エピソード401『帰省から帰ってみると』


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エピソード401『帰省から帰ってみると』

成人の日から5日間はセンター試験と、その準備のために大学の講義が休みであった。休みを利用して、実家への帰省していた美樹が、自分の下宿に帰ってくる。その足どりは何故かふらついている。

美樹
「ただいまぁ〜〜〜」
ふみ
「おかえりなさい」
「おっかえり。ねぇ、ねぇ、おみやげは?」
美樹
「ちょっと待って、くだ、さい。なにか、変わったことは なかったですか?」
ふみ
「大家さんがいらっしゃいましたけど」
美樹
「あ、もしかして」
「契約更新の話だってさ」
美樹
「やっぱりそうでしたか。そろそろ行こうかと思ってたん ですよ。まぁ、それは後でいいとして。で、他には?」
「あと、吹利中央郵便局から、アルバイト料の明細」
美樹
「見せて下さい」
ふみ
「その前に、お荷物降ろされたらいかがですか?」
美樹
「確かに。それは賢明な意見ですわな」

両肩に担いでいた大荷物を降ろす美樹。

「何持って帰ってきたの?」
「何持って帰ってきたの?」
美樹
「いや、米に、酒に、つまみに、後、何か良く判らない飲 料物ですね」
ふみ
「重くありませんでしたか?」
美樹
「電車でしたから、さほどは」
「ねぇねぇ、その飲料物ってなんなの?」
美樹
「話せば長くもならないんですが、うちの伯母がね、生薬 卸業の会社に勤めていまして、そこの試供品とかいう話でしてね。大量にあるので、少し持っていけとかいうことで」
ふみ
「美味しいんですか?」
美樹
「わたしは特に不味いとは思わなかったんですけどね。う ちの一家では誰も飲もうとしないんで、たくさん貰ってきてしまったんですよ」
「(なんか不味そう……)」
美樹
「新しい味はいつも理解されないものなんですよ。きっと」
ふみ
「……そうなんでしょうか?(汗)」
美樹
「そういうもんですよ、世の中ってもんは。うんうん。
ま、とりあえず、食料品を適当に所定の位置に入れてやりましょう」
「はーい」

数分後、荷物の整理が終了する。

美樹
「で、バイト代の明細はどこですか?」
ふみ
「はい、こちらです」
美樹
「どれどれ」

郵便局の封筒を開ける美樹。年末年始は吹利中央郵便局で年賀状仕分けのバイトをしていたのだ。

美樹
「うむ。これで三月四月が乗り切れますねぇ」
ふみ
「いくらぐらい頂けたんですか?」
美樹
「10万ちょいってとこですねぇ」
「なんか、まだ今のお金って良く判らないわ」
美樹
「そうですねぇ。ここの家賃の2カ月分ですね」
「ふーん。そんなもんなんだ」
美樹
「そんなもんです。ま、お茶にしましょうか」



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