エピソード422『対決! 男女サッカー部!』


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エピソード422『対決! 男女サッカー部!』

それは、春の入学式や、始業式を終えたある日のこと。吹利学院高校のグラウンドの使用権をめぐった戦いが、男女サッカー部の間で起こったのだ!

窓香
「あたしたちが先にグラウンドにきたのよ、あたしたちに
使わせてよ」
女子達
「そうよ、そうよ!」
夏和流
「そういっても、男子サッカー部はずっと前からここを使
っていたんだ。どちらが先、というのならこっちだって言
えると思うよ」
男子達
「そうだ、そうだ!」
窓香
「……先輩達には、女の子をいたわる気持ちとか、ないん
ですか!」
祐司
「そういう事は、もっと女らしくなってから言ったら?」
男子達
(どっと笑う)
女子達
(怒りの表情)
夏和流
「おい、ちょっとそれはひどぃ……」
窓香
「……自分達がモテないからって、八つ当たりはやめても
らえませんか」
男子達
「なんだと!」
「喧嘩売ってんのか!」
窓香
「先に言ってきたのはそっちでしょ」
祐司
「このやろう(殴りかかる)」
窓香
「きゃっ(ぎゅっと目をつむる)」
みのる
「(殴ろうとした腕をつかみながら)いいかげんにしろ」
祐司
「西山先輩……だって、こいつら……」
みのる
(じろ)
祐司
「うっ……」
夏和流
「……あのさあ、なんにせよ暴力ってのはよくないだろ?
スポーツマンらしく、もちっと健全なことで決めたら?」
窓香
「……じゃあ、試合で決めましょう」
祐司
「……いいだろ、うけてたつぜ」
男女達
(激しく火花が散る)
みのる
「……やれやれ。それなら、俺が審判をやる」
夏和流
「あ、僕も気が乗らないから同じく副審って事で」
祐司
「そんな、先輩……」
夏和流
「僕らがいないと、勝てそうにないって?」
祐司
「(むっ)先輩達がいなくても、絶対に勝ちます!」
窓香
「ちょっと、ハンデをつけるの」
夏和流
「(肩をすくめ)べつに。負けたら、君たちの力を過小評
価した僕らが悪いって事だし、問題ないんじゃない?」
窓香
「……いいわ。後悔させてあげる(めらめら)」
みのる
「話は済んだか。なら、始めるぞ」
男子サッカー部対女子サッカー部との対決は、こうして始まった!

窓香
「いまに見てなさいよ」
祐司
「ふん、あやまってやめんならいまだぜ」
窓香
「やめないわよっ、負けるもんですか」
夏和流
「はいはい、二人とも決着はサッカーで」
みのる
「二人とも、始めるぞ」
窓香
「絶っ対に負けないんだからっ(めらめらめら)」
祐司
「女に負けてたまるかよ(めらめらめら)」
ピィーッ試合開始のホイッスルが響く。

窓香
「いくわよっ(ザザッ)」
夏和流
「おっ…速い」
ドリブルでかけていく窓香。150ほどの小さな体ながら、他の男子部員をものともせずすり抜けて走っていく。

みのる
「(ほう、なかなかやるな)」
祐司
「このっ、ちょこまかしやがって、俺が止めるっ」
窓香
「…あんたは結構できそうね…勝負よ!」
祐司
「いくぞっ!(窓香の前に出る)」
窓香
「……何てね。パスッ」
女子
「(ボールを受け取り)オッケー」
祐司
「なっ?てめえ、きたねえぞ!」
窓香
「サッカーはチームプレイよ(走って行く)」
祐司
「……くそっ(後ろに走る)」
夏和流
「ふーん。状況もきちんと見てるなぁ」
みのる
(いいところにパスをだすな)
女子
「窓香、ラストパス!」
窓香
「やあっ!(ボレーシュート)」
キーパー
「くそっ(手を伸ばすが届かない)」
みのる
「(ホイッスルを吹き)ゴール!」
女子
「やったぁ!窓香、ナイッシュウ!」
祐司
「……くそっ」
窓香
「もう謝ったって、遅いんだからね」
祐司
「誰が謝るか!試合はまだ始まったばかりだ!」
夏和流
「みのる、どう思う?」
みのる
「あのキャプテンはうまいな。他の者はそれほどじゃない
が、あのキャプテンのおかげでうまく使えている」
夏和流
「みのるとどっちがうまいかな?」
みのる
「……さあな。やってみなければわからないさ」
祐司
「先輩!試合、再開してください!」
みのる
「わかった(ぴぃぃぃぃ!)」
祐司
「今度はこっちの番だ」
窓香
「止めるっ!」
祐司
「(パスをだし)ふん、これでも止められるのかよ」
窓香
「絵里!そこの背の高い人マーク!ユメ、その一人の
ひとのところについて!」
男子
「(くそ、読まれてる!)祐司、戻すぞ!」
窓香
「カット!」
祐司
「くそ!」
窓香
「美恵ちゃん、あがって!三枝さん、後ろの方お願いね!」
夏和流
「ひゃー、こりゃ本格的にやばいな。あーあーあー、また
センタリング……」
みのる
「(ぴぴぃぃぃぃ!)ゴール!」
祐司
「……くそ」
男子
「祐司、どうする?」
祐司
「……俺があの女をマークする。ボールがわたる前につぶ
せれば、何もできないはずだ」
男子
「わかった」
祐司
「見てろよ……反撃開始だ!」
男子
「いくぜっ祐司!」
祐司
「まかせとけっ、奴は俺が止めるっ」
夏和流
「ふぅん、キャプテンの子をマーク、か。まあ、それしか
ないかな」
窓香
「簡単に止められないわよっ!鈴ちゃん8番マークっ、絵里は
マーク続けて!こいつはあたしがなんとかする!」
夏和流
「なんか、みんな動きが良くなってきてるな」
みのる
(女子全員が活気づいている……あのキャプテンの影響か)
女子
「あたしたちをなめないでよねっ」
男子
「くそっ、祐司!頼むぜっ」
みのる
「テクニックもスピードもあの子の方が上だな……祐司は
その分をパワーと体格でカバー、か」
窓香
「よし、いけるっ」
祐司
「くそっ、させるかぁっ」
止めようとするが、窓香の動きについていけずバランスを崩す祐司。

祐司
「うわっ…と」
よろめいた先には窓香が…よけきれない…

祐司
「しまっ…」
夏和流
「危ないっ」
窓香
「きゃああっ」
どさぁっ窓香を下敷きにして倒れこむ祐司。

みのる
「(ピィィィィィッ)」
女子
「窓香ぁしっかりっ!」
男子
「祐司っ!大丈夫かっ?」
夏和流
「二人とも、怪我はっ?」
あわてて駆け寄る、女子達と夏和流、そしてみのる。祐司はどうしていいのか困惑しつつ、ずっとその場で立っていた。

女子
「窓香、だいじょうぶ?」
窓香
「い、た……(肩を押さえる)」
夏和流
「肩が痛むの?(そっと肩に触れる)」
窓香
「……つっ」
みのる
「どうやら動かすのは無理だな。誰か、事情を話して保健の
先生を呼んできてくれ。それから、担架も」
女子
「はい」
祐司
「(どうしてよいかわからず)先輩……オレ……」
みのる
「……このままの試合続行は無理だな」
夏和流
「今日は練習も、ちょっと無理だね……」
女子
「先生、連れてきました!」
みのる
「そっと、運ぶぞ……」



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