学校帰り、フラナ・佐古田・本宮のいつもの三人組が歩いていた。
- 火虎左衛門
- 「ふぅ暇だな、季節柄つい気が緩む。いかんいかん」
偶然、前方にスカロマニアを発見する三人…
- フラナ
- 「あ」
- 本宮
- 「…なんだ、ありゃ…」
- 佐古田
- 「……」
おもむろに火虎左衛門を指差すフラナ。
- フラナ
- 「もとみーっ!見て見てぇスカロマニアだぁ」
- 本宮
- 「しっ!こら聞こえるだろう」
- 佐古田
- 「……(スカロマニアを凝視する)」
- フラナ
- 「ねぇねぇほらぁ、かっこいいっ!」
- 本宮
- 「だぁ、指差すんじゃない!目ぇあわすな」
- フラナ
- 「えーなんでぇ」
- 本宮
- 「いいから、関わるんじゃない。ほら佐古田も」
- 佐古田
- 「……(凝視したまま)」
- 本宮
- 「おい、佐古田?」
- 佐古田
- 「…う…」
- 本宮
- 「なんだ?」
- 佐古田
- 「…美しい…」
- 本宮
- 「………おまえ…正気か?」
- フラナ
- 「あー、いっちゃうよぉ(てててて)まってぇ」
- 本宮
- 「こら、追いかけるんじゃないっ」
- 火虎左衛門
- 「ん? なんか呼ばれたような気が……
-
- (耳をそばだてる)
-
- むぅ、着ぐるみは耳がふさがっていかん」
- フラナ
- 「まってぇ、スカロマニアぁ(てててて)」
- 火虎左衛門
- 「……やっぱり呼んでるみたいだな」
振り向く火虎左衛門
すると、目を輝かせて見つめているフラナ、
無言のまま凝視する佐古田、
あくまで目を合わそうとせず、
フラナと佐古田の服の袖を引っ張っている本宮。
- 火虎左衛門
- (誰だ? こいつら?)
- フラナ
- 「ねぇねぇ、スカロマニアだよねぇっ!」
- 火虎左衛門
- 「え? あ、ああ、そうだが何か?」
- 本宮
- 「(間髪入れずに)何でもありませんっ!!
-
- さ、帰るぞフラナ、佐古田」
-
- (二人の袖を引っ張る)
- フラナ
- 「えー、いやだよぅ……
-
- スカロマニアとお話するのっ」
- 佐古田
- (美しい……
-
- 片側しかない歯といい、左右非対称のボディといい、
-
- なんとも頼りないフォルムが儚げでまた良い……)
おもむろにギターを取り出し……
Amusementive Crime(*1)を弾きはじめる。
- 本宮
- 「だぁ、やめろよ、こんな往来の真ン中でぇ」
- 火虎左衛門
- 「(本宮に)おい、無理に邪魔してやるなよ」
- フラナ
- 「そうだよ、イヤならもとみーだけで帰ってよぉ」
- 本宮
- 「いーや、3人とも帰るの(袖をぐいぐい引っ張る)」
- フラナ
- 「いやだぁ、たすけてスカロマニアぁ」
- 火虎左衛門
- 「分かった、フラナ少年!!
-
- ってワケで、いくぞ、もとみーとやら!!
-
- スカロスライダーっ!!」
- SE
- (ずざざざざざ……)
- 本宮
- (垂直ジャンプで躱す)
-
- 「あ、危ないじゃないですか!!
-
- ……って、あれ? いない……」
- フラナ
- 「もとみー、上だよっ!!」
- 火虎左衛門
- (おいおい、どっちの味方なんだ?(苦笑))
ハイジャンプで本宮の真上に跳んだ火虎左衛門。
そのまま急降下して、本宮の肩をつかんで逆立ちする。
- 本宮
- 「!!!」
その状態から前に倒れかかり、
本宮の肩をつかんだまま彼の股座をくぐる。
火虎左衛門の体重の動きに耐えられず前のめりに倒れかかる本宮。
すでに彼の肩から手を放した火虎左衛門。
うつぶせに倒れた本宮の真上に躍り出ている。
そこからたたんだ膝を伸ばし本宮の背中を踏み……
- 火虎左衛門
- (やりやがる、横に転がって踏みつけを躱すか……
-
- わざわざ足を広げて外してやる必要もないな)
-
- 「スカロトカチぇ〜フ!!」
だん!!
思いっきりアスファルトを踏みつける!!
- 佐古田
- 「ジャ〜ンっ!!(おしい!!の音色)」
- 本宮
- 「こ、殺す気かぁっ!?(ぜいぜい)」
よろよろと立ち上がる本宮。
- 火虎左衛門
- 「遊びは終わりだ、スカロドリぃ〜ム!!」
- フラナ
- 「そのセリフ悪役みたーい」
- 本宮
- (もう、怒った!!
-
- 腕を極めてブン投げてやるっ!!)
1発、2発、3発…… と繰り出される攻撃をさばき続ける本宮。
火虎左衛門の攻めがすべて寸止めであるために
タイミングが狂ってうまく腕をとることができない。
4発、5発、6発…… すべてさばき続ける……
- 本宮
- (ようし、変則的な攻撃もちょっとは慣れてきたぞ……
-
- 次こそつかんでやる)
ラストになる7発目の攻撃…… のところで
ふいに両腕をクロスさせる火虎左衛門。
- 本宮
- 「???」
- 火虎左衛門
- 「ファイナル!!」
クロスされた腕に赤い光が集まる……
そして爆発音と赤光の暴走!!
- 本宮
- 「うわわわぁ(尻餅をつく)」
- フラナ
- 「わーっ、もとみーーっ!!」
- 佐古田
- 「ジャジャカジャ〜ン!!(うおーーーーの音色)」
………………
- 火虎左衛門
- 「……驚いたか?」
- 本宮
- 「え?」
爆発も光も、火虎左衛門の操炎術によるもので
殺傷力ゼロの爆炎を起こしたものだった。
- 火虎左衛門
- 「やるなぁ、俺の演武をアドリブで躱すなんてよぅ
-
- カッコよかったぜ、もとみー
-
- ……なぁ、フラナ」
- フラナ
- 「うんっ、もとみーってスゴくカッコよかった!!」
- 佐古田
- 「ジャカジャカジャ〜ン!!(Excellent!!の音色)」
- 本宮
- 「いやだよ、恥ずかしいマネなんて。
-
- ほら、帰るぞ二人とも」
- 火虎左衛門
- 「ほほう、恥ずいカッコの俺と組み打ちしたのは
-
- どこのどいつだ?」
- 本宮
- 「うっ!!(汗)」
- 火虎左衛門
- 「あきらめな、オマエももう恥ずいヤツらの仲間入り」
- 本宮
- 「うう……(泣)
-
- (まさか、最初からこうするつもりだったのか?)」
- 火虎左衛門
- 「しかし、このカッコもしてみるもんだな。
-
- 面白いヤツらに会えるんだからな(マスクを脱ぐ)」
- フラナ
- 「あ゛〜〜っ!!」
- 本宮
- 「どうした? フラナ」
- フラナ
- 「この人、ベーカリーで見たことあるっ!!」
- 火虎左衛門
- 「ん? ベーカリーってベーカリー楠か?」
- フラナ
- 「うん!」
- 火虎左衛門
- 「そっか、実は結構会っていたんだな……
-
- よし! そういうことなら
-
- オマエらにとってもいいものをやろう!!(がさごそ)」
スカロスーツの上半身の内ポケットから紙切れを3枚取り出す。
- 火虎左衛門
- 「再来週の日曜日にあるアクションショーの入場券だ!!」
-
- (本当は環たちに渡すつもりだったんだが受験だからな、
-
- あいつのためにも邪魔になるよーなマネはできねぇや)
- フラナ
- 「え、いいの? 本当にもらっていいの?」
- 佐古田
- (無言で券を手にとってそれを見詰める)
- 火虎左衛門
- 「おう、いいぞ。ただし…… 絶対見に来いよな」
- フラナ
- 「うん、行くっ、ぜったいにいく!!
-
- ね、もとみー?」
- 本宮
- 「アクションショーなんて久しぶりだなぁ」
- フラナ
- 「どうもありがとう、……えーっと、
-
- なんて名前だったっけ?」
- 火虎左衛門
- 「(ぎくっ!!)い、今は西小山三郎(*2)って言うんだ」
- フラナ
- 「そーじゃなくて、お兄ちゃんの名前」
- 火虎左衛門
- 「ああ、炎野って言うんだ」
- フラナ
- 「そっかぁ、ありがとう炎野さんっ!」
- 火虎左衛門
- 「お、おう(よ、よかった名字だけですんで)
-
- じゃ、俺、用事があるんで……またな」
(*1) スカロマニアステージのBGM
(*2) スカロマニアの正体、うだつの上がらないサラリーマンあっという間に日曜日、アクションショー当日。
- フラナ
- 「るーるるーるるん(ぴょんこぴょんこ)」
- 本宮
- 「こら、落ち着けよ」
- フラナ
- 「だぁって楽しみなんだもんっ」
- 佐古田
- 「じゃぃぃぃぃん(楽しみだぁぁぁの音色)」
- 本宮
- 「はぁぁ(溜め息)…まぁしょうがないか」
一方、その頃。食休み中のアクションショー出演者達
- 火虎左衛門
- 「さぁて、そろそろ気合いれていくぞ」
- メンバー1
- 「う…(うずくまる)」
- 火虎左衛門
- 「おい、どうした?」
- メンバー1
- 「っ…は、腹が…てっててて…痛」
- 火虎左衛門
- 「大丈夫か?おい、誰か医者呼べ医者!」
- メンバー2
- 「どうしたんですか?炎野さん」
- 火虎左衛門
- 「こいつが急に腹痛いって言い出して」
- メンバー1
- 「痛っっっ…」
- メンバー2
- 「しっかり、救急車呼びましょう」
程なく運ばれていく男。残されたメンバー。
- 火虎左衛門
- 「大丈夫か、あいつ」
- メンバー2
- 「でも、どうしましょうか…代役たてないと…」
- 火虎左衛門
- 「代役立てるしかねぇな」
- メンバー2
- 「代役って、改造怪人の代理…大変ですよ」
- 火虎左衛門
- 「ううむ」
- メンバー2
- 「ある程度、アクションがこなせて、タッパがあって、
-
- 体力のある人でないと代役はつとまりませんよ
-
- 私らだとサイズが合いませんし…どうしましょ」
- 火虎左衛門
- 「ううぅ、まずいなぁ」
- メンバー2
- 「困りましたね、子供達待ってるのに…」
- 火虎左衛門
- 「参った…誰か適役はおらんか…」
悩む一同。そこへ…
- フラナ
- 「炎野さんっ(ひょいっ)」
- 火虎左衛門
- 「おおう、お前はフラナ少年。お前どっから現れた」
- フラナ
- 「へっへーん、ナイショ!おもわず様子見に来ちゃった」
- 佐古田
- 「じゃじゃじゃーん(こんにちはぁぁぁの音色)」
- 火虎左衛門
- 「フラナ少年、すまんが、少々取り込んでいてな」
- 本宮
- 「あ、いたいた…すいません炎野さん。フラナの奴が…」
- 火虎左衛門
- 「!もとみー」
はた、と本宮に目を留める炎野。タッパはある…アクションもできる…立証済みだ、体力も…そこそこありそうだ。
- 火虎左衛門
- (こいつはいける!)
- 本宮
- 「?どうしたんですか炎野さん」
- 火虎左衛門
- 「あー、もとみー。
-
- ちょぉーっと、こっちに来い(手招き&怪しい笑顔)」
- 本宮
- 「なんか、イヤな予感がするけど…… なんですか?」
- 火虎左衛門
- 「オマエを本アクションショーの
-
- 改造怪人役に任命する。喜べ」
- 本宮
- 「はいはい……
-
- (なげやりに)ばんざーい
-
- ……これでいいですか? って…………
-
- なんだってぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
- 火虎左衛門
- 「聞いての通りだ」
- 本宮
- 「いやですよ」
- 火虎左衛門
- 「……」
- 本宮
- 「まっぴらごめんです」
- 火虎左衛門
- 「……
-
- げんまいれいちっ!!」
燃え盛る火球を本宮に放り投げる。
とはいえ温度は約40度で燃え盛る炎は視覚的なモノなので害はない。
- 本宮
- 「あちちちちちちち」
- 火虎左衛門
- 「と、いうわけで今回もとみーは改造怪人役。
-
- オーケー? フラナ少年??」
- フラナ
- 「いいよ(あっさり)」
- 佐古田
- 「じゃじゃかじゃん(フラナに同じの音色)」
- 火虎左衛門
- 「よし、決定」
- 本宮
- 「僕自身は了解してないですよぉ!!
-
- って、あちちちちちちちち」
- 火虎左衛門
- 「(炎を消してシリアスな表情になる)
-
- オマエ、本当の理由が聞きたいのか?」
- 本宮
- 「当たり前ですっ!!」
- 火虎左衛門
- 「実は今日その役をするはずだった人が倒れてな……
-
- だから、その代役を探してたんだ。
-
- 俺の眼ではオマエが一番の適役だったってわけだ」
- 本宮
- 「だからってなんで僕が……」
- 火虎左衛門
- 「倒れた人が言ってたぜ……
-
- 子供たちが楽しみに待っているのにこんなことで……
-
- ってな」
- 本宮
- 「……」
- 火虎左衛門
- 「俺も…… いんや俺達も同じだ、こんなことでショーを
-
- 中止にするなんて耐えられねぇ…… この日を
-
- 楽しみにしてきた子供たちにそう言い訳するんだ?」
- 本宮
- 「炎野さん……」
- フラナ
- 「もとみー、やってあげてよぅ」
- 佐古田
- 「……(無言で本宮に訴えかける)」
- 本宮
- 「分かりました、やりましょう!!」
- 火虎左衛門
- 「へへ、ありがとよ!
-
- 悪ぃが、1時間しかねぇんだ。
-
- 30分ほどで基本叩き込むから覚悟してくれ」
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部