エピソード400『スカロマニアマニア』


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エピソード400『スカロマニアマニア』

〜登場人物〜
  大門喬(だいもん・たかし)       しがない会社員
  炎野火虎左衛門(えんの・ひこざえもん) 特撮好きの大学生
 吹利のとあるゲーセンで……
 ウォーザードの1P台でパスワードを入力する大門喬。

喬  
「ああっ、何故にレベル8? 私のレベル30の
 ムクロはぁぁぁぁぁ!!」
火虎左衛門
「パスワードをミスりやがったか(くっくっく)」
喬  
「爆龍昇が出ないぃ(泣)
 勿体無いから一応遊んどきますが……(しくしく)」
火虎左衛門
「俺、ダイナマイト刑事やってくる」

10分後……

喬  
「うう…… よりにもよってハウザーで散るとは(泣)」
火虎左衛門
「ああ、あの時パンチさえ押していれば……(泣)」
喬  
「もう帰りますか?(脱力)」
火虎左衛門
「その前に…… アレ、何だ?」

火虎左衛門が指差す先にある対戦台。
 あまり人気がないのかデモが延々と流れ続けている。

喬  
「ああ、ストリートファイターEXですか。
 ここにも入荷されたんですねぇ」
火虎左衛門
「そうじゃないっ!! あのガイコツ野郎だ」
喬  
「スカロマニアっていうキャラです。
 悪の戦闘員みたいですが、正義の味方なんですよ。
 ……遊んでみます?」
火虎左衛門
「無論だ」

2分もしないうちにステージ1で散る火虎左衛門。
 おもむろに出したスカロスライダーをガードされては、
 投げられまくっていたのだ。

火虎左衛門
「ちょっと待てーい!!
 難しすぎやせんか、おい!!」
喬  
「下手ですねぇ、ちょいと私に貸してみなさい。
 いいものを見せて差し上げますから」

火虎左衛門をどかせて、コインを投入する喬。
 趣味なのかキックカラーの赤スカロマニアを選択。
 小パンチ*2 レバー前 小キック 大パンチ
 拳を光らせ敵に突っ込むスカロマニア。
 敵に接触するや否や次々に現れる特撮物のようなヒットシーン。
 そして敵に背を向け「悪は滅びろ!」と決めポーズを取る。
 その一連の動作は火虎左衛門のハートを鷲づかみにするのに
 十分すぎるインパクトであった。

火虎左衛門
「うおぅ、なんだこの必殺技はっ? カッコ良すぎる。
 今までにない乱舞技だな、オイ。
 しかも決めポーズのオマケ付き! くぅ〜っ!!」
喬  
(うう…… いちいち叫ぶなよぅ、恥ずかしいな(汗))
「でもって……」

次々と見せ技を披露する喬。
 それに徹したためか、全力なのか、結局はステージ4で力尽きる。
 で、その帰り道……

火虎左衛門
「いやあ、期待以上のキャラだったな。
 あれくらいの衣装だったら簡単に縫えるし」
喬  
「は?(汗)」
火虎左衛門
「必殺技だって、やって出来ないこともないしな」
喬  
「お、おい。ちょっと待ちなさいオマエ。
 アレのコスプレでもするつもりですか?(大汗)」
火虎左衛門
「ヘッド、クラッシャー、スライダーはいいとして、
 スカロダイブは烈火翔の推進力で方向転換できるし、
 問題はスカロトカチェフか……
 機械体操部やってた頃ならなぁ」
喬  
「って、食らう方がオマエの遠心力を支えきれませんよ。
 それに一つお願いしますが……」
火虎左衛門
「なんだ?」
喬  
「そのカッコをしたとき、私に声かけないでくださいね。
 絶対に、ですよ」
烈火翔【れっか・しょう】《術》
   炎野流操炎術の一。
   炎を爆発力に変え、それを推進力にして空中ダッシュをする技。
   因みに烈火翔とは火虎左衛門の命名。



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