エピソード611『ちかちゃんのおやつタイム』


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エピソード611『ちかちゃんのおやつタイム』

そろそろ放課後だろうという時間。まだ学生の常連客の姿はない。

かなみ
「とうさま、かなみ、寧ちゃんのところに遊びに行ってき ます」
観楠
「はい、いってらっしゃい」

いったんはベーカリーに顔を出したかなみも遊びに行ってしまうと、ベーカリー店内には静かな時間が戻る。
 からんころん
 ドアベルが鳴り、常連客がやってくる時間になったことを告げた。入ってきたのは、スナ同の3人、プラス千影。

観楠
「いらっしゃい」

スナ同の3人はパンと飲み物、千影は紅茶だけ。

フラナ
「ちかちゃん、お腹すいてないの?」
千影
「え? ううん」

大嘘。

フラナ
「ふうん。でもさ、たしかちかちゃんのクラス、6限はプー ルだったんだよね」
千影
「うん」
SE
きゅるるるる

軽くなったお腹の音は、幸い聞かれなかったようである。

千影
(お腹すいたなあ……でも、今はパンなんかより……)

ちらっと本宮を見る千影。

千影
(ううっ、おいしそうだよ〜(;_;)、でもでも、こんなとこ ろで)

場所が違えばいいのか?(汗)

本宮
(う〜ん、やっぱり無道さんの視線を感じるんだけど……)
千影
(ちょっとでいいからおやつにしたいのにぃ)

からんからん
 次の常連。……能義茜。もちろん茜の財布、つまり豊中(笑) もいっしょ。

「こんにちはぁ」
観楠
「いらっしゃいませ」
「ねえねえ店長さん、プリンパン、できた?」
観楠
「いえ、それがまだ(汗笑)」
千影
「……あ、あんな制服の高校もあるんだ」
フラナ
「もとみー、どこの子か知ってる?」
本宮
「しらないな」
佐古田
「じゃじゃん(豊中さんにきけば?)」
フラナ
「そうだね」
豊中
「(ギターの音で会話に気がついて)本人に聞けよ」
「まーちゃん、会計お願い(はぁと)」
豊中
「……だからその呼び方は止めてくれといっとろーが(-_-;)」
千影
「(フラナに) 知り合いなんだ」
フラナ
「うん。……あ、そうか、会ったことなかったんだよね。 豊中さんっていうんだよ。今は大学生」
豊中
「(会計を済ませ、財布をヒップポケットにねじ込みながら) どうも。で、これが(茜を指差す) 俺の従妹の能義茜。フラナ君、そちらは?」
千影
「無道千影です☆」
「よろしく〜☆、ちかちゃんってよんでいいのかな?」
千影
「いいよ☆」

茜のトレイに乗っているのはプリンアラモード。

「(千影の紅茶を見て) あ、もしかしてダイエット中だっ た?」
千影
「ううん、違うけど(本宮君、おやつにしたいよう(;_;))」

千影と茜の様子を見るともなく見ていた豊中、吹き出す。

フラナ
「? どうしたんですか」
本宮
「??」
豊中
「いや、なんでもないよ。じゃあ俺は研究室に戻るからな、 茜」

からんからん

本宮
(なんだったんだろう……?)
千影
(はう〜、おやつ〜)

とりあえず、今日は千影のおやつにならずにすんだ本宮。そして店の外で。

豊中
『しかし、面白いものに食欲を感じる子だな』
居候
『若いから、美味そうに見えても不思議はないのう(大笑)』
豊中
『人食い鬼かバンパイアか、おまえは?(笑)』

知らぬが仏とは、この事だった。



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