エピソード441『春夕点景』


目次


エピソード441『春夕点景』

からんころん

花澄
「こんにちは」
観楠
「あ、こんにちは……?」

花澄、後生大事に一升瓶を抱えている。
 (どうして袋かなんかに入れないのだ?)

花澄
「ええと、食パン一斤下さい……あ」

からんころん

フラナ
「あ、花澄さん、こんにちはっ!」
花澄
「こんにちは(にこにこ)。学校の帰りですか?」
フラナ
「うん、そうだけど……花澄さん?」
花澄
「はい?」
フラナ
「その一升瓶って……」
花澄
「あ、これ? 丁度季節もいいし、飲みたいなって思って」
フラナ
「もしかして、強い……?」
花澄
「うーん……女の子としか飲んだこと無いけど、毎度、洗 い物担当になるくらいには強い、かな?」
観楠
「洗い物担当、ですか?」
花澄
「最後に生き残ったのが、グラス集めて、お皿片付けて、 皆に布団をかけてまわるんです(笑)」
観楠
「あ、成程」
花澄
「あら? フラナ君……それ、夕食?」
フラナ
「うん。うち両親とも共働きだし」
花澄
「(少々考えて)もし良かったら、家に食べに来ます?」
フラナ
「え、いいんですか?」
花澄
「ええ、勿論。酒の肴なんて作りすぎても困るから、食べ て下さる人がいるとこっちも助かるし」
フラナ
「御馳走になりまーす!」
花澄
「未成年にお酒薦めるわけにはいかないけど(苦笑)」
夏和流
(羨ましそうに見てる)
みのる
「なにをしているんだ?」
夏和流
「えっ? ……ああ……(少し寂しそう)」
みのる
「……」
夏和流
「(花澄たちには聞こえないように)最近家も共働きになっ ちゃってさ。誰かと一緒に食べるのにあこがれちゃって。なはは、17にもなって情けない(笑)」
みのる
「なんなら、俺の家に来るか」
夏和流
「……いいの?」
みのる
「一食200円だがな」
夏和流
「だぁっ、みのるはしっかりしているなぁ(笑)」



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