カランカラン
- 琢磨呂
- 「ちぃーす」
- 観楠
- 「いらっしゃい(笑) 今日も暑いね」
- 琢磨呂
- 「まったく。ジャケット脱いじまいたいトコだが、これが
ないと……ってこの匂いは」
- 観楠
- 「こないだ貰ったリザーブ(笑) お客さんに話したらどー
しても飲みたいってゆーんでね」
- 直紀
- 「あ、この人の持ち物だったの? ごめんなさい、勝手に
頂いてますっ(笑)」
- 琢磨呂
- 「気にすんなよ、こーゆーのは give and take! ってな。
こっちにも見返りがあるし、とゆーわけで店長同じの一杯!」
- 観楠
- 「見返り……ね(苦笑)」
湯気がゆるやかに上にあがり、薫りはやわらかく匂い立つ
- 琢磨呂
- 「(ずずっ) ……へぇ店長も随分、紅茶煎れるの旨くなっ
たんじゃないか?」
- 観楠
- 「あ、それは」
- 直紀
- 「(くすくす) よろしければ、もう一杯いれますけど?」
- 琢磨呂
- 「ん? ねーちゃんが煎れたのか? んじゃ、もう一杯」
- 直紀
- 「はいはいっ(笑) (ん? 肩口にあるあれって……ホル
スターかなぁ? そーいやジャケットが盛り上がってるよーな) あのー、肩のところのそれって」
- 琢磨呂
- 「あ? ああ、実銃じゃないから安心していいぞ」
- 直紀
- 「(はうー、本物ぉ。本物のホルスターだぁっ!! ここに
くれば実物がかぶりつきで見れるのねっ! 転勤してきてよかったぁ! 社長様、上司様っ! ありがとー(感涙))」
- 琢磨呂
- 「……ねーちゃん、俺の顔になんかついてるか?」
- 直紀
- 「いいえ。ただ、(ホルスターが) 素敵ですねって思った
だけですけど(にこにこ)」
- 琢磨呂
- 「え?」
- 観楠
- 「ええっ!?」
- 琢磨呂
- 「ねーちゃん、もう1回言って」
- 直紀
- 「え、ホルスターが素敵ですねって……」
- 琢磨呂
- 「じいいいいいいいん(感動してる)」
……そのまま1分経過
- 観楠
- 「あ、あはははは(汗)」
- 直紀
- 「あら、どうされたんですか、このかた?」
- 観楠
- 「いや、わざわざ1万円も出して新調したホルスターを、
よりにもよって女の人に『素敵ですね』っていわれて感動してるんでしょ」
- 直紀
- 「は……はぁ……」
- 琢磨呂
- 「……お、やっと現実世界に戻れた。あまりの嬉しさにア
ナザーワールドにトリップしちまったぜ!」
- 直紀
- 「くすくす(笑)」
- 琢磨呂
- 「(ホルスターから、目にも止まら早抜き) スチャッ」
- 直紀
- 「きゃっ!」
- 琢磨呂
- 「岩沙琢磨呂です。よろしく」
目にも止まらぬ早さで抜かれたのは、銃ではなくカラフルな名刺だった。
- 直紀
- 「あ、柳直紀っていーます。よろしくねっ(にこっ)」
- 琢磨呂
- 「(にこっ……って……萌え″〜〜〜!)」
- 観楠
- 「ほんま、忙しいひとやねぇあんたも……(食器ふきふき)」
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