- 狭淵美樹(さぶち・みき)
- 本好きの医大生。男。
- ふみ
- 売れない詩集の霊。美樹の下宿在住。
- 沢野琴(さわの・こと)
- 幽霊。やっぱり美樹の下宿在住。
- 小滝ユラ(こたき・ゆら)
- ハーブショップグリーングラスの店員
夏も終わろうとしている。美樹の部屋では人間一人、幽霊2体、猫2匹がお茶の時間を楽しんでいる。ちなみに時刻は……午前6時半。始発で帰宅した美樹を迎えてのお茶が、最近の狭淵家での慣習である。ふみが、人間には香茶を、猫には缶詰を出す。穏やかな沈黙。登りかかってくるのが朝日であるのが普通のお茶会とは少々違っているが。
- 美樹
- 「しかし、最近ようやく涼しくなってきましたねぇ」
- ふみ
- 「そうですねぇ……」
- 客猫1
- 「みゃ〜〜〜(ふみにすりすりしようとして失敗)」
- 琴
- 「最近、朝のお茶、ハーブティーってのが多いわよね」
- ふみ
- 「あら、そういえばそうですね。美樹さんがよく買ってい
らっしゃるから」
- 美樹
- 「……琴さんは、ハーブティー嫌いですか?」
- 琴
- 「んー、別に嫌いじゃない。確かにおいしいけどね、いっ
つもおんなじお店のじゃない」
- ふみ
- 「そういえば、そうですねぇ」
- 美樹
- 「グリーングラスという店でしてね。最近見つけたんです
けどね」
- 琴
- 「ふーん」
- 客猫2
- 「にゃぅ?(琴の身体をすり抜けてベランダへと遊びに行く)」
- 美樹
- 「まぁ、おいしいからいいじゃないですか……
(ヲリジナルブレンドと書かれたお茶をもう一口すする)
芳りがよいですねぇ……」
- 琴
- 「……ねぇ、美樹?」
- 美樹
- 「はい、なんでしょう?」
- 琴
- 「グリーングラスの店員さん、美人?」
- 美樹
- 「えぇ、そりゃあもう」
- ふみ
- 「(ぽむ) あら、なるほど。そういうことでしたか」
- 美樹
- 「へ? いや、なにも別に小滝さんの顔を見に行っている
わけではありませんよ。わたしは単に、あの店の味がですねぇ」
- 琴
- 「やぁっぱり。なんかあると思ったのよねぇ」
- ふみ
- 「そうですわよねぇ」
- 美樹
- 「君たち……あのですねぇ、人の話聞いてます?」
- 琴
- 「どんな人かしら、その小滝さんとかいう人っ」
- ふみ
- 「わたしも興味がありますわね」
- 美樹
- 「ちょっと……おーい」
- 琴
- 「というわけで、あした美樹が吹利に行くときにはついて
行くからね。もちろんふみも連れていくのよ」
- ふみ
- 「お手数ですけど、連れてって頂けますわよね」
- 美樹
- 「あのねぇ……どうしてそう勝手に話を……(はぁ)
判りました。連れていきますよ、行けばいいんでしょ」
これだけだとプロローグな気もしますが、まあこれはこれで、まとまっていると言えるのかな?
この話の中核参加者が、忙しいとか入院だとかで不在になっちゃったのも、中断の原因ですね。
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