某日、吹利駅前商店街にて。
ちょうど、高校生達の下校時刻に重なったらしい。
風が、強い。
前から、五人くらいの女子高校生達が歩いてくる。
今流行のミニスカートにルーズソックス。茶髪の染めかたも、目の前に長く前髪が垂れ下がっている様子もよく似ている。
そこに風が一吹き。
女の子達の髪が乱れる。
と、彼女たちは一斉に髪に手をやり、同じ仕種でざっと髪をかきあげた。
思わずよけた花澄の横を、女の子達は通り過ぎていった。
そそくさ、と行き過ぎようとした花澄の目の前に、今度は男子高校生が二人歩いてくる。
肩までくる髪は、丁寧に整えられている。
後ろから見たら、花澄では性別が判断できそうに無い。
と、またもや風が吹く。
二人は、落ちてきた髪をさらり、とかきあげた。
妙に優美な手つきであった。
無言で、花澄は向きを変えた。
真っ直ぐにベーカリーを目指す。
からころん。