夕方、ベーカリー。
ばたばたばたっ!
- 瑞希
- 「こんにちはぁっ」
からんからん
ドアを開け、元気よくやってきたのは会社帰りの瑞希。
- 観楠
- 「こんにちは、瑞希さん(にこ)」
- 瑞希
- 「店長さんっ、唐突ですけどリクエストしたいんですっ」
- 観楠
- 「はい? リクエスト?」
- 瑞希
- 「(こくこく) そうなんです。前、東京で食べたプリンパ
ンを吹利でも食べたいんですっ」
- 観楠
- 「プリンパン?」
- 瑞希
- 「あったんですよ、東京のパン屋さんに。一口ほおばって、
口に広がるカスタードいっぱいのプリンとカラメルソースの味わいがもうたまんないんですっ。今日ふいに思い出しちゃってもう、食べたくってしょうがないんです。お願い、作ってみてください店長さん!(お願いのまなざし)」
- 観楠
- 「プリンパンねぇ……よし、作ってみますよ、瑞希さん」
- 瑞希
- 「ありがとうっ! 店長さんっ嬉しいっ。ちゅっ(投げキッ
ス)」
- 観楠
- 「えっ(焦) そ、そんな、たいした事ないですよ(真っ赤)」
- 瑞希
- 「私、実験台になりますからっ。お願いしますねっ」
さあ、ベーカリー楠のレパートリーにプリンパンは加わるか?
- 観楠
- 「さて、と……プリンの味がするパン、だろ? プリンと
言えば……プリンってどーやって作るんだ? 卵と砂糖に牛乳とゼラチンでも混ぜるのか?」
……じゃぁそれで作って食ってみろ(汗)
- 観楠
- 「要は瑞希さんの言ってたカスタードクリームとカラメル
ソースの味をつけて焼き上げればいいわけだ。となると」
観楠、菓子パン用の生地をカスタードクリームと共にミキサーに放り込み
- 観楠
- 「……卵も混ぜてみるか?」
卵を1パック分、黄身だけを追加してみる。
- 観楠
- 「おぉ、黄色が増して色的には良いかも。あ、生クリーム
も追加してだな……む、これでは生地がまとまらないぞ。小麦粉を追加だ。ついでにバターも入れよう」
あれやこれやと追加し、攪拌していくうちに、ミキサーの中は収拾がつかなくなって来る(苦笑)
(一度作って置いておく生地は、あまりかき混ぜると良くないのだ)
- 観楠
- 「う、む……これはだめだな(汗) しかし、いい手応えだ。
そうだ、これ専用の生地を作ればいいか」
ミキサーの中身はどーするよ?
- 観楠
- 「そ、そーだな……とりあえず焼こう。なに、試作品には
よくあることだな(笑)」
- 郁代
- 「……なに? このプリソパンてのは……(汗)」
- 観楠
- 「……」
でもって
- 郁代
- 「へ? プリンパン?」
- 観楠
- 「そう」
- 郁代
- 「なんでまたそんなモンを?」
- 観楠
- 「いや、実はね……」
- 朝
- 「女のためや」
- 郁代
- 「つーと、素子ちゃん?」
- 朝
- 「別の(ニヤリ)」
- 観楠
- 「また、そんな誤解を招くようなことを……(汗)」
- SE
- 「からからん」
- 観楠
- 「いらっしゃい、若大家さん」
- 訪雪
- 「や、こんにちは。なんか新しいパン出た?
……お、プリンパンか。懐かしいなぁ……学生だった頃、よく授業フケては講堂前の木の下で食ってたっけ」
- 観楠
- 「(学生時代……想像もつかん) 瑞希さんに頼まれて、作っ
てみたんですよ。試してみますか?」
- 訪雪
- 「うむ。じゃあそれと、あとアイスティー」
- SE
- 「ぱく。もぎゅもぎゅ」
- 訪雪
- 「ううむ……(首をひねる)」
- 観楠
- 「(不安げに) どうですか?」
- 訪雪
- 「ん〜……カラメル味のたまごパンだなぁ、こりゃ」
- 郁代
- 「引っ掛かってる引っ掛かってる」
- 朝
- 「ネーミングの勝利やな」
- 郁代
- 「案外、気いつかへんねんなあ」
- 孝雄
- 「プ、プリン……うっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃ、お
いちい! なんならこれを機にプリンもメニューに加えて欲しいですな。おいちい!」
- 観楠
- 「まっ、いいけどね……(嘆息)」
意外に好評(?)「プリソパン」!
完成するの何時の日か?!
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