エピソード502『寒いおべんと』


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エピソード502『寒いおべんと』

昼飯時。何故か今日はユラ・一・豊中の三人がはち合わせした。

豊中
「ユラ、あんたが実験室から出て飯を食ってるなんて、珍 しいですね」
ユラ
「たまにはカロリーメイト以外のものも食べなくちゃね(笑)。 で、あんたこそお弁当なんて珍しいじゃない。作ったの?」
豊中
「まさか(笑) いとこが届けてくれまして。で、一、お前 はまた素ラーメンか」
「ふっふっふ、今日は金があるのだ(にやり)。カレーライ スが食べられる」

……貧乏な奴である。
 まあもっとも、こと食生活においてはこの三人、金の有る無しに関係なく似たり寄ったりであるのだが。
 実験の合間にカロリーメイトをかじる生活が続くユラ、〆切まぢかになると研究室に泊り込んでレトルト食品と紅茶で生きている豊中、金がなくなるとパンの耳をかじっている一。……どうにも寒い連中である。

豊中
「そーか、カレーか。カレーといやぁゆで卵入りのカレー は捨て難いぞ。一個いるか」
「お前がそ〜ゆ〜発言をするということは、何か裏がある のだな」
豊中
「おまいなぁ(-_-;) ひとのこういはこころよくうけるも のだ」
ユラ
「平仮名になってない? ……あ、なるほど」

弁当箱の中。行儀良く並んだ殻も剥いていないゆで卵3個。それと苺ジャムのサンドイッチ。

豊中
「ど〜してこ〜ゆ〜弁当作るかね茜は……だから彼氏が出 来ないんだ」
ユラ
「まぁまぁ(笑) 手伝わせたいわけね、要するに」
豊中
「そういうこと(笑) というわけだ、食え」
「そう言いながら押しつけるかねお前は」
豊中
「おおう(笑) うどんも買っといて良かったぜ」
ユラ
「パンとうどん(^_^;) まったくあんたときたら」

ユラにもゆで卵を一個押しつけ、ぱりぱりと殻を剥き始める。殻を剥いて、気がついた。テーブルには塩も醤油もマヨネーズもない。

ユラ
「あらら」
豊中
「う〜む」
「俺は困んないからいいけどね」

しばし考えて。

豊中
「(ぽん) そぉいや一、お前さん焼き塩を常備していたよ な♪」
「あれは仕事用だっての」
ユラ
「いいじゃない別に。焼き塩の方がおいしいんだし♪」
「あのなあ」
ユラ
「いいから出しなさいよ」

問答無用。まあ、ユラのパワーに勝てる男は……御影の旦那でも難しかろう。かくして。

「清めの塩でゆで卵を食うなぁ〜(涙)」
文雄
「(離れたところで昼を食べながら) 何かまたやってるよ うだな、あの3人は(呆)」



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