- 平塚花澄
- 書店瑞鶴の店員。年齢より若く見られるらしい。
某日、吹利商店街。
ゆるゆるとベーカリー楠に向かう花澄。
と。
- ??
- 「あれ?花澄?」
- 花澄
- 「?」
急に声をかけられて、慌てて振り向く。
視線の先には、小柄な、黒ずくめの女性。
- 花澄
- 「……え? ……ええともしかして、圭子?」
- 圭子
- 「やっぱり花澄だあ(嬉々)」
相手の顔を、しみじみと見直す。
良く見れば、面影が残っているのだが。
- 花澄
- 「……何か、圭子、顔変わった?」
- 圭子
- 「化粧の所為、じゃない?」
大学に入って、相手が化粧を覚える頃から会うことが無くなった。
- 圭子
- 「にしても、花澄はかわんないねー」
- 花澄
- 「そう?」
- 圭子
- 「ほら、高校の頃はさ、あんたよく『どこにお勤めですか』だの『ここは学生の受け付けなんですが』だのって言われてたじゃない」
- 花澄
- 「………(ちょっと憮然)」
- 圭子
- 「歳より老けて見られる子だな、と思ってたけど、今じゃ歳より若く見られない?」
- 花澄
- 「うん。時々大学生にまで見られる」
- 圭子
- 「そうだろうね。顔変わってないし、相変わらず化粧もしないし……そうか、あんた顔の年齢、追い越したのね」
- 花澄
- 「はあ?」
- 圭子
- 「あとは若く見られるばっかだからいいじゃないの(けらけら)」
そーゆーもんだろうか、と、考え込んでしまう花澄である。
- 圭子
- 「あ、じゃ、あたし用事あるからこれで」
- 花澄
- 「……じゃ、またね」
ぶん、と手を振って去ってゆく歩き方に、確かに高校時代の友人が居る。
花澄は思わず苦笑した。
1997年、秋の話。
年々、顔のどんどこ変わる人も、全然変わらない人もいるものです。
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