エピソード418『見た事の無い制服』


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エピソード418『見た事の無い制服』

からんころん。
 高校生らしい女の子が一人、ベーカリー楠に入ってくる。

観楠
「いらっしゃいませ〜(? 見たことない制服だなあ)」
少女
「ここにいわしパンとししゃもパンがあるって聞いたんで すけど〜」
観楠
「(どうしてそういうものばかり有名なのだろう(T_T) ) はい、ありますが……」
少女
「ほんとだっ!! ま〜ちゃん、嘘いってなかったな♪」
観楠
(まーちゃん?)

少女、とりあえず全種類のパンをトレーにとる。ものすごく幸せそうである。
 それでもまだ、プリンとプリンアラモードのどちらを買おうか迷っているようである。
 からんころん
 観楠、ドアを見る。そしらぬ顔をして豊中が入ってきたところ。

観楠
(えっ?)
豊中
「さっさとしろよ茜」
「え〜、まだデザート買ってないのにぃ」
豊中
「まだ食うのか?」
「甘いものは別のトコに入るの☆」

ごく普通の女の子にみえる茜と、(怪しい人間だと思い込んでいる)豊中が話しているので、観楠戸惑う。

観楠
(え〜と、これはいったい……)
豊中
「……太るぞ」
「だって、ここまで来るのって、お腹すくんだもん。あ、 おごってくれるよね。まーちゃんお金持ち♪」
豊中
「おまえねえ……。じゃあさっさと決めろよ」
「おごってくれるんなら両方買う〜」
豊中
「いい性格してるよまったく……いくらですか」

豊中、どうやらさっさと出たいらしい。
 観楠、この間の釣りのことを思いだし、差し引いた額を言う。
 茜、けげんそう。豊中はポーカーフェイス。
 二人が出ていった後で。

「さっきの人、たしかこの間、尊さんがなにかついてるっ ていってた人みたいですけど……」
観楠
「うん、そうだね。それはそうと緑ちゃん、あの女の子の 制服、どこの学校のでしょうか」
「見たおぼえ、ないですぅ」

見たことがないのも当然。そのころ茜は

「じゃぁ、そろそろ帰んなきゃいけないから〜」

言って、消える。
 豊中、携帯電話を取り出してかける。かけた先は東京。

豊中
「もしもし、雅孝ですが」
相手
『あら、まあちゃん』
豊中
「その呼び方はやめて下さいよ、叔母さん。茜、着きまし たか」
『(遠くで) 着いたよ〜』
豊中
「今度はうまくテレポートできたみたいだな」

小柄のことは今度も忘れている、豊中だった。



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