誰もいない夜の教室。窓から差し込む淡い月明かりが教室を照らす。
虚ろな目で机に腰掛けている、黒髪に右目の青い少年……本宮。その目の前に流れるような銀髪に碧の瞳の少女が立っている……千影。その美しい顔に、魅惑の笑みを浮かべながら、本宮を見据えている。
向き合う二人。冷たい月明かりが二人の姿を浮かび上がらせる。
ひとつ……おぼつかない手つきで、本宮がワイシャツのボタンをはずす。そして、心持ち首をかしげながら、ぐいと襟を引っ張る。鍛え上げた首筋から胸にかけてがあらわになる。そのまま首筋を千影に差し出すように前にかがむ。
千影が唇を開く、鋭く伸びた真っ白な糸切り歯がのぞく。そして、本宮の引き締まった首筋に鋭い歯がずぶずぶと食い込んでいく。
かすかに本宮がうめき声をあげる。
ごくん……ごくん……
二度ほど千影の喉が動き、そっと首筋から唇を離す……とがった歯の先が赤くを染まっている。唇から真っ赤な血がしたたる……ぺろりと唇を舐め、微笑む千影。
それと同時にずるり……と本宮の体が崩れ落ちる……首筋の二つの傷痕からそれぞれ一筋、赤い血がつたう。
崩れ落ちた本宮を抱き留め、小さく笑みを浮かべながら耳元にささやく千影。
その顔は恐ろしい程美しかった……
……
先生の怒鳴り声に飛び起き、慌てて口元を拭く千影、あやうくよだれが出そうになってしまう。
この後、キッチリ一人で掃除当番をするはめになった千影だった(涙)
そして、夢を見た後日……
真っ赤になってしまう本宮、調子に乗ってからかうフラナ・佐古田の二人。そんなやり取りを知ってか知らずか……一方の千影。
知らない事は幸せだ……