ベーカリー楠。昼下がり。大学生が数名たむろしているところに。
からころん
花澄が珍しく飛び込んでくる。
- 花澄
- 「こんにちは。食パン二斤、それとサンドイッチふた……
いえ、三つ下さい(早口)」
- 観楠
- 「はい。……どうしたんですか、そんなに急いで」
- 花澄
- 「ええ、ちょっと……まったく、最近の大学生ときたら」
- 観楠
- 「はい?」
- 花澄
- 「いえ……(苦笑) すみません、さっき友人から電話があっ
て話してたら食事のことになって」
回想
- 花澄
- 「忙しいって……まさか何も食べてないんじゃ」
- 友人N
- 「まさかっ! ちゃんと食べてるよ!」
- 花澄
- 「じゃ、昨日何食べたか言える?」
- 友人N
- 「もやし」
- 花澄
- 「……もやし? まさか、それだけってことは」
- 友人N
- 「ないよ」
- 花澄
- 「そうだよね、いくらなんでも(安堵)」
- 友人N
- 「ちゃんと、ごま、かけたもん(大威張り)」
- 花澄
- 「全く、情けないったら。一人暮らしなんて結局どこかで
人に迷惑かけるんですから、せめて心配くらいさせないでほしいですよね」
- 観楠
- 「それで、差し入れですか(苦笑)」
- 花澄
- 「取りあえず。後は向こうで作ろうと思って」
- 十
- 「……(汗)」
- 豊中
- 「……何か言われてるぞ」
- 花澄
- 「そう思いません、一さん、豊中さん?」
くるっと振り向きざま、の攻撃である。
- 十
- 「え、あ、あ、そうですね(汗)」
- 花澄
- 「(じーっ)…… 一さん、ちゃんと食べてます?」
- 十
- 「え、そりゃ、ちゃんと食べてますよ(乾いた笑い)」
- 花澄
- 「なら、いいんですけど……ごめんなさい、変なこと聞い
て(ぺこり)」
からんころん
- 豊中
- 「妙な見栄を張らなくても……」
- 十
- 「うう……」
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPGと創作のTRPGと創作“語り部”総本部