エピソード『本宮君の女難?!』


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エピソード『本宮君の女難?!』

登場人物
  本宮和久 不幸でお人好しな後始末人、新任クラス委員委員長
  適当な生徒 不真面目なクラス委員達クラス委員委員会会議中。
  二年生新任のクラス委員委員長にして、議長にも推薦された本宮。

本宮
「えー、このような案が出ましたが。なにか意見はありませ
んか」
女子1
「えーほんとぉ」
女子2
「やだぁ、まじぃ」
本宮
「意見がなければ、このまま採決しますが。いいですか?」
男子1
「おい、帰りゲーセンよってくか」
男子2
「今度、負けたらヤキソバパンな」
本宮
「…意見がないようなので、これで決定します。
以上で、クラス委員委員会を終わります」
男子達
「さー帰ろ帰ろ」
女子1
「ねー、それでさー」
女子2
「あ、これ見て見て」
本宮
「はぁ(…虚しい)」

それでも、黒板を消し、せっせと書類をまとめ、教室を片付けている本宮。

女子1
「ねぇ水瓶座、ラブ運最高!」
女子2
「えー、牡牛座、金運最低〜」

占いを見てはしゃぐ女の子達。せっせと後片付けをしてる本宮に目をつける。

女子1
「ねーぇ、本宮君っ」
本宮
「え、何?」
女子2
「ねぇねぇ本宮君、誕生日いつ?」
本宮
「お、俺?…8月31日だけど…」
女子1
「8月31日…乙女座ね(ぱらぱら)」
女子2
「へぇ本宮君、乙女座なんだぁ(くすくす)」
本宮
「…(別にいいだろ…俺が乙女座でも)」
女子1
「乙女座、乙女座っとあったあった」
女子2
「ほら、本宮君見て見て」
本宮
「えっ…うん(なんだ…占いか)」
--今日の乙女座の運勢--
  全体的に低迷気味。特にラブ運は絶不調かも。男の子は女難の相あり、トラブルに気をつけて☆

本宮
「…………」
女子1
「カワイソー運勢最悪ぅ」
女子2
「ホントだぁ」
本宮
「は、ははは(乾いた笑い)こんなの…あ、当たんないよ…」
女子1
「そうそう、気にしない気にしない」
女子2
「そうだよぉ、占いだしぃ」
本宮
「そ、そうだね。じゃ、俺そろそろ帰るから…」
女子1&2
「じゃあね、本宮君。バイバーイ」
本宮
「…絶不調…女難の相…(ぶつぶつ)」

おもいっきり気にしていたりする…本宮だった。一方、教室の女子達。

女子3
「(がらっ)あ、終わったんだ?ねぇ、本宮君てばどうした
の?」
女子1&2
「え?」
女子3
「廊下ですれ違ったんだけど、すっごくびくびくして歩いて
たよ」
女子1
「あ、それねぇ(かくかくしかじか)」
女子3
「へぇ、そうなんだ…あれ?このamam…先週のだよ」
女子1&2
「えっ」
女子3
「ほら、今週のamamはこっちだよ」
女子1
「ほんとだ、じゃさっきの占いは間違い?」
女子2
「…それじゃ、今日の本宮君の運勢は…」
女子3
「えーと(ぱらぱら)今日の乙女座は…」
--今日の乙女座の運勢--
  全体運は比較的安定しているかも、悪い事があればまた良い事もあり。ラブ運は微妙なところ。ハプニングは出会いの予感かもしれないよ☆

女子一同
「……ま、いっかぁ(きゃはっ)」
本宮
「…なんのこたない…今日一日女の子に近づかなきゃいいん
だ…家まで…大通りを通って、ベーカリーの前通って…よし。
周りの事は気にするな…まっすぐ帰る!」
そんなとき、大通りにさしかかったところで三河夏和流ともう一人は偶然通りすがった。

夏和流
「あれ? もとみーくんでは?」
本宮
「あ、三河さん……」
「(横からひょっこり顔を出し)しりあい?」
本宮
(お、女の人っ!)
夏和流
「うん、僕がいつも行ってるパン屋さんで知り合ったの。
(もとみーに)どうしたの? なんか元気なくない?」
本宮
「いっ、いえ、全然! 急ぎますのでこれで失礼します!」
夏和流
「あ、うん……(少し疑問)」
本宮
「危なかった……」

大通り前、夕方で人通りも多い道をてくてく歩いている
 

直紀
「さあってと!えーとプレゼンの資料は揃ったしー
寄り道しちゃおっかな」
本宮
「大丈夫…大丈夫(ぶつぶつ)」
直紀
「(どこ行こうかなぁ…この間、紘一郎が言ってた店って
このへんだっけ?)」
本宮
「気にしない…気にしちゃだめだ(ぶつぶつ)」
直紀
「あっ!」
こつんとボタンがとれて、ころころと本宮のほうに転がってゆく。

本宮
「(このまま何事もなく帰れるといいけど)」
直紀
「動かないでっ!!」
本宮
「(びくぅっ)はいっ!」
おもわず片足上げたまま直立不動する。その足元にはころんとしたジャケットのボタンが転がっていた。
 

本宮
「(う…女の人だ。これから女難が始まるのかっ!)」
直紀
「んっと、こっちの方に転がっていったと…あ、あった!」
 ひょいっと足元のボタンを拾う。
本宮
「(お、落ち着け。通りすがりの人じゃないか。やーさんに
会った訳じゃないんだから…)」
直紀
「(くす)足、もう降ろして大丈夫だよ」
本宮
「え?ああっ、はい!(なるべく、関わらない方がいいかな)」
直紀
「ごめん、これ持ってくれる?」
本宮
「は?」
どさっと先程まで持っていた資料を持たせる。

本宮
「あの…俺ちょっといそいで…」
直紀
「だいじょぶ!2分もかからないから。普段はボタンなんて
後で付けときゃいーんだけど、とれた場所が場所だけにね(笑)」
本宮
「はあ…(ちらりと見る)」
たしかにボタンの間隔が長い服の様なので、とれた場所が第二ボタンじゃあ…まずいな

直紀
「(ぷつんと糸を切る)ん、終わりっ!あ、そーだ。
ベーカリー楠ってとこ知ってる?探してんだけど良くわかん
なくって」
本宮
「(まずい、同じ方向じゃないか!しかし嘘をつくのも気が
引けるし…)ええ、知ってますよ。ここをこーいって、こう
行くとあります」
直紀
「あ、こっち?ありがとねっ!じゃ、またねっ」
本宮
「…道を変えた方がいいのかなあ …いや、でもそれも馬鹿らし
すぎるし…」
??
「あら?」

ぽん。(と、肩を叩く手)

本宮
「うわあぁっっ!」
花澄
「は?!(びっくり)」
本宮
「あ?!…あ、花澄さん?」
花澄
「ええ。本宮君、ですよね?フラナ君のお友達の」
本宮
「は、はあ……(ああびっくりした)…あ」
花澄
「ごめんなさい、脅かしてしまったみたいですね」
本宮
「あ、いえ(汗)……あの、花澄さん、それ」
花澄
「あ、これ?一升瓶ですよ(にこにこ)」

それは、見ればわかる。

本宮
「花澄さん、お酒、強いんですか?」
花澄
「まあ、強いでしょうし、何より好きなんです」
本宮
「へえ…」
 
 少々沈黙。
 気がつくと、花澄がじーっと見ている。
本宮
「あの?」
花澄
「(不意に、にっこり)大丈夫ですよ」
本宮
「はあ?」
花澄
「何だか、何かを心配しているようだから……でも、
大丈夫ですよ(にこにこ)」
本宮
「あ、はい…(何となくつられている)」
花澄
「じゃ、また」
 



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