- 平塚花澄
- 書店瑞鶴店員。女の子好き。
- 富良名裕也(フラナ)
- 神出鬼没な男子高校生。無邪気。
- 無道千影
- バンパイアハーフな女子高校生。銀の髪と青い目。
- 平塚英一(店長)
- 書店瑞鶴店長。平塚花澄の兄。
某日、瑞鶴。
硝子戸が開いて。
- フラナ
- 「こんにちはっ」
- 花澄
- 「こんにちは、フラナ君……と?」
- 千影
- 「こんにちは」
- 花澄
- 「ええと……夏にお会いしましたよね?」
- 千影
- 「はい(にこっ) 無道千影です、よろしくっ」
言葉と一緒に、元気よく頭を一つ下げる。
銀の髪がふわり、と舞う。
- 花澄
- 「こちらこそ。平塚花澄と申します……フラナ君のお友達、なのね?」
- フラナ
- 「うん!」
広くも無い店内に、天井にくっつきそうな本棚が幾つも並んでいる。
千影は少し首を傾げてそれを見やった。
- 花澄
- 「で……どんな本を、お探しですか?」
- 千影
- 「えっと……フラナ君から、面白いところに面白い本があるって聞いたんですけど」
- 花澄
- 「あ、じゃ、ゆっくり探していって下さいな(にこにこ)」
- 千影
- 「はい。っと、あの脚立借りていいですか?」
- 花澄
- 「どうぞ……お兄……店長」
かなり長い脚立を、丁度店のほうに出てきた店長が掴み、千影に渡した。
フラナは音楽関係の雑誌のほうに向かう。
千影は脚立に上り、上の段の本を眺めている。
時折本の背表紙を読んでいるらしく、微かに口元が動く。
どこか生真面目な、そして、凛とした表情である。
しばらくの沈黙の後、ふと、花澄が口を開いた。
- 花澄
- 「……千影ちゃん…って……」
- 千影
- 「はい?」
- 花澄
- 「ほんっとに……綺麗ねえ(しみじみ)」
- SE
- ばさどさっ。
雑誌の整理をしていた店長の手から、雑誌が数冊落っこちた。
丁度引っ張り出そうとしていた本が、千影の手から落下した。
- フラナ
- 「そーだよねっ(にぱっ)」
- 花澄
- 「フラナ君も、そう思うでしょ(にこにこ)」
天衣無縫、もしくは傍若無人の見本が二人。
- 店長
- 「…………花澄」
- 花澄
- 「はい?」
- 店長
- 「…………お前って奴は」
- 花澄
- 「……何?」
きょとん、とされて、店長は大きな溜息をついた。
- 花澄
- 「だって私、別に変なこと言ってないもの……ねえ?」
- フラナ
- 「うん」
溜息が二つ、返事の代わりになった。
1997年秋頃の話。
無道千影嬢、瑞鶴初来店エピソード……なんですが。
正直であることと世間体って、ずれるものですね。
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