四年前……吹利。夕焼けが街を紅く染めていた。近所の公園にて、瑞希と友久はただ黙って暮れなずむ街を眺めていた。
微妙な関係。付き合っているわけでもない、でもただの知り合いで終れない。お互いつかず離れずの仲。
しばらく黙ったきりの二人、瑞希がつぶやくように口を開く。
こっちを振り向こうともせず、うつむいたままの瑞希。肩を竦め溜息をひとつつく友久。そのまま瑞希に背を向け、優しい声で答える。
ぽすっ
長い髪をなびかせ転がるように抱き着いてくる。がっしりとした両肩を掴む細い手、首筋に頬があたり、背中がじん……と暖かくなる。しばらくお互い黙ったままで……ただ過ぎる時間。
友久の背中に抱き着いたまま、もごもごとつぶやく瑞希。
……再び沈黙が続く、また、遠慮がちに瑞希が口を開く。
空を仰ぐ友久、背中に抱き着いたままの瑞希。夕焼けは……もう宵に消えていた。
エピソード635『男って可愛い?』と同時期の話ですね。
恋愛感情というものは良く分からないんですが、こういった振る舞いってのは、ありがちなんでしょうかね?