開店まもないベーカリー楠。
数日前からななめ向かいに新しく店でもできるようで妙に騒がしかったのが、今朝はすっかりいつも通りの朝。
からん、とドアベルが控え目に鳴る。
入ってきたのは小柄な女性。くるぶしまでの茶色のワンピースの上から、白いドレスエプロンをつけ、髪をひっつめみつあみにしている。ちょっと日本人ばなれのした顔立ち。東南アジアの娘を思わせる。
少し店の中を見回し、観楠をみつける。にこっと笑って小さく一礼。
- ユラ
- 「あ、あの、今よろしいですか?」
- 観楠
- 「はい、なんでしょうか」
- ユラ
- 「あの、今度お向かいに開店しましたハーブショップのも
ので……あの、私、小滝と申します。これからどうぞよろしくお願いします」
- 観楠
- 「いえいえこちらこそ。あ、私はこの店の店長で、湊川観
楠と申します。どうぞよろしくお願いします(笑)」
- ユラ
- 「後ほど店長があらためて伺うと思いますけど……こちら、
ご挨拶がわりにでも。
うちの店のオリジナルブレンドのハーブティーなんですけど、よろしかったら、めしあがってください」
そっと差し出した小さな包みには、手書きのきれいなラベルがついている。どうやらハーブティーを数種つめあわせたものらしい。
- 観楠
- 「あ、こんなに沢山、いただいちゃってよろしいんですか?
うちの店には、紅茶にうるさい人たちが沢山来るので助かりますm(__)m」
からんころん……ドアベルが音を立てる
- 琢磨呂
- 「どこの誰が紅茶にうるさいだって? アールグレイ・イ
ンぺリアル1杯くれ」
- 観楠
- 「そーゆーのを頼むから紅茶にうるさいって言われるんだ
ってば(といいつつ紅茶を探す)……あ、そうそう琢磨呂君、この人が今度近所にハーブ店を構えるそうで、今日挨拶にとハーブティの詰め合わせを持ってきてくれたんだよ」
- ユラ
- 「店を構えたのは私じゃないんですけど……。こんにちわ
琢磨呂に向かって)」
- 琢磨呂
- 「そうだったのか。だから人のことを紅茶をネタに噂して
いたというわけだな」
- 観楠
- 「あははははは(^^;) 噂だなんて、ちょっと話題に出し
ただけじゃないの(汗)」
- 琢磨呂
- 「可愛い女の子と会話をするネタに俺を使ったことを一
生忘れん……なんてな(笑)」
- ユラ
- 「(くすくす) お二人とも、仲がよろしいのですのね。
(観楠にむかって) もしお茶のほう、気に入っていただければ、これからもお分けできますけど……なにはともあれ、どうぞよろしくお願いしますね。
(琢磨呂にむかって) あの、私、小滝と申します。こちらの斜めお向かいのハーブショップにおりますので、お暇な時にでもどうぞいらしてくださいね」
それでは、もう少し挨拶にまわらないといけませんので、とユラが会釈しかかったとき、
カラン、がらんっ!
と結構派手な音と立ててドアベルが再び来客を告げた。
- 尊
- 「観楠さん居ますっ?(汗)」
駆け込んでくる尊。
- 観楠
- 「うわっっと(汗) い、いらっしゃい……どーしたんです
か、慌てて(汗)」
- 尊
- 「ここの斜向かい、なんだか新しいお店がオープンするん
ですよねっ」
- 観楠
- 「は、はぁそうみたいですね……(ちらっとユラを見る)」
- 尊
- 「それで、そこの店員さんが可愛い女の子らしいの(はぁと)
どんな人が来るのか、観楠さん何か知りません?」
- 観楠
- (ん? ……この展開……どっかで……)
首をひねる観楠(笑)
- ユラ
- 「あの……」
- 尊
- 「……えっと……何でしょう?」
- 観楠
- 「尊さん、お探しの方ですよ(笑)」
- 尊
- 「えっ? ……ひょっとして(汗)」
- ユラ
- 「グリーングラスの店員をしておりますユラと申します、
よろしくお願いしますね(にこ)」
- 尊
- 「あ、あははっ(慌) ごめんなさいあたしったら(汗)」
- ユラ
- 「尊さん? ……ひょっとしてFLOWER SHOP Mikoの方……
ですか?」
- 尊
- 「FLOWER SHOP Mikoはあたしのお店だけど……それが何か?」
- ユラ
- 「やっぱり。尊敬しちゃうな、その若さでお店持てるなん
て」
- 尊
- 「え(照) ……そんな事無いけど(照笑) 御近所同士これ
からよろしくね(にこっ)」
- ユラ
- 「いえいえ、もう、いろいろお世話になると思いますけど
……あ、あの、尊さんもよろしかったら、これどうぞ」
と、こちらにもハーブティーの包みを差し出す。
- ユラ
- 「私、あちらのお店の二階に住み込むことになってるの
で……なにかあったら、いろいろお伺いすると思います。とりあえず、お暇のときにでも遊びにいらしてくださいな。夕方くらいからはずっと店におりますので」
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