エピソード552『せつらくん始動!』


目次


エピソード552『せつらくん始動!』

登場人物

斎藤瑞希
 小粋にデンジャラスなお姉さん
三本柱登
 最近あやしいお兄さん、瑞希の同僚
工藤悟
 真面目な後輩……のはず
宮本奈津
 無愛想な総務のお姉ちゃん

本編

仕事中、資料の書類を作成中の瑞希。

瑞希
「だぁぁ切れないよぉ、この子ぉぉ」
三本柱
「いきなりキレないでくださいよ、瑞希さん」
瑞希
「断りいれたらキレてもいいのっ」
三本柱
「それは……」
瑞希
「とにかくっ、こいつっ」

がうがうがう。指差した先には……ぼろの裁断機。

三本柱
「どれどれ、あーもう刃がだめですね、これ」
瑞希
「もう、ぜんぜん切れない」
社長
「どうした『ざんてつ』はもう切れんか」
三本柱
「え? 社長」
社長
「こいつはなぁ、私が作業所に勤めてたときからあったか ら……もう四十五年ほど活躍してたからな。鑑定すれば値がつくかもしれんぞ」
三本柱
「よ……」
瑞希
「よんじうごねん……」
三本柱
「あと五年で金婚式ですね……」
奈津
「誰とだよ……」
瑞希
「しゃちょお、新しいの買いましょ! ね、ね」
社長
「ううむ、そうだな……『ざんてつ』には可哀相だが」

そして、数日後。

業者
「じゃここ置いときますね。これにサインお願いします」
奈津
「はい、どうも」
瑞希
「ねぇねぇ来たの? 開けてみていい?」
奈津
「せかすな、今開ける」

がさがさ

瑞希
「おおぅ、これが最新式!」
三本柱
「いやぁ、立派ですね」

きらり〜んと輝く最新式の裁断機! シャープなボディがワイルド(笑)

瑞希
「よぉし、がんばれ『せつらくん』」
工藤
「なんですか……その名前」
三本柱
「『せつらくん』って……そんなぁ(嘆き) いくらなんで も……」
奈津
「分かんないネタだぞ」

と、言うわけで最新式裁断機! 『せつらくん』(命名:瑞希)始動! とあいなった。

瑞希
「わーい、切れる切れるっ」
三本柱
「おお、俺にも貸してくださいね」
瑞希
「しゅたっと……このシャープな切れ味っ!」

はしゃぐ二人。

奈津
「すっかりオモチャだな」
工藤
「でも……実際、誰も業務で使ってないですね……」
奈津
「うむ、確かに。そうしょっちゅう使うもんでもないし」

一方、楽しんでる輩。

瑞希
「三ちゃん次これっ」
三本柱
「ほいきたっ、しゅわっ」
瑞希
「いいないいなっ! メモ帳つくろっ」
三本柱
「さー、次はどれだ?」

そして……冷ややかに見つめる外野……

奈津
「いつまでやってるんだ」
工藤
「しばらく続くんじゃないですか……」

結果、翌日には飽きていた……



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