エピソード「おしごとのあと」======================大きな銀色の狼が、月の光を浴びて疾走する。
- フラナ
- 「わあ‥‥‥‥綺麗な犬だねえ」
土手でそれを見ていたフラナの一言に、狼がぴたっと足を止めた。
- フラナ
- 「どしたのかな?」
- 佐古田
- 「じゃじゃぁん(さあ?)」
とことこと寄ってくる狼。本宮のそばにちんまりとお座り。
- 本宮
- 「大きいけど、ずいぶん人なつこい犬だなあ」
- 千影
- 「(狼なんだけど(ぶぜん))」
お仕事を終えた千影の変身したままの姿だと言うことは、むろん知るはずもないスナ同の3人であった。本宮が、狼(千影)の頭に手を伸ばして、頭を掻いてやる。
- 本宮
- 「随分人懐っこいな」
- 千影
- 「(こうして見ると、やっぱり本宮君っておいしそ〜)」
- フラナ
- 「何処の犬かなぁ」
- 千影
- 「(だから狼だってば〜)」
- 本宮
- 「いい犬だよね」
- 千影
- 「(ぶちっ!)」
- SE
- くぁぷ☆
犬犬と言われてちょっと頭にきた千影。本宮の手を軽く噛んだ。
- 本宮
- 「あ痛っ」
- 千影
- 「(しまったぁ)」
ほんの少し皮膚が切れ、血が出た。
- フラナ
- 「もとみー、だいじょうぶ?」
- 千影
- 「(あ、血だぁっ☆)」
傷をそっとなめる狼。
- フラナ
- 「あ、ごめんねっていってるみたいだね」
- 千影
- 「(ごめんね〜、でもおいし〜)」
- 本宮
- 「大丈夫だよ。ベーカリーに行こうか?」
立ち上がりながら言って、歩き出す本宮。歩いていく三人、その後ろから本宮に擦りよるようについて来る千影。
- フラナ
- 「ねぇねぇついて来るよぉ」
- 本宮
- 「ほんとだな、首輪はないけど…飼い犬かな、やっぱり」
その道中…
- フラナ
- 「ねぇ、もとみー」
- 本宮
- 「なんだ?」
- フラナ
- 「この犬、チカちゃんに似てなーい?」
- 千影
- 「(ドキッ!)」
- 本宮
- 「む、無道さんにか?どうして?」
- フラナ
- 「うーんと、毛皮の色と瞳の色がそっくりだよ」
- 佐古田
- 「じゃじゃーん(似てるー)」
- 本宮
- 「なんだそれだけか…そういえば今日、無道さんは?」
- フラナ
- 「今日はねぇ用があるから先に帰るって言ってたよ
-
- もとみー気になるぅ?」
フラナにからかわれ動揺する本宮。
- 本宮
- 「そ、そ、そんなんじゃないよ!た、ただ今日は
-
- どうしたのかなって思っただけだよ!(真っ赤)」
- フラナ
- 「どうしたのぉ?顔真っ赤だよ、もとみー」
- 佐古田
- 「じゃんー(赤いぞー)」
- 本宮
- 「そ、そんなことないぞ!ほ、ほ、ほら早く行くぞ!」
- 千影
- 「((クスクス)ここにいるよ、本宮君☆)」
足元でまさか本人が聞いてるなんて想像もつかない3人だった。(笑)そしてベーカリーの前で。
- 御影
- 「ずいぶん大きい犬だな、本宮」
- 豊中
- 「旦那、狼ですよ(呆)」
- 本宮
- 「え、狼なんですか?」
言われて気がつく本宮。ハッキリ言って本物の狼など見た事がない為、いまいち区別がつかない。
- 本宮
- 「どうりで大きいはずですね」
- 豊中
- 「狼の方が犬よりずっといいさ‥‥‥」
狼の頭を撫で、ニヤッと笑う豊中。
- 御影
- 「首輪がないな。狂犬病の予防注射はしとるんか?」
- フラナ
- 「そういえばもとみー、さっきこの子に噛まれてなかった?」
- 豊中
- 「大丈夫ですよ。
-
- (狼の耳に口を寄せてひそひそ声で)なあ、千影君?」
- 千影
- 「(ビクッ!と、豊中さんなんでわかるのっ!?
-
- …とりあえずどういうことか聞いてみないと…)」
どこかに連れて行きたそうに豊中の袖を引っ張る狼。その狼の頭を撫でながら再びニヤッと笑う豊中。
- 豊中
- 「旦那、ちょっとこいつが行きたいところがある
-
- みたいなんで付き合ってきますよ」
- 御影
- 「おう、気をつけてな」
ベーカリーの前から去る1人と1匹。そして少し離れた場所にある小さな公園にて…
- 千影
- 「(キョロキョロ)…誰もいないみたいね」
変身を解く千影。
- 千影
- 「豊中さん、なんであの姿で私だってわかったんですか?」
一瞬きょとんした顔になったあと、頭を掻く豊中。
- 豊中
- 「ああ、そうか‥‥‥‥千影君は俺が接触テレパスだって知らなか
-
- ったんだな。忘れてたよ。脅かして悪かったね」
- 千影
- 「テレパス?」
- 豊中
- 「触らないと明確な思考は読めないがね。役に立つのか立たないの
-
- か(笑)」
- 千影
- 「…じゃあ…私の正体も…」
- 豊中
- 「大体ね」
- 千影
- 「…(にこ)ばれちゃったものはしょうがないですね☆」
- 豊中
- 「まあね、でも正体を知ったとこで何が変わるわけでもないしね」
- 千影
- 「!?もしかして豊中さん秘密にしといてくれるんですか?」
- 豊中
- 「まあ、言う必要なんかないからね。黙っておくよ」
- 千影
- 「本当ですか?ありがとうございますっ(ニコニコ)」
後日
- 本宮
- 「あの〜、豊中さん」
- 豊中
- 「ん〜?」
- 本宮
- 「無道さんのことでお聞きしたいのですが‥‥‥」
本宮の口をつぐませたのは、豊中のにやり笑いだった。
- 豊中
- 「ほ〜ほ〜う、本宮君にも春が来たか、そうかそうか」
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