エピソード715『分厚い本』


目次


エピソード715『分厚い本』

登場人物

平塚花澄
書店瑞鶴店員。ぬいぐるみを作るのが趣味。
平塚英一
書店瑞鶴店長。花澄の兄。

本文

某日、瑞鶴。

花澄
「……まだ、出ないかあ」
店長
「え?」
花澄
「京極さんの新刊」
店長
「ああ、あの分厚いの書く人か」

本屋の店長が、そういう識別をしていて良いのだろーか。

花澄
「分厚いのって(呆) ……でも、確かに分厚いのよね。あのシリーズはクマ作るときに苦労した」
店長
「……何故そこでクマが出てくる」
花澄
「え? ほら、縫うときに本読みながら縫うでしょ?」
店長
「作り方の載ってる本を、か?」
花澄
「ううん、文庫本とか、新書とか」

……普通は、やらない。

店長
「……何でそんな器用というか面倒というか……(呆)」
花澄
「だって、本だけ読んでると時間が勿体無いじゃない。 ほら、おばあちゃんがよくテレビ見ながら編み物してた、あれと同じよ」

なんか違う……かもしれない(汗)

店長
「………で?」
花澄
「うん、普通の本なら、他の本持ってきて、重しにして、で、上手く行くんだけど、あの本は相当重い本じゃないと重しにならないんだもの」
店長
「そこまでして読まんでも……」
花澄
「だって、読みたかったんだもの」
店長
「じゃ、クマを諦めりゃいいだろう」
花澄
「だって、手がお留守になって落着かないんだもの」
店長
「……(溜息)」

とことん、貧乏性である。

花澄
「でも、あの本、あれから薄くなるってことはなさそうだしなあ……(思案)」
店長
「………花澄」
花澄
「はい?」
店長
「よく考えたら……お前、仕事中に新刊書案内読むな!」

時系列

1997年晩秋の話。

解説

瑞鶴での兄妹の会話です。
 相互にボケ&ツッコミなのですね。



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