エピソード390『long VS short 再び』


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エピソード390『long VS short 再び』

ベーカリー楠にて、コーヒーを飲みつつくつろぐ顕。
 フラナ&本宮(フラナはジュース)も顕に習ってくつろいでいる。

「フラナ、聞きたいことがある」
フラナ
「なんですか先輩? 真面目な顔しちゃってぇ」
「つかぬことを聞くが、女の子の髪はショートが好きか?」
フラナ
「髪型ですかぁ? うーんどっちかっていうとロングかなぁ」
「なにいぃぃぃ、この裏切り者めぇぇぇ(怒)」
琢磨呂
「よぉぉぉし、よくいったぁぁ(歓喜)」
「ぬぅ琢麿呂、貴様いつのまに」
琢磨呂
「ふっ顕、貴様まだ無駄な努力をしている様だな」
「ぐぐぐ、おのれぇ」
琢磨呂
「(無視して) そこのフラナとやら、きみはなかなか見込 みがあるぞ(なでなで)」
フラナ
「え、ホント? やったぁへへへ(深く考えてない)」
「フラナァァァ、私は悲しいぞぉぉぉ」
本宮
「まぁまぁ先輩、いいじゃないですか」
「(ギラリ)もとみー」
本宮
「はい?(たじたじ)何ですか?」
「おまえはショートがいいよな、そうだよな、そうに決まっ てるな(血走った目)」
本宮
「えっ、別に……その人に似合ってればどんな髪型でもい いんじゃ……」
「でぇぇい、ショートだ、ショートがいいんだぁぁ」
琢磨呂
「ロングだ、絶対にロングだ、貴様ぁはっきりせんかぁぁ」
本宮
「え、あのっそのっ(たじたじ)」
フラナ
「(こそっ) どっちかにした方がいいよもとみー、このま まえんえん続いちゃうよ」
本宮
「(そんなん言われてもなぁ……) じゃあ、本当にどっち かの髪型がいいか先輩達が証明してみせてくださいよ」
フラナ
「あ、面白そう、もとみーが判定するんだねっ」
「よぉし、みてろもとみー、絶対ショートがいいんだから な」
琢麿呂
「ふふふ、ロングがいい、ということをしっかりと思い知 らせてやる」
本宮
「(まずい事言っちゃったかなぁ) あの、そんな二人とも 真剣にならなくても」
フラナ
「ねぇねぇ楽しみだね、もとみー、どうなるのかなぁ」
本宮
「今から不安になってきた……」

燃え出した二人、フラナも一緒になってはしゃいでいる。
 本宮は後悔の念を胸に三人を見守っている……。
 数日後……

琢磨呂
「さぁ、まずはこの写真を見るんだ、本宮」
本宮
「……ショートカット、それも極度に髪の短い女の人です ね、誰ですこれ?」
琢磨呂
「誰かというのはこの際あまり問題はない。で、この写真 も見るのだ」
本宮
「さっきの女の人の2年後……って感じですかね?」
琢磨呂
「いい勘してるぜ! そうだ。この女性を見よ!ロングに なってどれだけ奇麗に、いや、どれだけ可愛くなったか!」
本宮
「確かに、この人にはロングが似合いますね」
琢磨呂
「だろ!? だろ!? そう思うだろ?」
本宮
「ええ、そう思います」
琢磨呂
「よし、ここにサインしろ(急に口調がこわばる)」
本宮
「なんですこれ?」
琢磨呂
「『ロングだ! ロングが一番だ! 推進対策向上委員会・ 入会申込書』だ。君ならこれにサインしてくれると俺は信じてるぞ!」
麗衣子
「せ・ん・ぱ・い・っ!」
琢磨呂
「(目ん玉ぶっとび、どびっくり! 0.02秒で入会申込書 を懐に仕舞う)や、やややややあ、麗衣子」
麗衣子
「ごめんね、ちょっと終礼が長引いちゃって」

本宮は写真を持ったまま。しかし麗衣子は写真に気が付いていない。

麗衣子
「(本宮に軽く会釈をすると)さ、いこ、先輩」
琢磨呂
「と、言うわけで、本宮、この話はまた今度という事で…… ……(冷や汗たらたら)」
本宮
「先輩……」
琢磨呂
「ん?」
本宮
「この写真の女の人って、彼女さんだったんですか?(写 真をテーブルに広げる)」
麗衣子
「あ……私の高一の時の写真と……現在の……先輩……(左 手がハリセンをいざ抜きとらんという動きを見せる)」
琢磨呂
「まった! 待て! wait、stop、freeze、Keep from!」
麗衣子
「私を宣伝文句にしたでしょ……」

麗衣子は琢磨呂の左に立って、いざ張り倒さんという構えを見せている。

琢磨呂
「(右側のポケットから右手で小型ハンドガンを取り出す と、麗衣子からは見えない位置で本宮に向ける) 本宮君、僕たちはポートレート写真におけるフラッシュの活用方法に付いて話をしていたんだよね?(といいつつ銃の安全装置を外す)」
麗衣子
「そうだったの?(こわーい声)」
本宮
「え……あ……そ、そうです! そのとおりです、先輩。 やだなぁ……あはははははははは(冷や汗)」
琢磨呂
「と、言う事で、麗衣子。帰ろうぜ」
麗衣子
「うん。久しぶりだもんね、先輩と一緒に帰るの……(腕 を組む)」
本宮
「(ちょっとお呼びじゃないかなー、なんて) じゃ、さよ うなら、先輩」
琢磨呂
「では」

数分後、帰宅準備中本宮。

本宮
「うーむ……(写真を眺めている)……確かに、ロングの方 が可愛い。うーむ。真剣に入会を考えてみようかなぁ……」

しかし本宮は、次の日、長瀬顕からも同じような洗礼を受ける事など考えても見なかった。
 次の日……

「さぁ、まずはこの写真を見るんだ、本宮」
本宮
「……ロングヘア、それも極度に髪の長い女の人ですね、 誰ですこれ?」
「誰かというのはこの際あまり問題はないんだ。あと、 この写真も見るのだ(ショートの女の子の写真を見せる)」
本宮
「さっきの女の人ですか? ぜんぜんイメージ違いますね」
「いい勘してるな。そう、この女性を見よ! ショートに なってどれだけ奇麗に、いや、どれだけ可愛くなったか!」
本宮
「確かに、この人にはショートが似合いますね」
「だろ!? だろ!? そう思うだろ?」
本宮
「ええ、そう思います」
「よし、ここに血判するんだ(急に口調がこわばる)」
本宮
「なんですこれ?」
「『女の子は元気なショートが一番だ! 党・入党申込書』 だ。君ならこれにサインしてくれると俺は信じてるぞ!」

そこへ琢磨呂登場。露骨に嫌な顔をする顕。

琢磨呂
「ふ……顕。まだそんなことをやっているのか! 本宮は 既に我が委員会への加入をほのめかしている!」
「さぁ、血判だ!」
琢磨呂
「こっちは直筆サインでいいぜ!」
本宮
「あの、先輩がた」
顕&琢磨呂
「ん? 決心付いたか?」
本宮
「新党『似合ってるが良いぞ党』結成ってのは……」
顕&琢磨呂
「本宮ぁ!」
本宮
「びくっ」
顕&琢磨呂
「歯を食いしばれぇ」

3・2・1……

顕&琢磨呂
「自民党パーーーーーーーーンチ!」
本宮
「ごふっ……」
顕&琢磨呂
「ふん……新党の乱立は政治を腐敗させる」
本宮
「俺は……あきらめんぞ……」

よろよろと立ち上がり唇をかみ締める本宮、その目には決意の炎が燃えていた。



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