某日、夕刻、花澄の家で。
- 直紀
- 「では、行きますかっ(気合っ)」
台所には、買ってきたばかりの肉や野菜が転がっている。
- 花澄
- 「でも、私もいつも適当で作ってるんですけど……」
- 直紀
- 「いーのっ! とにかくこれで一通り、の、献立教えて
にこっ)」
- 花澄
- 「じゃ、これ、本当に簡単なの。鶏の胸肉を厚さ半分にそ
いで、白ワインと、塩胡椒でもんで、置いておく」
- 直紀
- 「厚さ半分って、……あ、これ、切り離さないんだ」
- 花澄
- 「うん、本を開くみたいに。で、置いておく間に、いんげ
ん4本を洗って、ラップで包んでレンジにかける、と。30秒」
- 直紀
- 「水は要らないの?」
- 花澄
- 「洗ったまま、まだ水気が残ってるくらいでいいって。で、
鶏肉の上にハムとスライスチーズを一枚ずつ少し重ねて載せて、いんげんを芯にして、巻く」
- 直紀
- 「……厚さが何かいびつ(汗)」
- 花澄
- 「え? ……あ、成程。じゃ、ここを少し切って、こっち
に廻して」
- 直紀
- 「……花澄さん、案外適当(汗)」
- 花澄
- 「だから、適当に作ってますって(苦笑)」
- 直紀
- 「で、これを?」
- 花澄
- 「ラップで包んで、レンジに入れて……6分半から7分。
ラップの包み口を上にしとくのが、コツかな」
- 直紀
- 「え?」
- 花澄
- 「下にしとくと、チーズが溶けて全部流れるんですよね」
- 直紀
- 「で?」
- 花澄
- 「一品終わり。で、後は……」
約一時間半後。
- 花澄
- 「直紀さん、苦手って散々言ってたけど、問題無しじゃな
いですか」
- 直紀
- 「うーん、下準備がね、いつも時間取るの。野菜切ったり
とか」
- 花澄
- 「千切りにしたり、面取りしたり、とか?」
- 直紀
- 「……う」
- 花澄
- 「それはもう場数を踏めば問題無し。直紀さん、舌は肥え
てるんだから作れば美味しいものが出来ますよ」
- 直紀
- 「う、うん……」
- 花澄
- 「まあ、何よりの上達の早道は」
- 直紀
- 「何っ!?」
- 花澄
- 「誰かに食べてもらうこと、かな。……直紀さんなら、食
べて欲しい人、いるでしょう?(にこにこ)」
- 直紀
- 「か、かすみさんっ(わたわた)」
- 花澄
- 「一さんは、何故か天ぷらにこだわるんですよね……よし、
今度は天ぷら作りましょう、直紀さん!(握り拳)」
- 直紀
- 「は……はいいっ(あれって、野菜切るばっかじゃないか
あっ)」
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