ここはりん姉のバイトするゲームセンター。
おや? いつもならカウンターに見えるりん姉の姿が見当たらない。
お、更衣室から妖しげな格好をした誰か出てきたぞ。
あれは……
- 店長(非観楠)
- 「というわけでよろしく頼むよ」
- 竜胆
- 「は〜い……」
- 呉羽
- 「君の双肩にその辺の客を引き込めるかどーかがかかっと
るんだ、よろしく頼むよ、うん?(オヤジ口調)」
- 竜胆
- 「自分がやれよ」
- 通行人
- 「ん? なんや、あれ」
- 通行人
- 「コスプレか? あれ」
- 通行人
- 「なんかすげーな(汗)」
- 竜胆
- 「いらっしゃいませー(棒読み)」
- 呉羽
- 「をいこら。そんなことで客を呼べると思っとるのか、う
ん?(オヤジ口調)」
- 竜胆
- 「恥ずかしいっすよ(汗) 10円ゲーセンじゃあるまいし、
なんでこんなカッコ……」
- 呉羽
- 「なんちゅうかねぇ……時代のメインストリームは、マニ
アックな方向性をね、こう手探りで模索しつつ、留まることなく突き進んでるというかね」
- 竜胆
- 「それとあたしがアテナの格好するのとどういう関係があ
るんですかい」
- 呉羽
- 「しゃあない。今日、遅番入ってる女の子って自分だけや
もん。それに、店長の発案やし」
- 竜胆
- 「それが納得いかんっつーの! ……ヅラまでかぶって、
あたしはなにしてるんだ……(汗)」
- 呉羽
- 「休憩のときも着替えるなよ。そのカッコで行けよ(笑)」
- 竜胆
- 「御免こうむる」
さて、こーいうときに限って知り合いとか友達とかが遊びにくるんだよな。
- 琢磨呂
- 「うーっす……な、なんてカッコしてやがんだぁ?(汗)」
- 慎也
- 「……可憐だぁ〜」
- 竜胆
- 「うっせぇ! 見るな!(汗)」
- 観楠
- 「こんばんわ〜がんばってる……?(汗)」
- かなみ
- 「こんばんわっ……りん姉様、ヘンなカッコしてるのっ(汗)」
- 竜胆
- 「あう〜……こ、これはね……悪い人の陰謀でこーいうカッ
コさせられてるのよ(汗)」
- かなみ
- 「じゃあ、かなみが悪い人、やっつけてあげるのっ」
- 紫擾
- 「やあ、二番目に愛しいMy Honey……と、とっても愛しい
カッコだね(汗)」
- めぐみ
- 「……見なかったことにしてあげる(しみじみ)」
- 竜胆
- 「ありがと……(しみじみ)」
- 剽夜
- 「おうっ、あきりん、元気にやってるか……と、とっても
元気そうで、安心したよ、じゃあ!(汗)」
- 竜胆
- 「う〜、顔見た瞬間帰るなぁ……(汗)」
わいわいがやがや。
- 竜胆
- 「……ううっ、客の入りが多い……事務所に行くのが恥ず
かしい……」
- 紫擾
- 「あきりん、今日はいっしょにご飯を食べに行こうと思っ
て休憩時間に合わせてきてみたんだが……またの機会にしたほうがよかったかなぁ(汗)」
- 竜胆
- 「だ、大丈夫、上からコート着たらわかんないから」
- 紫擾
- 「いや、そうじゃなくてね。面が割れてるっていうか……」
- 剽夜
- 「いや、私は気にしないぞ」
- めぐみ
- 「内緒にしといたげるから、ね?」
- 竜胆
- 「うん、ありがと」
- 観楠
- 「んー……」
- 琢磨呂
- 「どした、てんちょー?」
- 観楠
- 「アテナが……」
- 琢磨呂
- 「アテナ? 姐さんのカッコどうかしたのか?」
- 観楠
- 「ちがうっ! アテナはやっぱり上から降ってくる途中、
赤いスカートがとれて、黄金の鎧と炎の剣を装備するまでナンギな道を歩むんだ!」
- 琢磨呂
- 「……なんの話だ?(汗)」
- 慎也
- 「可憐だ〜……」
- 琢磨呂
- 「シン、ほかに言うこたねーのかよ?」
- かなみ
- 「かなみ、キッズミール食べるのっ」
- 観楠
- 「はいはい」
そのころ職場では
- 呉羽
- 「作戦大成功ですね」
- 店長(非観楠)
- 「そうやね」
- 竜胆
- 「まんだらげののりで、プリティーサミーの歌でも歌おう
かな。けど、あれは、一応合方がいるしなぁ)」
- 剽夜
- 「(スチャ) だいじょうぶだ。あきりん。私がその役を買っ
て出ようではないか」
- 竜胆
- 「はっ、更ちゃん。そのりょーちゃん人形は!?」
- 剽夜
- 「いや、CMを見て欲しくなってな。コアラ人形をベースに
作ってもらったのだ。ちゃんと、針金で手足も動くぞ」
- 竜胆
- 「さすが、りょーちゃんラブラブな更ちゃんね。(^_^;)」
- 剽夜
- 「愛があれば、りょーちゃんの言葉も理解できるぞ」
- 竜胆
- 「そうですか……(^_^;)。(気を取り直して) じゃぁ、歌
おっか」
- 剽夜
- 「OKだ」
- 竜胆
- 「な・ん・で・も・できるはずだわ〜」
- 剽夜
- 「みゃおぉぉぉぉん」
そして、ゲーセン内にいつもかかっている有線に変って、その日は竜胆ワンマンショーになったそうだ……。
- 剽夜
- 「みゃ、みゃ、みゃぁぁぁん」
「竜胆ちゃんアテナのコスプレするっ! 事件」の次の日。
水島家、緑の部屋。
- 浩二(弟)
- 「(がらっ) 姉ちゃん、ぱずるだま対戦やろうぜ……って
……あ?(汗)」
- 緑
- 「えっ? きゃぁぁ着替え中よっ!」
- 浩二(弟)
- 「いや……着替え中なのは分るけど……それ……なに?(呆)」
- 緑
- 「なにって……」
猫耳、猫手、猫足にしっぽ。その姿はどっから見ても……。
- 浩二(弟)
- 「もしかして……フェリシア? ……(汗)」
- 緑
- 「あたり〜にゃぁ(にこ)」
- 浩二(弟)
- 「ひょっとして……姉ちゃんのバイト先が、コスプレのク
リスマスパーティー……やるとか?(汗)」
- 緑
- 「ちがうの、この間竜胆さんがコスプレしてたって聞いた
から……」
- 浩二(弟)
- 「は? それと姉ちゃんがコスプレするのと、どう関係が?」
- 緑
- 「それはその……(慎也さんこういうの好きだって聞いた
し……)」
- 浩二(弟)
- 「?(^^;)」
同じく「竜胆ちゃんアテナのコスプレするっ! 事件」の次の日。
- 正
- 「なんだ、この奇妙な格好をしている写真は」
- 琢磨呂
- 「やはりいらないか」
- 正
- 「うーむ、もちっと個人的に肌の露出が多いほうがいいな、
やはり。その方が精神的ダメージが大きい」
- 琢磨呂
- 「で、ではこれなんかは……ううう…….」
- 正
- 「どうした鯖壱(*1)」
- 琢磨呂
- 「これを撮った苦労を思うと涙が思わず……ううう……」
- 正
- 「そんなに刺激が強いのか、どれどれ。ぐはっ、こ、これ
は!」
- 琢磨呂
- 「俺の涙の理由がわかったか?」
- 正
- 「う、うーむ(汗) こんなものではどうだろうか? (電
卓を見せる)」
- 琢磨呂
- 「あと2割欲しいな」
- 正
- 「むぅ、しかたあるまい。約束のモノだ」
- 琢磨呂
- 「そうだ、こっちの写真もサービスしておくよ」
- 正
- 「私には理解できんが……精神ダメージが大きいというの
なら頂いておこうではないか」
- 琢磨呂
- 「そいつは、核ぐらいにダメージあると思うぜ(含み笑い)」
- 音祇
- 「また岩沙さんから怪しい写真を買って」
- 正
- 「別段卑しい行為をしようというわけではない。自己防衛
のためだ」
- 音祇
- 「でもですねぇ……」
- 正
- 「お、そうだ。これ、私には理解不能なのでおまえにくれ
てやろうではないか」
- 音祇
- 「こ、これってアテナ……ですよね? で、化け物ねー
ちゃんがなぜ?」
- 正
- 「アテナとかいうものは知らんが、洗濯板(*2) だということ
は間違いないな」
- 音祇
- 「アテナってのはゲームのキャラクターですよ」
- 正
- 「そうか」
- 音祇
- 「そうかぁ、化け物ねーちゃんはコスプレまでするのか」
- 正
- 「こーいうのがコスプレというのか」
- 音祇
- 「あ、そーです。何かゲームでもアニメでも何でもいいん
ですけど、その真似をするっていうやつ」
- 正
- 「となると、これは面白そうなことになりそうだな(ニヤリ)」
- 音祇
- (な、なんかヤバメの雰囲気)
- *1
- サバゲ壱号の略称
- *2
- 豊秋竜胆の名称
あっちこっちで竜胆ちゃんの写真を売りさばいてるようだけど、どうなっても知らないよ、琢磨呂君。
- 琢磨呂
- 「ほら、これなんか結構良く撮れてる」
- 観楠
- 「ほんとだ、僕にも一枚くれる?」
- 琢磨呂
- 「OK、てんちょーの分も焼き増ししとくよ」
- 観楠
- 「ところで、そっちの手に持ってるのも写真?」
- 琢磨呂
- 「あ、いや、これは……」
ばさっ
- 観楠
- 「ん?」
- 琢磨呂
- 「いけねっ!」
床に散らばったのは、いつの間に撮ったのかコスプレした竜胆を、あらゆるアングルから撮影した写真数十枚。
しかもそれには、観楠に見せた写真がかすんで見えるくらい『かわういりんどうちゃん』が写っていた。
- 琢磨呂
- 「こ、これは軍事機密だっ! てんちょー! 機密漏洩は
銃殺だぞっ(汗)」
- 観楠
- 「はいはい(笑)」
- 琢磨呂
- 「なにをニヤニヤと……ええぃ(汗) 総員撤収だっ!」
からん、がらん!
琢磨呂が飛び出すより早く、ベーカリー楠に慎也が飛び込んできた。
- 慎也
- 「見つけたぞっ岩沙っ!」
- 観楠
- 「あー、毎度毎度だけど。ドアは静かに開けて欲しいなぁ
苦笑)」
- 琢磨呂
- 「お、おう、シンじゃねーか。どうした?(汗)」
- 慎也
- 「どうした? じゃねー! おまえ緑ちゃんに何吹き込ん
だっ」
- 琢磨呂
- 「なにって……シンはコスプレ好きだからって……」
- 慎也
- 「だぁっ! 俺はコスプレ好きじゃないっ! 余計な事吹
き込むなっ」
- 琢磨呂
- 「違うのか?」
- 慎也
- 「違うっ!」
- 琢磨呂
- 「なぁシンよ……(にやにや)」
- 慎也
- 「何だよ」
- 琢磨呂
- 「(内緒話モード) フェリシアよりモリガンで悩殺の方が
良かったか?」
- 慎也
- 「(一瞬想像)……あ(鼻血っ)」
- 琢磨呂
- 「ふっ、まだまだだなシン。てんちょー! シンを頼む
ぜっ!」
- 慎也
- 「まて岩沙っ……あう」
- 観楠
- 「頼むって、琢磨呂君……行っちゃった。あ、慎也君!
上向いて! 上!」
- 慎也
- (岩沙〜覚えてろ〜)
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