エピソード518『千影登場!』


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エピソード518『千影登場!』

午前7時40分、近鉄吹利駅。この辺りでは見慣れない制服に身を包んだ少女無道千影はそこにいた。どうも考え事をしてるようだ。

千影
(どうしよう……地図落としちゃった)(う〜ん、転校初日から遅刻はマズイよね、やっぱり)(…しょうがない、あそこの人に聞いてみようかな)
千影
「あの…すいません」
フラナ
「なに?どうしたの」
千影
「吹利学院高校への道を教えてほしいんですけど…」
フラナ
「なんだ、それなら僕と同じ学校だよいいよ、連れてってあげる」
千影
「ありがとうございます…」
フラナ
「こっちだよぉ」
と、どんどん大通りから外れたわけのわからん道へ進んでいった。が、千影にそれがおかしな道だとわかるはずもない。しばらく無言でフラナの少し後ろをトコトコ歩いている。

千影
「あ…そういえば名前を聞いてませんでしたねわたしは無道千影。今日から吹利学院高校の2年に転入することになってます。あなたは?」
フラナ
「僕、フラナ!富良名裕也!無道さんと同じ2年生だよフラナって呼んでね」
千影
「(ニコ)わたしも千影って呼んで下さいね」
フラナ
「う〜んと、じゃチカちゃんだね」
千影
「(ニコ)ええ、それでいいですよ」
などというほのぼのした会話をしながら実はかなり歩き回っていた。時間を見てみると8時10分。しかし未だたどり着く様子はない。

千影
「あのフラナ君そろそろ急がないと…」
フラナ
「そうだねチョット急ごうか」
と、言ったが早いか突然ダッシュするフラナ。呆然とする千影。

千影
「エ?エ?ちょ、ちょっと待ってよ!フラ……」
SE
「ドテ」
追いかけようとした瞬間足元の石につまずき転ぶ千影。そんなこと気づかずに走り去ってしまうフラナ。

千影
「あ〜あ、行っちゃった……痛」
どうやら転んだときに膝をすりむいたようだった。しかしそんなことなど気にぜずに立ち上がり

千影
「夜だったらあれくらい平気だったのに…」
などとつぶやきながら制服についたホコリをはらう。制服がきれいになったころには膝の傷も治っていた。

千影
(さて、ここにいてもしょうがないしフラナ君を追いかけることにしようかな)
SE
「タッタッタッ……」
そのころフラナは……

フラナ
「あれぇ?チカちゃんどこいったのかなぁ〜」
千影を探しながら迷っていた。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・同時刻、啄麻呂は健康的に朝の散歩(?)をしていた。

琢磨呂
「銃弾唸るぅ〜っと(鼻唄)ん?」
SE
「タッタッタッ……」
千影
「エ!?」
見通しの悪いT字路から突如現れた人影。あまりに突然のことで何が起こったか理解できる前に…

SE
「ごん!」
琢磨呂
「いてててて」
千影
(失神)
琢磨呂
「おろ……げーーーー!この野郎、頭にショック受けて気絶しやがったな!」
琢磨呂
「あーあ……こいつこのままほおっておくわけにもいかんし……行き倒れってことで警察にでも保護してもらうかなぁ」
チョット恐い考えになってしまった琢磨呂。

琢磨呂
「それにしても何処のやつなんだ?見たことねぇ制服だし」
千影
「…………学院……」
琢磨呂
「ん?なんだぁ?」
千影
「……吹利学院………いかなきゃ……」
琢磨呂
「吹利学院に行きたいのか?まあいい、連れてけば何とかなるだろ」
かくして琢磨呂は、千影をおぶって吹利学院高等学校の門をくぐった。

生徒指導の先生
「(私服の琢磨呂をみて)なんだ君、その格好は!」
琢磨呂
「相変わらずうるせぇ野郎だな………ってお前、新入りだろ?」
生徒指導の先生
「教師に向かって新入りだと!?お前なめてるのか?」
琢磨呂
「(サングラスをはずして)テメーにゃ用はねぇ!失せろ」
生徒指導の先生
「なんやとお前?」
刹那、膝から崩れ落ちる新任教師。

琢磨呂
「でけー態度取ってるんじゃねーよ大学でたてのヒヨコ野郎が」
騒ぎを聞き付けて駆け付ける年輩の生徒指導教員、通称ゴリ。琢磨呂も吹利学院在学中は散々彼にしごかれたものである。

ゴリ
「なんの騒じゃー!」
琢磨呂
「おひさしぶりです、ゴリさん」
ゴリ
「おお、岩沙やないか。どないした」
琢磨呂
「先ほど通学途中に、この子が倒れているのを見つけまして。恐らく、貧血か何かだと思うのですが、うわごとでここの名前を言ってたんでつれてきたんですよ」
ゴリ
「おーそーか、それは大変だったな……で、これはなんだ?(崩れた新任教師を指さす)」
琢磨呂
「さぁ?俺は知りませんが、先ほど急にお腹を押さえてうずくまられたまま応答がないのですがねぇ」
ゴリ
「そうか……なんか引っ掛かるが、その女の子をそのままにするわけにもいかん、保健室までおぶっていってくれないか?」
琢磨呂
「いいですけど、職員室に行ったら茶ぐらい出してくださいよね」
ゴリ
「わかったわかった。いーから早く行け」
琢磨呂
「りょーかいりょーかいっと」
保健室にて……

千影
(…う、う〜ん…ここは?(キョロキョロ))(どこかの保健室…かな?あれ、あの人は…)
記憶が途切れる直前のことを思い出す。

千影
(そっか、あの人とぶつかったんだっけ…)(もしかしてあの人がここに運んでくれたのかな…)
琢磨呂
「ふーーーーーーーーーーっ以外と重いぜ、まったく」
SE
「ガバッ!」
千影
「そ、そんなに、重かったですか?」



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