瑞鶴、午後三時。からから、と扉が開く。若干溶けかけた状態で入ってきた一名。
- 豊中
- 「……こんにちは」
- 店長
- 「ああ……そんなに外は暑いか?」
- 豊中
- 「暑いですが……?」
レジの前の定位置に花澄がいない。代わりにいつもは店の中を動き回っている店長が立っている。
涼しい風がどこからか吹いてくる。
- 豊中
- 「今日は店長がレジやってるんですか」
- 店長
- 「夏の間はな」
店長の視線を辿ってゆくと、本棚の間の脚立に腰掛けて本を整理している花澄と目が合った。
心なしか憮然、とした表情で、それでも花澄はぺこり、と頭を下げた。
- 豊中
- 「……店長、もしかして」
- 店長
- 「おう。冷房よりも気持ちいいだろう」
- 豊中
- 「まあ、そうですが……」
- 店長
- 「周囲数メートルしか影響が無いらしいんで、レジに居座
られると店内全体が涼しくならないんでな。夏の間は交代ってことで」
- 花澄
- 「……(溜息)」
瑞鶴内部は、只今春である。
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