エピソード703『変化無し』


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エピソード703『変化無し』

登場人物

平塚花澄
書店瑞鶴の店員。年齢より若く見られるらしい。

本文

某日、吹利商店街。
 ゆるゆるとベーカリー楠に向かう花澄。
 と。

??
「あれ?花澄?」
花澄
「?」

急に声をかけられて、慌てて振り向く。
 視線の先には、小柄な、黒ずくめの女性。

花澄
「……え? ……ええともしかして、圭子?」
圭子
「やっぱり花澄だあ(嬉々)」

相手の顔を、しみじみと見直す。
 良く見れば、面影が残っているのだが。

花澄
「……何か、圭子、顔変わった?」
圭子
「化粧の所為、じゃない?」

大学に入って、相手が化粧を覚える頃から会うことが無くなった。

圭子
「にしても、花澄はかわんないねー」
花澄
「そう?」
圭子
「ほら、高校の頃はさ、あんたよく『どこにお勤めですか』だの『ここは学生の受け付けなんですが』だのって言われてたじゃない」
 
花澄
「………(ちょっと憮然)」
圭子
「歳より老けて見られる子だな、と思ってたけど、今じゃ歳より若く見られない?」
花澄
「うん。時々大学生にまで見られる」
圭子
「そうだろうね。顔変わってないし、相変わらず化粧もしないし……そうか、あんた顔の年齢、追い越したのね」
花澄
「はあ?」
圭子
「あとは若く見られるばっかだからいいじゃないの(けらけら)」

そーゆーもんだろうか、と、考え込んでしまう花澄である。

圭子
「あ、じゃ、あたし用事あるからこれで」
花澄
「……じゃ、またね」

ぶん、と手を振って去ってゆく歩き方に、確かに高校時代の友人が居る。
 花澄は思わず苦笑した。

解説

1997年、秋の話。
 年々、顔のどんどこ変わる人も、全然変わらない人もいるものです。



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