エピソード474『汝、ホルスターを愛す』


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エピソード474『汝、ホルスターを愛す』

カランカラン

琢磨呂
「ちぃーす」
観楠
「いらっしゃい(笑) 今日も暑いね」
琢磨呂
「まったく。ジャケット脱いじまいたいトコだが、これが ないと……ってこの匂いは」
観楠
「こないだ貰ったリザーブ(笑) お客さんに話したらどー しても飲みたいってゆーんでね」
直紀
「あ、この人の持ち物だったの? ごめんなさい、勝手に 頂いてますっ(笑)」
琢磨呂
「気にすんなよ、こーゆーのは give and take! ってな。 こっちにも見返りがあるし、とゆーわけで店長同じの一杯!」
観楠
「見返り……ね(苦笑)」

湯気がゆるやかに上にあがり、薫りはやわらかく匂い立つ

琢磨呂
「(ずずっ) ……へぇ店長も随分、紅茶煎れるの旨くなっ たんじゃないか?」
観楠
「あ、それは」
直紀
「(くすくす) よろしければ、もう一杯いれますけど?」
琢磨呂
「ん? ねーちゃんが煎れたのか? んじゃ、もう一杯」
直紀
「はいはいっ(笑) (ん? 肩口にあるあれって……ホル スターかなぁ? そーいやジャケットが盛り上がってるよーな) あのー、肩のところのそれって」
琢磨呂
「あ? ああ、実銃じゃないから安心していいぞ」
直紀
「(はうー、本物ぉ。本物のホルスターだぁっ!! ここに くれば実物がかぶりつきで見れるのねっ! 転勤してきてよかったぁ! 社長様、上司様っ! ありがとー(感涙))」
琢磨呂
「……ねーちゃん、俺の顔になんかついてるか?」
直紀
「いいえ。ただ、(ホルスターが) 素敵ですねって思った だけですけど(にこにこ)」
琢磨呂
「え?」
観楠
「ええっ!?」
琢磨呂
「ねーちゃん、もう1回言って」
直紀
「え、ホルスターが素敵ですねって……」
琢磨呂
「じいいいいいいいん(感動してる)」

……そのまま1分経過

観楠
「あ、あはははは(汗)」
直紀
「あら、どうされたんですか、このかた?」
観楠
「いや、わざわざ1万円も出して新調したホルスターを、 よりにもよって女の人に『素敵ですね』っていわれて感動してるんでしょ」
直紀
「は……はぁ……」
琢磨呂
「……お、やっと現実世界に戻れた。あまりの嬉しさにア ナザーワールドにトリップしちまったぜ!」
直紀
「くすくす(笑)」
琢磨呂
「(ホルスターから、目にも止まら早抜き) スチャッ」
直紀
「きゃっ!」
琢磨呂
「岩沙琢磨呂です。よろしく」

目にも止まらぬ早さで抜かれたのは、銃ではなくカラフルな名刺だった。

直紀
「あ、柳直紀っていーます。よろしくねっ(にこっ)」
琢磨呂
「(にこっ……って……萌え″〜〜〜!)」
観楠
「ほんま、忙しいひとやねぇあんたも……(食器ふきふき)」



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