とある日、瑞鶴で
- 客A
- 「あの、すみません、この新刊書、入ってます?」
- 花澄
- 「少々お待ち下さい。ええと……(『3LDK要塞……』ああ、
あれね)申し訳有りません、こちらのほう、只今切らしているんです」
瑞鶴くらいの規模で、店長のポリシーがはっきりしている店だと、新刊入荷数はどうしても減る。
- 客A
- 「あ、そうですか……(がっかり) 丁度今、角田書店見て
きたら、売り切れてたんで、どっか穴場に無いかなって……」
- 花澄
- 「(角田にないとすると……)ちょっとお待ち下さい」
記憶の中から、ここ二三日の各書店の本棚を引っ張り出す。
- 花澄
- 「(結構売れ線だったから、そこそこ出てる筈なんだけ
ど……ええと……)」
幾つかの書店にあったことまでは思い出せる。
そこから先は、少々頼らねばわからない。
- 花澄
- 「(口の中で) 悪いけど、どこにあるか調べてくれる?」
と同時に、花澄を中心にして風が起こった。
- 客A
- 「あの?」
- 花澄
- 「いえ、すみません、多分わかると思うんですけど
にこにこ)」
- 客A
- 「あ、はい。(何となく説得されている)」
すぐに風が戻ってくる。
- 花澄
- 「(何だ、そんな近くにあるの) ああ、そうだ、お客様、
アニメイト吹利、ご存知ですか? ベーカリー楠の近くの」
- 客A
- 「あ、はい知ってます」
- 花澄
- 「そこに多分、1、2冊残ってると思います。ちょっと見
つかりにくいところにおいてあると思いますから、店員さんに聞いてみたほうがいいですよ」
- 客A
- 「あ、どうも……よくご存知ですね(感心)」
- 花澄
- 「この前、見かけたな、と思ったんです。(にこにこ)」
- 客A
- 「でも、よかったぁ。やっと読めます」
- 花澄
- 「その気持ち、よく分かります」
- 客A
- 「有難うございました(深々)」
お辞儀をして出て行く客を見送って。
- 花澄
- 「……瑞鶴の売り上げ、一冊分落としたってことかなあ。
思案顔)」
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