エピソード567『るーじゅぱにっく!?』


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エピソード567『るーじゅぱにっく!?』

夕暮れ、いつものベーカリー。
 カランカラン。元気いっぱいに瑞希登場。

瑞希
「やっ〜ほう! こんにちはっ」

しかし……いつもとちょっと違う。
 きりっと奇麗に引かれたルージュライン。ほんのり薄付きのファンデーション、目元に涼しげな淡いパウダーブルーのアイシャドウ、頬に淡いオレンジの頬紅をさして……きっちりと化粧し、すっきりとしたスーツに身を包んだ瑞希。

観楠
「(なぜか照れて)い、いらっしゃい、瑞希さん」
フラナ
「瑞希姉ちゃんが……お化粧してる」
本宮
「め……めずらしい……」
佐古田
「じゃじゃじゃん(めずらしい〜)」
「瑞希さん……(いつもと印象が全然違う)」
花澄
「あら、奇麗ですね……」

しかし、驚く周囲をまったく気にしない瑞希。

瑞希
「どしたの? みんな?」
観楠
「いえ……(なぜか照れ)」
「今日、何か用事でもあったんですか?」
瑞希
「ん、用事? 特にないけど……あ、そういやユラちゃん とこに寄ってくの忘れてた。ちょっと行って来るっ!」

ぱたぱたぱた。きっちり整った格好のまま、せわしなく駆けていく瑞希。
 後に残された面々は……

観楠
「瑞希さん……別人みたいだった……」
「ほんと……女の人ってちょっとお化粧するだけで、ぐん と変っちゃうんですよね」
花澄
「いいですね」

それぞれに感想をもらす一同……その間、隅っこでぼそぼそと話し合う三人。

本宮
「久しぶりに見たな……瑞希さんがお化粧したとこ……」
フラナ
「いつもは、お客さんの会社いくときさえ、面度くさがっ てお化粧しないのに……」
佐古田
「じゃぎぃぃぃぃぃん(疑惑の音色)」
本宮
「瑞希さん……何かあったのかな……」
フラナ
「ま……ま……まさかぁ……あ!」
本宮
「どうした?」
フラナ
「そういえば……あの口紅……会社の同僚の人がお土産に 買ってくれたって言ってた……」
本宮
「同僚?」
フラナ
「いつも一緒にお仕事してる男の人から……だって」
本宮
「おっ……男……男から、そっそういや……だっ旦那さんは」
フラナ
「旦那さん……今、出張中……」

旦那は出張中、めずらしくお化粧している瑞希。しかもその口紅は会社の同僚(男)が買ってくれたもの……
 一同思考中……

佐古田
「ぢゃぎぃぃぃぃぃぃん!(壊れた音色)」
本宮
「ちがぁぁぁうぅぅぅ! 瑞希さんに限ってそんな事絶対 にないっっ!(絶叫)」
フラナ
「(ひたすら慌てて) なんだよぉ! なに想像したんだよぉ もとみー!」
本宮
「俺の馬鹿馬鹿! なに考えてんだぁっ!」
佐古田
「ぎゃぎゃぎゃぎゃぁぁぁん!(瑞希さぁぁぁぁん)」

もうぱにっく状態、大騒ぎの三人組。そんな三人を横目に……

「……まさか、ね」
花澄
「心配ないですよ、瑞希さんですから」
観楠
「瑞希さんに限って……」

ばたばたばた

瑞希
「再び、こんにちはぁっ」

からんからん

瑞希
「はぁ、汗かいちゃった」
「あの、ところで……瑞希さん、似合いますねその口紅」
瑞希
「ふふっ、そう?」
「普段あまりお化粧しないんですか? あたし瑞希さんが お化粧してるのって、初めて見ましたよ」
瑞希
「え? うん、そうよね。お化粧なんて普段しないし」
「え、じゃ……今日は何か特別な日なんですか?」
瑞希
「んー特別っていうか。……実は今日ね、五分早起きした の」
「は?」
瑞希
「五分って手持ちぶさたでしょう? なんかしよっかなーっ て思って」
「それで……お化粧ですか」
瑞希
「うん(キッパリ)」

思わず、その場に崩れ落ちそうになってしまう尊。

「そ、そ、それで……」
瑞希
「変かなぁ」
「そんな、すごく綺麗ですよ(くす)」
花澄
「似合いますよ、とても」
瑞希
「そうかなっ、へへっ」
観楠
「……はは……はは(あの三人てば……)」
瑞希
「ところで……」

ちらり、と三人組を見る。

瑞希
「あいつら……なに騒いでるの?」
「ええ(くす) 色々と……」

必死に笑いをこらえる尊、その後ろで……

フラナ
「もとみーってばぁっ、何考えたんだよ」
本宮
「(焦りまくり) そ、そ、そんなおまえだって……考えた だろ」
佐古田
「じゃいぃぃぃぃん(瑞希さぁんっっっ)」

やっぱりパニック状態……

瑞希
「あいつら、いつも元気ねぇ」

騒ぐ三人組を横目に見て、呑気につぶやく瑞希。

花澄
「可愛いじゃないですか(にこ) うらやましいな、あんな に慕われてて」
瑞希
「慕われる? なんで?」
「(うーん、言うべきか言わないべきか……迷うとことよ ね)」
観楠
「(言ったら最後……)」

言ったら最後、三人完璧にのされるだろう……しかし、言わないなら言わないで、三人組のあやしい誤解はとけない。

瑞希
「(きょとん) なんなの、一体?」



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