エピソード405『ひとりぼっちの夕食は……』


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エピソード405『ひとりぼっちの夕食は……』

夕方七時……もう夕飯の時間、ベーカリー楠ではほとんど人がいなくなった店内で、店長は新しいパンの構想にふけっていた。

観楠
「(パンは栄養が偏りやすい……それを補完するために、 うーんなにをいれるかだな……)」
フラナ
「てーぇんちょーおさぁん(突然)」
観楠
「どわわわわ」

いきなり前触れも無く目の前に出現したのはフラナだった。

観楠
「な、なんだっ……フラナくんか」
フラナ
「へへへ、店長さんっ変な顔(満面笑顔)」
観楠
「どこからはいってきたんだ、ドアベルもなってないのに」
フラナ
「へっへーん、ひ・み・つ」
観楠
「ふぅ(どっと疲れる) いいけどね、あれいつもの本宮く んは一緒じゃないの?」
フラナ
「もとみーは偉い人にギターを習いにいってて今日は遅い んだって」
観楠
「へぇそうなんだ」
フラナ
「それより店長さんなんかパンない?」
観楠
「そりゃパン屋だからね、なにがいい」
フラナ
「んークロワッサンとねぇチーズデニッシュでいいや」
観楠
「夕ご飯?」
フラナ
「うん、うち両親共働きだし、一人なら作るより早いもん」
観楠
「一人で夕ご飯食べるの」
フラナ
「いつもはもとみーの家でごちそうになってるけど、今日 もとみーいないし……姉ちゃん家は……新婚だから僕……邪魔になるし(ちょっと暗い顔)」
観楠
「(そうなんだ……)一人で……さみしくないの?」
フラナ
「……ちょっと……(少し寂しげ)」
観楠
「(……なにかできないかな……)あ、そうだ。ちょっとまっ てて」
フラナ
「?」

ぱたぱたと奥に引っ込む店長、しばらくして丸いパンを持ってくる。

観楠
「これ、もっててよ(パンを差し出す)」
フラナ
「何? このパン(受け取る)」
観楠
「新しく作った栄養パン。若い子はしっかり栄養とらない とね、試作品だけど食べてみてよ」
フラナ
「え、いいの店長さん(笑顔満面) やったぁラッキー(ぴょ こぴょこ)」
観楠
「そのかわり、ちゃんと味の感想をきかせてね」
フラナ
「うんありがと、店長さん。じゃあまたね」
観楠
「じゃあね、フラナくん」

ぱたぱたぱた、元気にかけていくフラナ。満足げに見送る観楠。

観楠
「気に入ってくれるかな……特製十二品入りの栄養パン」

ちなみに十二品はサンマ・ジャガイモ・ほうれん草・にんじん・蜂蜜・セロリ・三つ葉・ゲンノショウコ・粉末ビーフ・イワシ・シラス・佃煮海苔、もうバッチリである。

フラナ
「へへへ、ラッキー特製パンもらっちったぁい」

何にも知らず上機嫌のフラナ、近所の公園のジャングルジムに陣取って買ったばかりのパンを広げる。

フラナ
「もらった奴は後にとっといて……(がさがさ) と、いっ ただっきまーす(はむはむ)」

その頃、本宮はギターの練習を終えて家に帰る途中だった。

本宮
「うーさみぃ。俺の飯……残ってねぇだろな、なんか食っ て帰るか……そういやフラナの奴は飯どうしてるかな」

ちょうど公園の近くにさしかかって、ジャングルジムのフラナを発見。

本宮
「? おーいフラナかぁ」
フラナ
「ありぇ(くるっ) もとみー? 遅いんじゃなかったのぉ」
本宮
「早くしてもらったんだよ。……ところでおまえ飯まだか」
フラナ
「うーパン食べてる、まだ一個残ってる」
本宮
「なら、どっか食いにいこうぜ、まだ食えるだろ」
フラナ
「んーそだね、いくっ(ピョン)」

ジャカジャンジャン。
 ギターをかき鳴らしつつどういうわけか佐古田登場。

佐古田
「……(じーっと訴える目)」
本宮
「……わかった一緒にいこうな佐古田」
フラナ
「ねぇねぇなに食べるぅ」
本宮
「そうだな、俺は腹減ってるけど、おまえはパン食ったん だよな」
フラナ
「(せっかくもらったやつだけど……まいいか) じゃもと みー後でこれ食べる?」
本宮
「なんだ? このパン(しげしげ)」
フラナ
「店長さんの試作品だって」
佐古田
「……(じーっまたもや訴える視線)」
本宮
「……半分個しような……佐古田」

この後、軽く食事をすませ三人は家路についた。帰りに本宮と佐古田の手には半分ずつの特製栄養パンが握られていた……。
  翌日、佐古田と本宮は……学校へこなかった……。

フラナ
「……だって、店長さん」
観楠
「おかしいなぁ、なにがいけなかったのかな」



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