- 平塚花澄
- 書店瑞鶴店員。ぬいぐるみを作るのが趣味。
- 平塚英一
- 書店瑞鶴店長。花澄の兄。
某日、瑞鶴。
- 花澄
- 「……まだ、出ないかあ」
- 店長
- 「え?」
- 花澄
- 「京極さんの新刊」
- 店長
- 「ああ、あの分厚いの書く人か」
本屋の店長が、そういう識別をしていて良いのだろーか。
- 花澄
- 「分厚いのって(呆) ……でも、確かに分厚いのよね。あのシリーズはクマ作るときに苦労した」
- 店長
- 「……何故そこでクマが出てくる」
- 花澄
- 「え? ほら、縫うときに本読みながら縫うでしょ?」
- 店長
- 「作り方の載ってる本を、か?」
- 花澄
- 「ううん、文庫本とか、新書とか」
……普通は、やらない。
- 店長
- 「……何でそんな器用というか面倒というか……(呆)」
- 花澄
- 「だって、本だけ読んでると時間が勿体無いじゃない。 ほら、おばあちゃんがよくテレビ見ながら編み物してた、あれと同じよ」
なんか違う……かもしれない(汗)
- 店長
- 「………で?」
- 花澄
- 「うん、普通の本なら、他の本持ってきて、重しにして、で、上手く行くんだけど、あの本は相当重い本じゃないと重しにならないんだもの」
- 店長
- 「そこまでして読まんでも……」
- 花澄
- 「だって、読みたかったんだもの」
- 店長
- 「じゃ、クマを諦めりゃいいだろう」
- 花澄
- 「だって、手がお留守になって落着かないんだもの」
- 店長
- 「……(溜息)」
とことん、貧乏性である。
- 花澄
- 「でも、あの本、あれから薄くなるってことはなさそうだしなあ……(思案)」
- 店長
- 「………花澄」
- 花澄
- 「はい?」
- 店長
- 「よく考えたら……お前、仕事中に新刊書案内読むな!」
1997年晩秋の話。
瑞鶴での兄妹の会話です。
相互にボケ&ツッコミなのですね。
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