エピソード448『春になれば』


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エピソード448『春になれば』

つくしも芽をだす春。
 どじょっこもふなっこも目を覚ます春。
 確かに野山に出掛けるには良い季節なのだが……。
 日の光うららかな、いつものベーカリー。

観楠
「ふぁ(欠伸) ……っとぉ……暖かくなったのは良いけど ……こう眠くっちゃなぁ……(眠)」
「(店長、おっきな口……でも本当に眠いですぅ)……ん?」

ふと外に目を転じると通りの角に花屋が見える。
 尊の経営する花屋「FLOWER SHOP Miko」である。

「店長、尊さん……どうしたん……でしょうね」
観楠
「そーいえば一週間くらい来ないねえ、どうしたんだろ? お店も開けてないみたいだし……」
花澄
「え? お店も開けてないんですか……尊さん」
観楠
「ええ、ここ一週間位ずっとあのままなんですよ(指差す)」

FLOWER SHOP Miko の入り口は閉められ「CLOSED」の札がかかっている。

花澄
「あら本当、どうしたんでしょう?」
琢磨呂
「ふ……ん……匂うな」
夏和流
「(ぴーん) にぉーに(妙に) 匂う、なんちって(チャキッ とこめかみにM93R)」
琢磨呂
「……こいつの威力を身を持って試したいようだな(静か に紅茶を飲む)」
夏和流
「はぅ……私がわるぅございましたぁ(滝汗)」
琢磨呂
「判ればいい(M93Rをしまう) 言わんでも判ると思うが、 俺が言いたいのは事件の匂いがするという事だ!」
観楠
「事件……(眉を寄せる)」
「ですかぁ?(汗)」
琢磨呂
「そうだ、考えても見ろてんちょー、ここ吹利駅前は近隣 屈指の『美少女&美女出現多発地帯』だ、危ねー奴らが目を付けてる可能性は十分ある。おまけに尊さんはそのど真ん中に部屋を持ってるんだぜ? 何かあったと考えても不思議はねえ、それに、最近暖かくなってきたしな」
「そ、それって……(恐い考えになってしまった)」
観楠
「『美少女&美女出現多発地帯」って(汗) でも……琢磨 呂君が『一番』危ないと思うんだけどなぁ(苦笑)」
琢磨呂
「どやかましいっ(笑)」
夏和流
「じゃぁ……ひょっとして危ない奴に誘拐された……とか」

その時、ドアベルが小さな音をたてた。

「いらっ……あ……(汗)」
観楠
「あ(汗)」
琢磨呂
「おう、有り得るな……で俺達が決死の捜査であわやの危 ない所を救い出すわけだ(笑)」
夏和流
「で、助け出された尊さんは感動して『ああ、夏和流君素 敵っ☆(ひしっ)』となるわけですね(笑)」
琢磨呂
「違う! そこはだな『琢磨呂君……あたし……あたしっ
がばっ)』となるんだ(笑)」
観楠
「……おーい、もしもーし(汗)」
琢磨呂
「ん? なんだよてんちょー?」

引きつり笑いの観楠の視線を辿り床に目を落とすと、25センチ位のレディース用コンバットブーツが見えた。

夏和流
(汗)

視線を徐々に上げて行く。
 黒いマント状の物が見え、その下にはウッドランドパターンの迷彩が見えた、ちょっとブカブカなのは来ている人間が細いからだろう。
 さらに目を上げると黒いマント状の物が全身をすっぽり覆っているようだが大まかに知れる体格からして女性のようだ、肩に軍用リュックのアリス・パックをかけている。
 そして。

琢磨呂
(汗)
花澄
「あら、尊さん、お久しぶりですね(にこ)」
「こんにちは花澄さん、観楠さん、緑ちゃん、(にこっX3) ……琢磨呂君に夏和流君も楽しそうねぇ……(くす)」
琢磨呂
「み、尊さん……え、えらくファッショナブルだな……
滝汗)」
夏和流
「ずいぶんとワイルドに……なって(汗)」
「どーもありがと(ほっぺたひきひき)」
「その顔の傷……いったい」

尊の顔や手には小さな擦り傷がいくつもあった。
 ほっぺたに貼ったピンクの「ばんそーこー」がポイントミ☆。

「雪解けの春山で山篭りなどしてきましたの(笑)」
「山篭りですかぁ?(汗)」
琢磨呂
「撤収するぞっ!」
夏和流
「ぢゃ、僕たちはこれで……」
尊 :「ちょぉっとお待ちなさい、(がしっ
襟首を掴まえる)誰 が誰に『ひしっ』で『がばっ』なのかなぁ? おねーさん知りたいなぁ(般若笑)」
観楠
(こ、こ、こ、こえぇぇよぉ)
琢磨呂
「よ、世の中には知らない方が幸せな事があるんだっ、な
夏和流に同意を求める)」
夏和流
「えーと(汗)、えーと(激汗)、えーと(滝汗)」
「ふーん……そゆこという悪い口はこの口かぁっ!」
夏和流&琢磨呂
「ひぅぁ〜!!(ぎうぅぅぅぅ)」

必殺『ほっぺた・はんぎんぐ X2』が決まった(笑)

「もひとつおまけにぃ……尊くらーっしゅっ!」

どごーん。
 きらっミ☆ ×2。
 ヘールボップ彗星の隣に新しい星が2つ(笑)。

「まったく男って奴は……ん? あ、御免なさい、観楠さ んの事じゃ無いですから(笑)」
観楠
「あは、あは、あははは(乾いた笑い)……(今後、尊さん を怒らせるのは止めよう、絶対)」
花澄
「尊さん、本当に山篭りしてきたんですか?」
「冗談です(きっぱり) 本当は一泊二日の春山登山に行っ てたんですけど、遭難しちゃいまして(照)
(って、お爺ちゃんの陰謀で本当にサバイバルしてた、とは言えないもんねぇ(苦笑))」
「遭難……(一泊二日の予定が一週間……)」
観楠
(それって……目茶苦茶おおごとじゃないのか?(汗))
花澄
「それは大変でしたねぇ(しみじみ) お風呂も無いから大 変だったでしょう?」
「さすがにこの時期じゃ水浴びも出来ないですからね(笑)
食料は無くなるわ、冬眠あけのクマは出てくるわで、もぉ大変(笑)」
観楠
(違うっ! ……何か違う! こんな呑気に会話出来る話 題なのかっ?)
(一泊二日が一週間……)

頭を抱えて悩む観楠(笑)。
 混乱状態の緑(笑)。

「まぁ、ダイエットを兼ねた良い運動にはなりましたけど、 もう遭難は懲り懲りです(笑)」
観楠
「(立ち直ってすかさず) そうなん(遭難) ですかー(笑)」
かきぃぃぃん。(注
凍り付く空気)
花澄
「そうですねぇ(にこにこ)」
「……」
「……」

終幕っ☆。



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