- 観楠
- 「ふぅ……今日も暑いなぁ」
あまりの暑さにアタマがだれてくる。
- 観楠
- 「お客もいないし……ちょっと一休みするか。ふぁ〜〜
ぁ……」
からんころん
- 観楠
- 「いらっしゃいませ……あっ!」
- 琢磨呂
- 「よぉ、店長! 元気だったか?(笑)」
- 三彦
- 「ご無沙汰しております」
- 観楠
- 「岩沙君に酒井君……2人ともその格好……は?」
- 琢磨呂
- 「格好って、これか?」
- 三彦
- 「別におかしくもありませんが」
- 観楠
- 「だ、だって、それって軍服じゃないの?(汗)」
- 琢磨呂
- 「……はぁ?」
- 三彦
- 「店長殿は暑さにやられたようであるな」
- 琢磨呂
- 「店長。俺達、海軍に入ったんだぜ」
- 観楠
- 「海軍? どこの?」
- 三彦
- 「海軍といえば皇国には唯一つ。大日本帝国海軍でありま
す」
- 観楠
- 「……ちょっと、2人ともなに言ってるのか、わからない」
- 琢磨呂
- 「あのなぁ、店長。今どういう時期だかわかってるか?」
- 観楠
- 「今って、なんだよ(汗)」
- 三彦
- 「皇国の興廃がかかっておる重要な時にそのような事では
困りますな」
- 琢磨呂
- 「馬鹿野郎、『廃』なんてねぇんだ! 俺達は必ず勝つ!」
- 観楠
- 「……ちょっと待った。今、何年何月だっけ?」
- 三彦
- 「1944年8月であります」
- 観楠
- 「19……44年?」
- 琢磨呂
- 「ほんとに大丈夫か? 今年の夏風邪はしつこいらしいか
らな。養生してくれよ(笑)」
- 観楠
- 「あ、うん……そか、1944年か……って、えぇ!?(汗)」
- 琢磨呂
- 「えぇ!? ってなんだよ」
- 観楠
- 「じゃ、じゃぁひょっとして、今、戦争中?」
盛大にこける琢磨呂と三彦
- 琢磨呂
- 「てんちょぉ〜〜(汗)」
- 三彦
- 「ほんとうに大丈夫でありますか?(汗)」
- 観楠
- 「……ど、どうなんだろう(汗)」
- 琢磨呂
- 「相変わらずボケ方が徹底的というかなんというか……
緊張感が無くなっちまった(苦笑)」
- 観楠
- 「そ、そぉ?(汗)なんか状況が飲み込めてないんだけど」
- 三彦
- 「我々はこの春士官学校を卒業しまして、今は海軍に席を
置いております」
- 琢磨呂
- 「で、俺達にもようやく戦える時が来たってわけだ」
- 観楠
- 「戦い?」
- 三彦
- 「我々は2日後、比島方面へ出撃いたします。なにやら敵
軍がのさばっておるようですが……鬼畜共め、蹴散らしてくれるわ」
- 観楠
- 「で、でもそんな……いきなりじゃ。それに、なんで君達
がいかなきゃならないの?」
- 琢磨呂
- 「……何言ってんだよ?」
- 三彦
- 「我々は軍人ですぞ?」
- 観楠
- 「だ、だってさぁ! 変だよ、そんなの!」
- 三彦
- 「店長殿」
- 観楠
- 「なんだよ!」
- 三彦
- 「我々の国を守るのは我々しかおりません」
- 観楠
- 「それ、はそうかもしれないけど、だけどっ!」
- 琢磨呂
- 「……行かなきゃならないんだよ」
- 観楠
- 「岩沙君?」
- 琢磨呂
- 「俺達が行かなきゃ……行って戦わなきゃ、俺達の大事な
物は守れねぇ」
- 観楠
- 「そんな……麗衣子ちゃんはどうするんだよっ!」
- 琢磨呂
- 「あいつとは、別れた」
- 観楠
- 「別れたって、そんな簡単なもんだったの? 戦争で死ん
じゃったら彼女どうするんだよ、無責任じゃないか!!」
- 琢磨呂
- 「……だからいくんだろうがっ!!」
琢磨呂、観楠に詰め寄る
- 琢磨呂
- 「いいかぁ!? 俺達は出撃する。そして、行ったら帰って
これないかも知れねぇ。だけど俺達が何もしないままならここも、店長も、花屋のあねさん達も、アイツも! みんな、みんなやられちまうんだ!」
- 観楠
- 「だ、だからって……そんな、そんなこと……(半泣)」
- 琢磨呂
- 「こんな時だ。いつかは行かなきゃならない。それがちこっ
と早かった。それだけじゃねぇか(笑)」
- 観楠
- 「岩沙君……」
- 琢磨呂
- 「そんな顔すんなって!(笑) 大丈夫、ちゃんと帰ってき
てやるから(笑)」
- 三彦
- 「犬死にだけはしたくありませんからな(笑)」
- 観楠
- 「死ぬ、なんて言うなよぉ……(泣)」
- 三彦
- 「む、これはその、つまりですな……(汗)」
- 琢磨呂
- 「まぁいいじゃないか(笑)気の持ち方はそれぞれって」
- かなみ
- 「父様、おきゃくさん?」
- 琢磨呂
- 「お、かなみちゃん。久しぶりだな(笑)」
- かなみ
- 「たくまろちゃんと、さぶちゃん!(にこっ)」
- 三彦
- 「うむ」
- かなみ
- 「2人とも、おでかけするの?」
- 琢磨呂
- 「おで?」
- 三彦
- 「かけ?」
- 観楠
- 「(苦笑)」
- 琢磨呂
- 「ん、そうだな(苦笑) おでかけ、か(笑)」
- かなみ
- 「どこいくの?」
- 三彦
- 「うむ。船で遠い南の島まで行って来る」
- かなみ
- 「かなみも行っていい?」
- 琢磨呂
- 「そりゃ……ちょっと無理だ(笑) そうだ、かなみちゃん
がもう少し大きくなったらお父さんに連れてってもらうといい。なぁ、店長?(笑)」
- 観楠
- 「え、あ、うん。そうだね(笑)」
- かなみ
- 「んと、じゃぁ、おみやげほしいのっ」
- 琢磨呂
- 「よし、まかせとけ(笑)」
- 三彦
- 「……岩沙、そろそろ時間だ」
- 琢磨呂
- 「ん、そうか……店長、邪魔したな(笑)」
- 観楠
- 「岩沙君、三彦君……」
- かなみ
- 「もういっちゃうの?」
- 琢磨呂
- 「あぁ、すぐ帰って来るから。御土産楽しみにしてな(笑)」
- かなみ
- 「うん!」
- 観楠
- 「2人とも、気をつけて……必ず、帰って来るんだよ!」
- 三彦
- 「わかりました」
- 観楠
- 「2人の持ってきたお茶、まだ残ってるんだからね!」
- 琢磨呂
- 「わかったって(苦笑) んじゃ行って来る!」
琢磨呂と三彦、並んで敬礼する
- かなみ
- 「いってらっしゃい!(にこっ)」
敬礼のまねをするかなみと共に2人を見送る観楠。
- 観楠
- 「(絶対、生きて、帰って来るんだよ……みんなで、待っ
てるから……)」
「てんちょう、てんちょー!」
- 観楠
- 「ん……ぁあ?」
- 琢磨呂
- 「誰も来ないからって、寝るのは不用心だぜ?」
- 三彦
- 「全く」
- 観楠
- 「い、岩沙君に……三彦君! そっか、無事だったんだ
お帰りっ!」
観楠、いきなり2人に抱き着く。
- 琢磨呂
- 「どど、どーしたよいきなりっ!?(汗)」
- 三彦
- 「……あ、暑いであります(汗)」
- 観楠
- 「よかった……ほんっとによかった!」
- 琢磨呂
- 「なぁサブ。俺達、抱き着かれるようなことしたか?」
- 三彦
- 「それは貴様の管轄だろう」
- 琢磨呂
- 「とにかく、放してくれ! 俺は男に抱き着かれるのは
ごめんだ!」
登場人物紹介はあえてつけませんでした。
……んー、どう言ったら良いのでしょうかね。内容・テーマ自体は読めばわかるとおもうんですが……。どういう意図で書かれたものだったかは覚えてないのです。実際の夢をもとにした作品だったのかな?
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