
- 素子
- 「(ぼそぼそ) 懲りない奴……(苦笑)」
- 尊
- 「(なに内緒話してるのかしら……でも……仲良さそう)」
- かなみ
- (傍に立って下から尊をじ〜っと見上げる)
- 尊
- 「ん? なあに? かなみちゃん?(しゃがみ込んでにっ
こり)」
- かなみ
- 「(くんくん) 姉様、とってもいい匂いがする」
- 観楠
- 「こ、これかなみちゃん、失礼でしょ!」
- 尊
- 「いえ、いいんですよ……でも、あたし香水なんてつけて
ないけど……」
- 緑
- 「あ、でも……いい匂い……」
- かなみ
- 「あのね、お花の匂いがするの!」
- 尊
- 「なるほど(微苦笑) さっきまで温室にいたから花の匂い
が髪に付いちゃったのかな……。かなみちゃんは、お花好き?」
- かなみ
- 「うん! だ〜いすきっ!(満面笑顔)」
- 尊
- 「そう(にっこり) じゃぁ、かなみちゃんにこれあげる」
- 観楠
- 「へぇ、ジャスミンですか。すみません尊さん。ほら、か
なみちゃん、ありがとうは?」
- かなみ
- 「いい匂〜い! ありがとう! みこ姉様!」
- 尊
- 「素子さんと緑さんも、お近付きの印に、これどうぞ」
- 素子
- 「えっ? わたしにも? 有り難うございますっ(喜)」
- 緑
- 「わぁ、奇麗。……うれしい……」
- 観楠
- 「二つともあまり見かけない花ですけど、なんていう花な
んですか?」
- 素子
- 「あれ? これ……ドライフラワーなんかで見る……」
- 美樹
- 「エリンギウム、南ヨーロッパ原産のセリ科の花。水島さ
んのは弟切草ですね」
- 尊
- 「へぇ、よく御存知ですね。エリンギウムは普通ドライフ
ラワーにするんですけど、そのままでも結構奇麗ですから」
- 素子
- 「そういえば『おとぎりそう』って弟を切る草って書くん
でしょ? 奇麗だけど縁起が……あっ!(自分の口を押さえる)御免なさい尊さん」
- 尊
- 「(くすっ) いいんですよ(微笑) でも、弟切草はもう一
つ使い道があるんです」
- 緑
- 「もう一つ……使い道……ですか?」
- 尊
- 「ええ、女の子がこの花を枕の下に敷いて眠ると、未来の
伴侶の姿を夢に見る事が出来ると伝えられています」
- 緑
- 「えっ!? 伴侶って……」
- 尊
- 「信じるか信じないかは、人それぞれですけど(微笑)」
- 夏和流
- 「あぁ、いいなぁ」
- 尊
- 「あっと、御免なさい! 男性はこっちをどうぞ」
- 夏和流
- 「やったぁ(喜)」
- 観楠
- 「夏和流君……(苦笑)」
- 美樹
- 「おや、わたしにも頂けるんですか?
これはどうも御丁寧に。ありがとう御座います」
- 尊
- 「観楠さんもこれどうぞ。良かったらお店に飾って下さい」
- 観楠
- 「僕にも頂けるんですか? いやぁすいません(大照) で
も、これはまた……小さい鉢植えですね?」
- 美樹
- 「これは……蘭、ですね?」
- 尊
- 「ウチョウ蘭です。高山植物で、本来は採ってはいけない
んですが、うちは株分けに成功しましたから」
- 観楠
- 「でも、蘭って育てるの難しくないですか?」
- 尊
- 「大丈夫。花は女の子と同じで、大好きな人の傍にいれば、
大きく美しく育つものなんです、ね。(にっこり笑って女の子三人の方に振る)」
- 素子
- 「!?(真っ赤)」
- 緑
- 「えっ? ……あの……その……私……えっと……オーブン
見てきますっ(裏へダッシュ)」
- かなみ
- 「かなみ、父様の事大好きだから、大きくなるっ!(極上
笑顔)」
- 観楠
- 「か、かなみちゃん……(幸福の目の幅涙)」
- 尊
- 「あ、いっけな〜い、もうこんな時間! 急いで買い物し
てかなきゃ! ええっと、これとこれとこれとこれっ! お願いします……って観楠さん?」
- 観楠
- 「……(幸福の目の幅涙) はっ! あ、あぁ(大照)」
- 尊
- 「よっぽどかなみちゃんが可愛いんですね(くすくす)」
- 観楠
- 「いやぁ(照笑) あっと、そのパンは僕からの引越祝いで
す、サービスしときますよ」
- 尊
- 「えっ? 良いんですか?(喜) じゃぁ……遠慮無く」
- 観楠
- 「素子ちゃん、そこの袋を取ってくれない……あれ?
きょろきょろ) いない」
- かなみ
- 「素子姉様、真っ赤な顔して行っちゃったよ(外を指差す)」
- 観楠
- 「? じゃぁ、僕が包むか……(がさごそ) はい、どうぞ」
- 尊
- 「有り難うございます。じゃ、あたしはこれで……あっと、
これ、うちの店のチラシです、よかったら店の方にもいらして下さいね、それじゃ」
- かなみ
- 「ばいばい〜(笑顔で手を振る)」
- 観楠
- 「んと、なになに」
| |
| FLOWER SHOP Miko OPEN! |
| |
| 来る12月4日近鉄吹利駅側に「FLOWR SHOP Miko」 |
| 新装オープン! |
| 切花、鉢植各種取り揃えております。 |
| |
| 大切な人への贈り物に、あなたの想いを花束にして…… |
| |
| 営業時間 10:00 〜 20:00 |
| 定休日 毎週 月曜日 |
| |
| 尚、ご連絡頂ければ配達も致します。 |
| |
| 吹利学校大学部 | | |□ |
| --------------]|[---------+-----+---+-+-----吹利本町商店街-- |
| 至JR文研都市駅/ 吹利大学|通り | | |□ |
| / | | | |□ 吹利本町 |
| / | | | |□近鉄吹利駅 |
| +--------------+-----+---+-+ | |
| / | | | |
| / | [*]|←ココ |
| 京大吹利/ | ----+ | |
| 学舎 / | | |
| / | | |
- 観楠
- 「ふ〜ん、明日オープンか……かなみちゃん、明日行って
みようか」
- かなみ
- 「うんっ!」
- 夏和流
- 「いくんですか? なら、僕もお供します」
- 観楠
- 「え、べつにいいよ」
- 夏和流
- 「いえ、花って重いでしょうし。それに絶好の口実ですし」
- 観楠
- 「……君って、正直だね」
一方その頃、外へ駆け出した素子は……。
- 素子
- 「(どきどきどきどき)あ〜びっくりした……尊さん、いき
なりあんな事言うんだもの、心臓が止まるかと思っちゃった。
でも……大好きなあの人の側にいれば……あたしも……あの人に振り向いてもらえる位……側にいても見劣りしない位、素敵になれる……かな?(くすっ)」
一方、バックヤードの緑は……。
- 緑
- 「(未来の……伴侶……)」
じっと手に持った弟切草を見つめる緑。
- 緑
- 「試して……みようかな……でも……」
ふと、脳裏に慎也の笑顔が横切る。
- 緑
- 「(あの人は私の事……『好き』って、言ってくれた……
試すなんて……)」
何かを追い払うように、ふるふると頭を振る。
そして、小走りに流し台に駆け寄り、大きなコップに水を満たす。
- 緑
- 「花瓶が無いから……御免ね後でちゃんと生けて上げるか
ら」
たたっ、とお店に戻っていく緑。
テーブルの上にはコップに生けられた弟切草が一輪、窓から差し込む穏やかな光に照らされていた。
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部