からんころん。
高校生らしい女の子が一人、ベーカリー楠に入ってくる。
- 観楠
- 「いらっしゃいませ〜(? 見たことない制服だなあ)」
- 少女
- 「ここにいわしパンとししゃもパンがあるって聞いたんで
すけど〜」
- 観楠
- 「(どうしてそういうものばかり有名なのだろう(T_T) )
はい、ありますが……」
- 少女
- 「ほんとだっ!! ま〜ちゃん、嘘いってなかったな♪」
- 観楠
- (まーちゃん?)
少女、とりあえず全種類のパンをトレーにとる。ものすごく幸せそうである。
それでもまだ、プリンとプリンアラモードのどちらを買おうか迷っているようである。
からんころん
観楠、ドアを見る。そしらぬ顔をして豊中が入ってきたところ。
- 観楠
- (えっ?)
- 豊中
- 「さっさとしろよ茜」
- 茜
- 「え〜、まだデザート買ってないのにぃ」
- 豊中
- 「まだ食うのか?」
- 茜
- 「甘いものは別のトコに入るの☆」
ごく普通の女の子にみえる茜と、(怪しい人間だと思い込んでいる)豊中が話しているので、観楠戸惑う。
- 観楠
- (え〜と、これはいったい……)
- 豊中
- 「……太るぞ」
- 茜
- 「だって、ここまで来るのって、お腹すくんだもん。あ、
おごってくれるよね。まーちゃんお金持ち♪」
- 豊中
- 「おまえねえ……。じゃあさっさと決めろよ」
- 茜
- 「おごってくれるんなら両方買う〜」
- 豊中
- 「いい性格してるよまったく……いくらですか」
豊中、どうやらさっさと出たいらしい。
観楠、この間の釣りのことを思いだし、差し引いた額を言う。
茜、けげんそう。豊中はポーカーフェイス。
二人が出ていった後で。
- 緑
- 「さっきの人、たしかこの間、尊さんがなにかついてるっ
ていってた人みたいですけど……」
- 観楠
- 「うん、そうだね。それはそうと緑ちゃん、あの女の子の
制服、どこの学校のでしょうか」
- 緑
- 「見たおぼえ、ないですぅ」
見たことがないのも当然。そのころ茜は
- 茜
- 「じゃぁ、そろそろ帰んなきゃいけないから〜」
言って、消える。
豊中、携帯電話を取り出してかける。かけた先は東京。
- 豊中
- 「もしもし、雅孝ですが」
- 相手
- 『あら、まあちゃん』
- 豊中
- 「その呼び方はやめて下さいよ、叔母さん。茜、着きまし
たか」
- 茜
- 『(遠くで) 着いたよ〜』
- 豊中
- 「今度はうまくテレポートできたみたいだな」
小柄のことは今度も忘れている、豊中だった。
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