エピソード553『ああ愛しのプリンパンっ!』


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エピソード553『ああ愛しのプリンパンっ!』

要望

夕方、ベーカリー。
 ばたばたばたっ! 

瑞希
「こんにちはぁっ」

からんからん
 ドアを開け、元気よくやってきたのは会社帰りの瑞希。

観楠
「こんにちは、瑞希さん(にこ)」
瑞希
「店長さんっ、唐突ですけどリクエストしたいんですっ」
観楠
「はい? リクエスト?」
瑞希
「(こくこく) そうなんです。前、東京で食べたプリンパ ンを吹利でも食べたいんですっ」
観楠
「プリンパン?」
瑞希
「あったんですよ、東京のパン屋さんに。一口ほおばって、 口に広がるカスタードいっぱいのプリンとカラメルソースの味わいがもうたまんないんですっ。今日ふいに思い出しちゃってもう、食べたくってしょうがないんです。お願い、作ってみてください店長さん!(お願いのまなざし)」
観楠
「プリンパンねぇ……よし、作ってみますよ、瑞希さん」
瑞希
「ありがとうっ! 店長さんっ嬉しいっ。ちゅっ(投げキッ ス)」
観楠
「えっ(焦) そ、そんな、たいした事ないですよ(真っ赤)」
瑞希
「私、実験台になりますからっ。お願いしますねっ」

さあ、ベーカリー楠のレパートリーにプリンパンは加わるか? 

観楠
「さて、と……プリンの味がするパン、だろ? プリンと 言えば……プリンってどーやって作るんだ? 卵と砂糖に牛乳とゼラチンでも混ぜるのか?」

……じゃぁそれで作って食ってみろ(汗)

観楠
「要は瑞希さんの言ってたカスタードクリームとカラメル ソースの味をつけて焼き上げればいいわけだ。となると」

観楠、菓子パン用の生地をカスタードクリームと共にミキサーに放り込み

観楠
「……卵も混ぜてみるか?」

卵を1パック分、黄身だけを追加してみる。

観楠
「おぉ、黄色が増して色的には良いかも。あ、生クリーム も追加してだな……む、これでは生地がまとまらないぞ。小麦粉を追加だ。ついでにバターも入れよう」

あれやこれやと追加し、攪拌していくうちに、ミキサーの中は収拾がつかなくなって来る(苦笑)
 (一度作って置いておく生地は、あまりかき混ぜると良くないのだ)

観楠
「う、む……これはだめだな(汗) しかし、いい手応えだ。 そうだ、これ専用の生地を作ればいいか」

ミキサーの中身はどーするよ? 

観楠
「そ、そーだな……とりあえず焼こう。なに、試作品には よくあることだな(笑)」

試食

郁代
「……なに? このプリソパンてのは……(汗)」
観楠
「……」

でもって

郁代
「へ? プリンパン?」
観楠
「そう」
郁代
「なんでまたそんなモンを?」
観楠
「いや、実はね……」
「女のためや」
郁代
「つーと、素子ちゃん?」
「別の(ニヤリ)」
観楠
「また、そんな誤解を招くようなことを……(汗)」
SE
「からからん」
観楠
「いらっしゃい、若大家さん」
訪雪
「や、こんにちは。なんか新しいパン出た? 
……お、プリンパンか。懐かしいなぁ……学生だった頃、よく授業フケては講堂前の木の下で食ってたっけ」
観楠
「(学生時代……想像もつかん) 瑞希さんに頼まれて、作っ てみたんですよ。試してみますか?」
訪雪
「うむ。じゃあそれと、あとアイスティー」
SE
「ぱく。もぎゅもぎゅ」
訪雪
「ううむ……(首をひねる)」
観楠
「(不安げに) どうですか?」
訪雪
「ん〜……カラメル味のたまごパンだなぁ、こりゃ」
郁代
「引っ掛かってる引っ掛かってる」
「ネーミングの勝利やな」
郁代
「案外、気いつかへんねんなあ」
孝雄
「プ、プリン……うっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃ、お いちい! なんならこれを機にプリンもメニューに加えて欲しいですな。おいちい!」
観楠
「まっ、いいけどね……(嘆息)」

意外に好評(?)「プリソパン」! 
 完成するの何時の日か?! 



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