- 三河夏和流(みかわ・かわる)
- 寒いギャグを得意とする物語創造能力者
- 西山みのる(にしやま・みのる)
- 《道具》の管理者。夏和流の相棒。
- 湊川観楠(みなとがわ・かなみ)
- ベーカリー楠店長
- 一十(にのまえみつる)
- 可愛い男の子の半ズボンにヨワいひと。
- 如月尊(きさらぎ・みこと)
- 如月流退魔術継承者な花屋の店長。
- 上田涼子(うえだ・りょうこ)
- 西田家の居候。みのるの恋人。
- 山田太郎(やまだ・たろう)
- 先代《道具》の管理者。みのるの祖父。
九月一日。新学期の始まりである。
- 夏和流
- 「こんっちわ、三河屋でーす」
- みのる
- 「お早うございます」
- 観楠
- 「お早う、夏和流くんにみのるくん」
- 十
- 「……あ」
- 夏和流
- 「どうしたんですか、一さん?」
- 十
- 「いや、なんでもない(……そうか、もう九月なのか……開
襟シャツの時期は過ぎてしまったんだな……ぶつぶつ)」
- 夏和流
- 「いやーしかし、気がついたらもう一年ですねー」
- 観楠
- 「一年?」
- 夏和流
- 「僕が、東京は間海市の和泉町より越してきて、ですよ」
- 観楠
- 「ああ、そういえばそうだね……って、もう一年はとっく
に過ぎているんじゃ?(^^;」
- 夏和流
- 「まあまあ、細かい誤差は気にしないで……(^^; でも、
ホントに、この一年は色々あって……まさかこの僕が夏休みの宿題を九月一日に終える日が来るなんて……」
- 観楠
- 「今まで九月一日に終えたことがないの?」
- 夏和流
- 「ええ、生まれてこの方、夏休みの宿題を終えたことは、
ありませんでした(きっぱり)
それが、こんな事になって……しみじみしちゃいますね」
- 尊
- 「それはいいけれど、遅刻しないの?」
- 夏和流
- 「あ、しまった! んじゃ、これとこれとこれ!」
- 観楠
- 「はいはい……よっと。三百五十円ちょうどだね」
- 夏和流
- 「ども。そんじゃ、また明日!」
そして、始業式である。何処でも、何時でも校長の話は長くてつまらない。
- 夏和流
- 「ふあぁ。あ、そうだ、みのる、忘れない内に言っておく
けれど、今日みのるの家に行くね」
- みのる
- 「……なぜだ?」
- 夏和流
- 「へっへっへ。内緒だよ。ちなみに「そんなのないっしょー」
なんて言っちゃダメだよ」
ぱぎっ。
- 夏和流
- (白目でばたーん)
- 先生
- 「どうした、三河」
- みのる
- 「ただの貧血でしょう」
- 先生
- 「座っていたのにか?」
- みのる
- 「一昨日献血にいったそうですから」
- 先生
- 「……そうか」
そして、放課後。とは言っても、まだ十二時だが。
- 夏和流
- 「うー……ただでさえ血が足りないときに、強烈な一撃……
……痛いよぅ」
- みのる
- 「自業自得だ。それで、家に来るのか?」
- 夏和流
- 「あ、うん、後でいくよ。まっててね。……ふふふふふ(笑)」
- みのる
- 「……ろくな事じゃなさそうだな」
- 夏和流
- 「さあ、どうでしょう?
あ、猫だ」
- 猫
- (ぷいっと視線を逸らす)
- 夏和流
- 「しってる? 散歩中の猫って、他の猫にあったりしたら
視線を逸らすんだよ。『僕は敵対意志がありませんよー』っていうことの表示にね」
- みのる
- 「知っている」
- 夏和流
- 「ちぇ。自慢しがいがないなぁ(笑) それじゃ、すぐ来る」
何やら楽しそうに去っていく夏和流をみつつ、家の門を開けるみのるであった。
ぴんぽーん。
- 夏和流
- 「おーっい、みのるー!」
がちゃり。
- みのる
- 「遅かったな」
- 夏和流
- 「ちょっと、準備に手間取っちゃってね。入っていい?」
- みのる
- 「ああ、上がれ。それにしても、大荷物だな」
- 夏和流
- 「へへへっ」
- 涼子
- 「いらっしゃい、夏和流くん」
- 夏和流
- 「こんちわ、涼子さん」
- 太郎
- 「よくきたのぉ、ふぉっふぉっふぉ」
- 夏和流
- 「こんちわ、お爺ちゃん」
- 涼子
- 「今、お茶を入れますね」
- みのる
- 「ああ」
- 夏和流
- 「あ、ちょっと待った。みのる、ちょっとこの部屋の前で
待ってて」
- みのる
- 「なんだ、一体?」
- 夏和流
- 「内緒(笑) 涼子さんにお爺ちゃん、手伝って下さいな」
- みのる
- 「……別にいいがな」
- 三人
- 「ごそごそごそ……」
- 夏和流
- 「(ドア越しに)もういいよー」
がちゃ。
- SE
- 「ぱーん」
- みのる
- 「……?」
- 夏和流
- 「じゃんじゃじゃーん! なんと夏和流くんお手製の特製
ケーキだっ!」
- みのる
- 「……よく訳が分からないぞ」
- 夏和流
- 「へへ(笑) 僕からのお礼だよ」
- みのる
- 「礼?」
- 夏和流
- 「……今まで、一年間ありがとう(ぺこり)」
- 夏和流
- 「……なんちゃって(照)」
- みのる
- 「……それで、礼か」
- 夏和流
- 「ん!」
- みのる
- 「……ふん」
- 涼子
- 「はい、今日は取って置きの紅茶を入れました」
- 太郎
- 「飾り付けはわしじゃぞ(威張り)」
- 夏和流
- 「でも道具を使った、幻覚でしょ?(笑)」
- 太郎
- 「わしがやった、といったらやったんじゃ」
- みのる
- 「……やれやれ……全く……」
- 夏和流
- 「では主役のみのる君、ご感想をどうぞ」
- みのる
- 「……どあほう(微笑)」
- 夏和流
- 「……へへっ(笑)」
- 涼子
- 「さあ、それじゃあいただきましょう」
- 太郎
- 「みのる、こういう時は師匠をたてるものじゃろう」
- 夏和流
- 「だーめ。今日だけは我慢だよ」
- 太郎
- 「……老い先短い年寄りのささやかな楽しみが……」
- 夏和流
- 「また作りますって(笑) それじゃ……」
- 全員
- 「いただきます(パク)」
- 夏和流
- 「……う」
- 太郎
- 「……ぐ」
- 涼子
- 「……あ」
- みのる
- 「……」
- 全員
- 「……まずい」
ひさしぶりの、夏和流とみのるの漫才……ですか。話全体としてはしんみりしても良いはずなのですが、夏和流君がいるだけでこーゆー話になる、という気も……。
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