年の瀬の商店街。夏和流とみのるが歩いている。
と、道の反対側にミョーに浮かれて帰宅を急ぐベーカリー楠店長、湊川観楠氏の姿が見えた。
- 夏和流
- 「あ、店長さんだ、おーい店長さーん」
- 観楠
- 「愛〜ゆえに〜(鼻歌交じりでまったく気付かず)」
- 夏和流
- 「気付かないのかな……てんちょうさーん!」
- 観楠
- 「ひとーはー傷つき〜(完全に地に足が付いていない。すっ
かり、まったく気付かず)」
- みのる
- 「大分、浮かれてるようだな」
みのるは観楠の方にチラリと一瞥をくれただけでスタスタ歩いていく。
- 夏和流
- 「そーだみのる、店長さんが何故浮かれているか当てて見
せよう」
- みのる
- 「いらん」
- 夏和流
- 「そんなー聞いてよー」
- みのる
- 「一人で言っていろ、俺は聞かんぞ」
- 夏和流
- 「まず、店長さんが浮かれる原因と考えられるものは二つ」
- みのる
- 「……」
- 夏和流
- 「かなみちゃんと、素子さん、この二つだ」
- みのる
- 「……」
- 夏和流
- 「しかしこの内、かなみちゃんに関しては、今日は遊びに
行ってると聞いたから除外しよう、然るに原因は素子さんだと仮定する。現在が年の瀬だと言う事も考え合わせると導かれる結論は一つ」
- みのる
- 「初詣の約束を取り付けた、とでも言うんだろ、どうせ」
- 夏和流
- 「それを先に言わないでよーワトスン君」
- みのる
- 「誰がワトスン君だ」
- 夏和流
- 「みのる」
この後、年の瀬の夕暮れに見事な剣の舞いが披露された事は言うまでもない。
- 観楠
- 「んー……?」
- 素子
- 「なにかあったんですか?」
- 観楠
- 「あ……うん。なーんか誰かに見られてる様な気がするん
だ」
- 素子
- 「見られてる……って」
- 観楠
- 「……(まさかベーカリーの連中が来てんのか?)」
- 素子
- 「……嫌ですか?」
- 観楠
- 「え?」
- 素子
- 「あたしと2人でいるところ見られるの……」
- 観楠
- 「そ、そんなことない、よ(照)」
- 素子
- 「……じゃぁ、いいじゃないですか(くすっ)」
- 観楠
- 「あー……(照)」
- 素子
- 「ね、おみくじ引きにいきましょっ」
- 観楠
- 「いいね、いこっか(笑)」
素子、観楠の腕をとって歩き出す。
2人の影がいいかげん離れたところで柱から転がり出るのは……。
- 夏和流
- 「ふこーへいだぁ!!」
- みのる
- 「……だからやめとけと言っただろうが」
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