エピソード500『暗い夜道は……』


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エピソード500『暗い夜道は……』

直紀
「に、荷物が……重い(げっそり)」

自分の身長とたいして変わらない紙を数本小脇に抱え、よたよたと帰路に着く。

直紀
「だいたい、一般家屋の立面図を1週間で書き上げろって のがどだい無理だっつーに(ぶつぶつ)」
SE
「ちりりん」
直紀
(ん? 自転車??)

少し身体を脇に寄せる。自転車は直紀のすぐ傍を通りすぎる、と同時に

直紀
「(さわられたっ!!) ちょっと待てぇ! そこの奴っ!!(怒)」

自転車の男と目があう。暗くて顔はよく解らない……が、微かに『ちっ』というのが聞こえた。

直紀
「そこの人っ! そいつ止めてっ!!」

前方に人影、急に視界に入ってきた人に対し自転車は悲鳴を上げる。

直紀
「人の尻を触った挙句に『ちっ』だとぉぉっっっ!!(怒)」
痴漢
「うわっ!!」

スピードの落ちた自転車に追い付くと、横に周りこみ後輪に思いっきり蹴りを入れる。ガシャーンと静かな住宅街には少々の騒音を残し、自転車は持ち主もろともアスファルトに叩き付けられる。

直紀
「(ぜーぜー)……ふんっ!」
「……あいかわらず、気性の荒い女だな」
直紀
「人に口出しされる覚えはって……なんだ、あんたか」
加賀
「しかも口汚ないな。まったく」
直紀
「敵意を持ってる相手に対して、にこやかにしてられるほ ど人間出来て無いんでね。ま、礼は言っておくけど」
加賀
「……まったく、何で俺がお前の身辺調査なんてやらなきゃ なんないんだ(泣)」
直紀
「あ、あんたねぇ(脱力) 訳も解らずこんなむさいのに、 常にどっからかじーっと見られてる、あたしの気持ちも考えなさいよっ!(怒)」
加賀
「考えてどーしろと言うんだ?」
直紀
「……っ!(怒)」
SE
「ドガッ!!」
加賀
「ぐぉぉぉっ!!(うずくまる) お、おま……(大汗) 鳩尾 蹴るか? しかもヒールの先でっ!!」

加賀が顔を上げた時には、既に直紀の姿は大通りの中に消えていた。

加賀
「も、もう二度と助けん! くっそぉぉ(ずきずき)」



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