- 斎藤瑞希
- 小粋にデンジャラスなお姉さん
- 三本柱登
- 最近あやしいお兄さん、瑞希の同僚
- 工藤悟
- 真面目な後輩……のはず
- 宮本奈津
- 無愛想な総務のお姉ちゃん
仕事中、資料の書類を作成中の瑞希。
- 瑞希
- 「だぁぁ切れないよぉ、この子ぉぉ」
- 三本柱
- 「いきなりキレないでくださいよ、瑞希さん」
- 瑞希
- 「断りいれたらキレてもいいのっ」
- 三本柱
- 「それは……」
- 瑞希
- 「とにかくっ、こいつっ」
がうがうがう。指差した先には……ぼろの裁断機。
- 三本柱
- 「どれどれ、あーもう刃がだめですね、これ」
- 瑞希
- 「もう、ぜんぜん切れない」
- 社長
- 「どうした『ざんてつ』はもう切れんか」
- 三本柱
- 「え? 社長」
- 社長
- 「こいつはなぁ、私が作業所に勤めてたときからあったか
ら……もう四十五年ほど活躍してたからな。鑑定すれば値がつくかもしれんぞ」
- 三本柱
- 「よ……」
- 瑞希
- 「よんじうごねん……」
- 三本柱
- 「あと五年で金婚式ですね……」
- 奈津
- 「誰とだよ……」
- 瑞希
- 「しゃちょお、新しいの買いましょ! ね、ね」
- 社長
- 「ううむ、そうだな……『ざんてつ』には可哀相だが」
そして、数日後。
- 業者
- 「じゃここ置いときますね。これにサインお願いします」
- 奈津
- 「はい、どうも」
- 瑞希
- 「ねぇねぇ来たの? 開けてみていい?」
- 奈津
- 「せかすな、今開ける」
がさがさ
- 瑞希
- 「おおぅ、これが最新式!」
- 三本柱
- 「いやぁ、立派ですね」
きらり〜んと輝く最新式の裁断機! シャープなボディがワイルド(笑)
- 瑞希
- 「よぉし、がんばれ『せつらくん』」
- 工藤
- 「なんですか……その名前」
- 三本柱
- 「『せつらくん』って……そんなぁ(嘆き) いくらなんで
も……」
- 奈津
- 「分かんないネタだぞ」
と、言うわけで最新式裁断機! 『せつらくん』(命名:瑞希)始動! とあいなった。
- 瑞希
- 「わーい、切れる切れるっ」
- 三本柱
- 「おお、俺にも貸してくださいね」
- 瑞希
- 「しゅたっと……このシャープな切れ味っ!」
はしゃぐ二人。
- 奈津
- 「すっかりオモチャだな」
- 工藤
- 「でも……実際、誰も業務で使ってないですね……」
- 奈津
- 「うむ、確かに。そうしょっちゅう使うもんでもないし」
一方、楽しんでる輩。
- 瑞希
- 「三ちゃん次これっ」
- 三本柱
- 「ほいきたっ、しゅわっ」
- 瑞希
- 「いいないいなっ! メモ帳つくろっ」
- 三本柱
- 「さー、次はどれだ?」
そして……冷ややかに見つめる外野……
- 奈津
- 「いつまでやってるんだ」
- 工藤
- 「しばらく続くんじゃないですか……」
結果、翌日には飽きていた……
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