- 斎藤瑞希
- ぱわふりゃあでアバウトで豪快なお姉さん
- 富良名裕也
- お気楽極楽少年、瑞希の弟
- 本宮和久
- 不幸な後始末人
- 佐古田真一
- ギターで語らう男
ある日、学校帰りのいつものスナフキン愛好会三人組。
そこへ……突然
- 瑞希
- 「(ぶんぶん) おーい、そこな三人っ」
- 本宮
- 「! この声は……」
- フラナ
- 「瑞希ねえちゃん!」
- 佐古田
- 「ジャジャジャァァァン」
そのとおり、フラナの結婚した姉、瑞希参上である。
- 瑞希
- 「いたいたぁ、あんたらやぁっと、見つけた」
- フラナ
- 「な、な、なに、なんか用? 瑞希ねえちゃん」
- 瑞希
- 「それよりさぁ、あんた達。今日暇?」
- フラナ
- 「え……一応暇だけど……」
- 本宮
- 「な……なんでしょう?」
- 瑞希
- 「よかったらウチでご飯食べてかない」
- フラナ
- 「姉ちゃん家……旦那さんも一緒で?」
- 瑞希
- 「今日は出張でいないのよ、一人で食べるのもなんだしね
だからさ、あんた達も来なさいよ」
- フラナ
- 「へぇそーなんだ、じゃ行くぅ! ねっもとみー」
- 本宮
- 「え、ああ、じゃお言葉に甘えて」
- 佐古田
- 「じゃぁぁん(食べる!)」
そして、そんなこんなで、斎藤宅。
- 瑞希
- 「さぁって、と。なんにしよっかなぁっと」
- 本宮
- 「あ、俺も手伝いますよ」
- 瑞希
- 「お、さんきゅ、よし決めた! お好み焼きにしよう。冷
蔵庫にキャベツあるからそいつ刻んで」
- 本宮
- 「(がさがさ) これですね……」
- フラナ
- 「わぁいっお好み焼きぃだぁ(わくわく)」
- 佐古田
- 「じゃじゃじゃあああん(わーいの音色)」
- 本宮
- 「騒ぐなよおまえら……。それで、瑞希さん中身になんに
します?」
- 瑞希
- 「んー個人的に、餅チーズ焼きが食べたいな」
- 本宮
- 「え、でも(冷蔵庫を見て)お餅ないですよ」
- 瑞希
- 「あ、お餅あるわよ(戸棚がさがさ) ほら、これこれ」
ででんと置かれたのは真空パックの鏡餅。
- 本宮
- 「これ……って量、多くないですか」
- 瑞希
- 「いいじゃない、片付かなくって場所とってたし、ちょう
どいいわよ」
- フラナ
- 「結構でかいよ……瑞希ねえちゃん」
- 瑞希
- 「だーいじょーぶ、あまっても困るし、食べちゃいましょ
どさっ)」
- 本宮
- 「なんか……いやな予感がする……」
そして……予感的中! というより……予期すべき展開。
- 本宮
- 「だぁぁっ! こいつはっ」
- 瑞希
- 「いやぁ……困ったもんねぇ」
へらを片手に吠える本宮、一筋汗を流しつつ鉄板を見つめる瑞希。
鉄板の上にはいくつかの不定形な「もの」が散らばっている。
無論、お好み焼きであるはずのもの……だが……形になってない。
熱で餅が柔らかくなってしまい、動かせば動かすほど崩壊する
ひっくり返せば最後、てんでばらばらに散らばってしまう。
なんとかへらで破片をせっせとよせ集め形を作る……が
- フラナ
- 「粘土細工みたい……」
- 本宮
- 「……これ……もうめちゃくちゃですよ……」
- 瑞希
- 「うーん、まぁ、ねぇ、切る手間が省けたと考えればそれ
でよし」
- 本宮
- 「……そーいう考え方もありますか……」
- 瑞希
- 「いいのいいの、気合でカバーっ」
- フラナ
- 「どーやって……」
- 瑞希
- 「焼けてればおっけい、生じゃなきゃいいのさっ」
- 本宮
- 「なんか……すっごくアバウトですね……」
- 瑞希
- 「おいしければ結果オーライなのっ」
- フラナ
- 「むーおいしい匂いはする……けど見た目が……ねぇ(おっ
かなびっくりはしをのばす)」
- 本宮
- 「待て、そっちの破片は、まだ焼けてないからこっちにし
とけ」
- フラナ
- 「うん、わーい! お好み焼き伸びる伸びるぅ」
- 本宮
- 「遊ぶなよ……お前」
- 佐古田
- 「……(無言で食べる)」
しかし、このお好み焼き見てくれは……最悪だったが……おいしかった。いや、本当に。
- フラナ
- 「ごちそうさまぁ」
- 本宮
- 「はぁ……なんだか……すごく疲れた……」
- 瑞希
- 「でも、おいしかったでしょ。瑞希特製お好み焼き」
- 本宮
- (……半分……俺が作ってたような気がするけど……)
- フラナ
- 「でも……本当にお好み焼きかなぁ……あれ」
- 瑞希
- 「じゃ、変形もんじゃ焼きと考えればいいじゃない」
- フラナ
- 「もんじゃ焼きともかけ離れてたけど……」
- 佐古田
- 「(ぼそ) お好み焼き風味焼き餅……」
- 本宮
- 「それは言うな……佐古田……」
- 瑞希
- 「ん? なんか言った?」
- 本宮
- 「(慌てて佐古田の口を塞ぐ) なんでもないです」
こうして、斎藤家におけるお好み焼き(?)ぱぁてぃは幕を閉じた。
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