じりじりと肌を焦がす紫外線。夏に向けて肌の露出度が高くなるこの季節!年に何回かはおなじみの……あの日がやってくる
- キノト
- 「ここかな?直紀さんが言ってたとこって」
- 十
- 「ああ。しかし随分、年期の入ったアパートだな」
- キノト
- 「ミツルのとこと言い勝負だね(笑)」
カンカンと錆びついた階段が音をたてる。上まで登りかけたとき、ふいに声が聞こえてきた。女の…ちょっと怒ったような声。
- 女
- 「何で部屋にいちゃいけないのよーぅ!」
- 紘一郎
- 「だーかーらー(^^; おとなしく姉貴んとこに行ってろって。
-
- 客がくるんだって、今日は。朝にそういったはずだぞ」
- 女
- 「覚えてないもんー!あたし一人のけ者なんて、
-
- ずるいいいいいいーーーーーっっっ!!」
- 紘一郎
- 「あーーーーー!!聞き分けのないっ、とにかくそうなの。
-
- 解ったな、すー」
- すー
- 「こーちゃんの、ばかったれーーーーーーーっ!!!!掃除も食事も
-
- もうやってやんないんだからーーーーーー!!!」
ばたばたと階段に向かって走るたびに、サイドに入ったレイヤがふわりと揺れる。
- 紘一郎
- 「………いつ自分でやったよ、オイ(^^;」
十の側をするっと抜け、荒々しく階段を駆け抜けて行く。顔を見合わせ
- キノト
- 「ミツル、今の人さぁ……(^^;」
- 十
- 「ああ、似てるよな。直紀さんに(汗)」
- キノト
- 「性格なんて、特にね」
- 紘一郎
- 「ん? ああ、一さん。いらっしゃい」
- 十
- 「立て込んでいたようだけど、上がって構わないのかい?なんなら
-
- 出直すけど」
- 紘一郎
- 「あれが俺達の普段の会話ですから、気にしないで下さい(苦笑)
-
- そろそろ日がありませんからね。話せるときに、話しておかないと」
- 十
- 「そ、そんなに凄いものなのか(汗)」
- 紘一郎
- 「………ええ。気を引き締めていかないとこっちがやられます。
-
- さ、どうぞ。茶ぐらい出しますんで」
紘一郎の自室。独身一人暮らしの割には、こざっぱりとした部屋である。風通しを良くした部屋に、白いのりの利いたカーテンが目にまぶしい
- キノト
- 「(ちら)ミツル……」
- 十
- 「とりあえず、ゴミが溢れないようには善処する。するから
-
- そんな目でみないでくれ(汗)」
- キノト
- 「そうだね。以前えらい目にあったし」
- 十
- 「ああう、勘弁しろって」
- 紘一郎
- 「お待たせしました。さて、さっそくですが本題に入りましょうか」
麦茶とともに、レポートのようなものを手渡す。表題は『クリアランスセールに向けての傾向と対策』である(^^;この講義を受けるために今日は、わざわざ紘一郎の下宿まできたのだ。そして、紘一郎による講義が始まった。
- 紘一郎
- 「さて、バーゲンに置ける俺達の役割は、いかにサポートするかに
-
- 掛かってます。それがひいては俺達の幸せにもつながってるんです」
- キノト
- 「? どーゆうことですか?」
からんと氷をかき回し、たずねる。
- 紘一郎
- 「効率良く回れば、よくて4時間で終わります。相手の思考を読み、
-
- 先回りして品を押さえれば、迷う時間が短縮されますからね。結構、
-
- ここは重要ですよ。姉貴に言わせると、迷うのもバーゲンの醍醐味
-
- なんですが、それだといつまでも終わりませんからね。選択肢をある
-
- 程度設けた上で合理的に攻略するのがコツです」
- キノト
- 「ほ、ほんとに大変なんですね(汗) ね、ミツル。…ミツル?」
ぽけっとキノトが紘一郎の話を聞く傍らで、十が何をしてたかと言えば…話を逐一、レポートに書き込み、さらに赤線を引いていた(笑)
- キノト
- 「ミツル…学校の講義の時とえらく態度が違わない?(笑)」
- 十
- 「ええい、些細なことを気にするな。で、具体的に何をすれば
-
- いいのかな、紘一郎君」
- 紘一郎
- 「そうですね。姉貴の買い物が普通の人より大変なのは、サイズに
-
- 大きく関係してるんですよ。なんたって、バーゲン時にいちいち
-
- 試着してるヒマなんてないですからね。ところで一さん、姉貴の
-
- サイズ知ってます?」
- 十
- 「え?サイズって………サイズっ(汗)」
- 紘一郎
- 「? ああ、服とか靴のサイズですよ(笑)」
- 十
- 「ああ、ふくとかくつね………ははははは(乾いた笑い)」
- キノト
- 「ミツル…喋りが平仮名になってる(^^;」
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